マッチレポート
レッドカンファレンス6位のHEATとホワイトカンファレンス3位のレッドハリケーンズとのプレーオフトーナメントが、好天の中、風上のHEATのキックオフでスタートした。
最初のラインアウトから攻撃を仕掛けるHEATに対して、レッドハリケーンズは確実なタックルで対抗、キックに切り替えるHEATにチャージダウン、さらにペナルティーを獲得して攻撃を開始する。
対するHEATは、中盤の攻撃から裏のスペースへ絶妙なキック、ゴール前に進むがレッドハリケーンズの戻りが勝り、攻撃が寸断される。
中盤での攻防に戻るが、チャンスを迎えたのはHEAT。前半17分、ペナルティーを獲得しゴール前でのラインアウトモール、右へ展開するとアドバンテージ、中央で再度ペナルティーを獲得するとショットを選択、⑩呉洸太が決めて3−0と先制する。
対するレッドハリケーンズも相手陣ゴール前まで前進、得点の機会を窺う。前半26分、中盤、中央から⑥ヴィンピー・ファンデルヴァルトが抜け出すとゴール前へ進み、満を持して⑪マカゾレ・マピンピへ渡し右隅にトライ、コンバージョンも成功し7−3と逆転する。
徐々にスクラムで優位に立ち始めたレッドハリケーンズは、相手陣でペナルティーを奪うとタッチキックで前進、ラインアウトではサインプレーを見せてプレーを継続、最後は⑤ローレンス・エラスマスがショートサイドを抜け出して左中間にトライ、コンバージョンも成功し14−3とリードを広げる。
HEATは前半終了間際にペナルティゴールの機会を得るが不成功、このまま前半が終了した。
後半風上に立つレッドハリケーンズは、タッチに出たボールをクッィクスローで再開、積極的にボールを動かす。
前半5分、ラインアウトから⑦佐藤大朗が抜け出して左隅にトライ、かに見えたがTMOにかかり、オブストラクションの反則の判定でチャンスを逃す。
さらに攻撃を続けるレッドハリケーンズに対して、HEATは、後半6分、⑫ショーン・トレビーがイエローカードで一時退場、苦しい展開を強いられる。
それでもHEATは⑥ポール・スクーマンの好タックルでチャンスを見いだして、ゴール前へ地域を進める。スクラムを押し込みトライまであと一歩と進めるHEATに対して、崩れたスクラムはHEATのペナルティーの判定、好機を逃す。
レッドハリケーンズは、後半17分、ラインアウトからフリーキックを得ると速攻、⑫パエアミフィポセチが足にかけると⑨TJ・ペレナラに渡り中央にトライ、コンバージョンも成功し21−3とする。
追いかけるHEATは、後半23分、中央スクラムから⑭生方信孝が抜け出し裏へキック、そのままインゴールで抑えトライ、8−21と追撃する。
勢いのついたHEATは、後半27分、中央スクラムから㉒クリントン・ノックス、⑮マット・ダフィーが大きくゲインするとゴール前へ進み、⑤フランコ・モスタートが右中間にトライ、13−21と8点差に詰める。
悪い流れを断ちたいレッドハリケーンズは、相手陣へ地域を進めて追加点の機会をうかがう。粘り強い防御を続けるHEATは、中盤からスクラムの機会を得ると大きく前進、地域を押し戻す。
早い時間に得点したいHEATに対して、レッドハリケーンズは落ち着いて対応し大きな前進を許さない。このまま中盤での攻防が続きノーサイド、レッドハリケーンズが21−13で勝利、準々決勝に駒を進めた。
記者会見レポート
Honda HEAT
ダニー・リーヘッドコーチ(HC)
シーズンの終わりとしては、ベストなゲームではなかった。ドコモは素晴らしいチームだった。自陣の脱出がうまくいかなかった。どちらが勝ってもおかしくなかった試合で、パフォーマンスとしては悪くなかったがドコモが一枚上手だった。
小林亮太キャプテン
残念であったが、「ヒートタイム」をキーワードとして1週間準備してきた。勝ちが来なかった理由は、精度と運がなかった。
Q:後半開始のメンバー交代(3人)の意図は?
リーHC
ゲームプランの一部、外国人プレーヤーとの兼ね合いもある。具は怪我明けであったため、後半からのスタートだが、ゲームプランとしてはうまくいったと思う。どの選手も、いつ出場してもよいパフォーマンスをしてくれる。
Q:後半シンビンがあったが?
小林キャプテン
「ヒートタイム」として、自分たちが楽しんだ。どんな時もあきらめないで楽しむ。最後はトライを取りに行くしかなかった。
Q:前半のトライチャンスを活かせなかったが? 今シーズンのアタック、ディフェンスの評価は?
リーHC
1年通して、スコアするということに苦労した。チャンスを活かせなかった。理由は、精度の問題。ディフェンスはシーズン通して良かったが、スイッチが切れてしまう時があった。
Q:40分を振り返って
具智元選手
1ヶ月ぶりだったがコンディション、フィールドプレーが良かった。怪我は腰、スクラムはNコム戦で苦労したがトヨタ戦からまとまった。
Q:トライを振り返って
生方信孝選手
チームに勢いをつけたかった。トライを取ってチームとして良かった。ペレナラをかわすことができたことは自慢できる。
NTTドコモレッドハリケーンズ
ヨハン・アッカーマンヘッドコーチ(HC)
勝てたことが嬉しいし、感謝している。前半は良かったり悪かったりだったが、途中からはゲームを支配していた。後半は良かったが、緩んで2トライとられてしまった。ベンチスタート選手が良いインパクトを与えてくれた。
ローレンス・エラスマスキャプテン
勝ちを素直に喜びたいが、しっかりと修正をして次に挑みたい。
Q:ディフェンスの手応えは?
アッカーマンHC
まだまだ進歩する段階。デフェンスコーチが、とても良い働きをしていてくれる。
Q:バリエーションのあったラインアウトの評価は?
アッカーマンHC
オプションが多いので、相手が苦しむのでは。2週間あったので準備できた。
Q:過去最高の順位だが?
アッカーマンHC
最初の3試合の接戦を当てたことが大きい。コーチ陣も目標設定を上回るように努力している。小さい修正を繰り返し、大きな成果を出せている。日本の文化、チーム文化にプラスアルファを付け加えている。まだ満足していない。
ローレンスキャプテン
みんな喜んでいる。まだまだ成長したいが、現状はとても嬉しい。
Q:勝利の感想は?
TJ・ペレナラ選手
勝てたが満足していない。チームのパフォーマンスをもっと上げたい。
マカゾレ・マピンピ選手
前半はチャンスを活かせなかった。ミスをなくさなければ。
Q:次戦に勝つためには?
ペレナラ選手
まだ分析していない。これから準備したい。アタックの時、チャンスを取り切れることをしていきたい。
Q:過去最高順位だが?
ペレナラ選手
初めてで、嬉しいです。トライが取れて安心しました。チームを誇らしく思う。歴史を変えるのは難しいことだが、まだ満足していない。もっと上位を目指している。
マピンピ選手
知らなかったが、チームは喜んでいる。
(文責:品野いっせい)