1月18日(土) ヤマハ発動機 24-36 神戸製鋼

トップリーグ 第2節ヤマハ発動機 VS 神戸製鋼

2020年1月18日(土) 13:04キックオフ
グラウンド:ヤマハスタジアム
入場者数:10163人
天候:くもり/無風
レフリー:梶原晃久(日本協会A1)
アシスタントレフリー:関谷惇大(日本協会A1)/木村正彦(関西協会)/松本安司
ヤマハ発動機 神戸製鋼
24 FULL TIME 36
17 前半 22
7 後半 14
詳細
(日本協会公式)

マッチレポート

【激しい点の取り合いは神戸製鋼が制し開幕2連勝】
肌寒い雨上がり恵まれない天候の中、ヤマハスタジアムにはワールドカップの人気そのままに10,163人の観客が詰め掛けた。
前節のトヨタ自動車との開幕戦、フォワード力で接戦を制したヤマハ発動機は、同じく開幕戦でキャノンを一蹴した昨季覇者の神戸製鋼を迎え撃つ。
昨年のリーグMVPのSOダン・カーターを主軸に、PRの中島イシレリ、FBの山中亮平といったワールドカップ日本代表と擁する神戸製鋼に、ヤマハ発動機のフォワード陣がどう立ち向かうのかがこの試合の注目である。
両チームとも連勝してリーグ戦の波に乗りたい一戦は、神戸製鋼のキックオフで始まった。

試合は序盤から点の取り合い、前半10分、自陣中央付近のスクラムから左へ展開、ヤマハのWTBシネオ・トゥイプロトゥが左サイドをグラバーキック、自分で拾って左中間にトライ。FBサム・グリーンのゴールも成功し7-0と先制する。

神鋼もすぐに反撃。15分にキックオフ後、右サイドヤマハゴール前まで攻め寄り、ラックを形成。左に展開しLOプロディ・レタリックがゴールポスト左にノーホイッスルトライ。SOのダン・カーターのゴールも成功し、7-7とすぐに追いつく。

ヤマハは18分、敵陣ゴール前10mライン中央付近でペナルティを獲得し、FBサム・グリーンがペナルティゴールを決め、10-7と突き放す。

しかし神鋼は20分、キックオフ後先程と同様、右サイド敵陣ゴール前まで攻め寄り、ラックから左に展開後NO8のタウムア・ナエアタが抜け出て右隅にトライ、ゴールは失敗するも10-12と逆転。28分には敵陣ゴール前10mライン左中間付近でのペナルティからSOダン・カーターがペナルティゴールを決め、10-15とする。
さらに神鋼は30分、ヤマハのキックオフから中央付近のボールをターンオーバー、右へ展開し、WTBアタアタ・モエアキオラが右中間にトライ。ゴールも成功し10-22と点差を広げる。

一方、ヤマハは35分、敵陣ゴール10m付近中央のマイボールスクラムから左へ展開、FLクワッガ・スミスが左サイドを駆け上がり回り込んで中央にトライ、ゴールも成功し17-22。さらに前半終了間際、敵陣ゴール前10m左中間付近でペナルティを獲得。トライを狙ってラインアウトを選択するも攻めきれず、17-22と神鋼リードで前半を折り返す。

後半に入り開始早々の6分、神鋼が敵陣ゴール前10mライン右中間付近、ヤマハのペナルティをNO8のタウムア・ナエアタが速攻でボールを持ち込み右中間にトライ、SOダン・カーターのゴール成功。(17-29)
さらに9分、敵陣ゴール前22mライン付近左サイドのラインアウトから右へ展開、右中間付近でラック後、SOダン・カーターがヤマハディフェンスをかいくぐり前進、フォローしていたSH日和佐篤がゴールポスト左にトライ。ゴールも成功し17-36と神鋼は敵のペナルティに乗じ効率よく追加点を上げる。(17-36)

一方のヤマハはミスが目立ち始め、24分にはLOリチャード・アーノルドが危険なタックルでシンビンに。神鋼が攻め込むも粘りのディフェンスで追加点は許さないが、14人のヤマハは攻めることができない。
シンビン解消後の36分、自陣10m付近右サイドのラックから左に展開し、FBサム・グリーンから途中出場のWTBマロ・ツイタマが左サイドを駆け上がり、ゴール中央にトライ、SO清原祥のゴールも決まり、24-36と反撃。

その後も両チームともボーナスポイント獲得のため、ホーンが鳴り終えてもお互い激しい攻防を繰り広げる。44分ヤマハのWTB伊東力がゴール内でグラバーキックを抑えトライかと思われたがTMOの結果ノートライ。その前に反則があったため試合続行となったが、最後は神鋼FB山中がボールをタッチへ蹴り出し試合終了。

試合開始からお互い激しい攻防が続いた熱戦であったが、昨季王者の神鋼がチャンスを確実に得点に結びつけ、24-36で勝利し開幕2連勝を飾った。
この試合のマンオブザマッチは、2トライを上げ神鋼の勝利に貢献したNO8タウムア・ナエアタが受賞した。

(文責:静岡県ラグビーフットボール協会 佐野晴也)

記者会見

ヤマハ発動機ジュビロ 堀川隆延監督
雨の中のたくさんの方に来ていただいて本当に感謝しています。先週に引き続いて来ていただいた方に勝利という形で恩返ししたかったのですが、こういう結果になってしまい、一言で言うと本当に悔しいです。
今日の試合で、いろいろな足りないものが見えました。このチームの成長ために必要なものをいただいたゲームということをプラスに捉えて、次にゲームに最善を尽くしたいと思います。本日はありがとうございました。

大戸裕矢キャプテン
本日はありがとうございました。先週に引き続いてたくさんのファンの方が来場してくださり本当に感謝しています。プレーしていて本当にうれしかったです。
試合内容は自分たちの強みを出せたところもあるが、出せないところもありいい勉強をさせてもらったし、これで自分たちが強くなるきっかけが生まれたので、これを成長の糧にして来週からまた日本一に向かって頑張っていきたいと思います。

Q:ラインアウトが乱れていたその要因は?
大戸キャプテン
いろいろ準備はしていたが、自分たちのミスであったりして、これから振り返ってみたいと思います。

Q:ラインアウトでのレタリック選手などのスティールが目立ったが、その要因は?
大戸キャプテン

うちのチ-ム(の選手)は背が高くないので、まずディテールにこだわってやっていきたいと思いますが、やはり振り返ってみないと修正点などわかりません。

Q:足りないもの、必要なものを具体的に言うと?
堀川監督

メンタル的に自分たちのスタイルを信じきることです。いろんな不安があったと思いますが、自分たちを信じきることです。後半自分たちのテンポでボールが出ていれば、練習でやってきたことがそのままグラウンドで出せる、強いチームはそうだと思います。まだまだ若いチームなのでそれを実感できたことが良かったかなと思います。

大戸キャプテン
うまくいかない時間が多かったです。さきほど監督が言ったように、自分たちの本当にやりたいこと、練習でできていることを自分たちがグラウンドで体現できていれば、答えは出ると思います。

Q:ディフェンスのラインスピードは上がっていたと思うが、その狙いと印象は?
堀川監督

ディフェンスのラインスピードを上げることが我々のスタイルなので、(相手チームは関係なく)自分たちのディフェンススタイルをやりきるということです。
ダン・カーターの立ち位置、プレッシャーを受けながらプレッシャーに負けないポジショニングを取れる。これが世界のプレーヤーだなと感じました。清原は今日すごい経験をしたと思います。

神戸製鋼コベルコスティーラーズ デーブ・ディロンヘッドコーチ(HC)
正直うれしいです。今日は厳しいバトルだったと思います。神戸はセットプレーが良かったです。先週を含めカンバーランドコーチが素晴らしい仕事をしてくれました。
皆さんご存知のとおりヤマハさんはすごい強いセットプレーを持っているチームなのでそこに対して、自分たちが1週間かけて良い仕事が出来てうれしく思います。アウェイの環境でプレーすることは難しいのですが、勝つことができて良かったし、隣にいる橋本キャプテンに感謝したいと思います。

橋本大輝ゲームキャプテン(GC)
先週に引き続きたくさんのファンの前で、いい試合ができてうれしいです。試合内容もファンに喜んでいただけるような点の取り合いになり、自分たちもディフェンスに課題があったのですが、セットピースの部分で相手にいい仕事をさせなかったことがよかったのではないかと思います。

Q:攻めの場面で工夫したところは?
橋本GC

試合の中で修正しようと話していたのですが、コンタクト時にボ-ルキャリアが高くなってしまって、相手の大きい選手にプレッシャーを受けていたので、ボールキャリアを低くし、ブレイクダウンでサポートをもっとシャープに、相手との(そこに)到達するレースに勝つという話をしていました。

Q:その後試合中に修正できていたか?
橋本GC

そうですね。いいボールキャリーをすることで勢いが出て、いいアタックができていたのではないかと思います。

Q:阪神淡路大震災から節目の25年目の年になるが、意識したか?
ディロンHC

いい質問です。阪神淡路大震災というのは自分たちだけではなく、神戸製鋼という会社にとっても大きな意味を持つものです。昨日は練習前には黙とうを捧げ、そのあと25年前にチームに何があったかをもう一度話しました。今日の試合は神戸の人たちの代表として、自分たちは戦いに行こうと話しました。

Q:その話を受けて、どういう思いで今日の試合に臨んだか?
橋本GC
ヘッドコーチが言ったことがすべてなのですけれども、いまラグビ-ができているのも、当時の皆さんが大変な思いをして復興されて今があると思っていますので、その時の思いを忘れないことだと思います。神戸に住んで、神戸のチームでプレーするのはそういうことだと思いますので、その気持ちを後輩にも伝えていけたらと思います。

Q:最後のところ、試合を続けたのはスタッフの指示か?
ディロンHC
自分はコーチなので常にアタックしたいと思いますけれど、ただ自分はコーチであって選手ではないので、実際グラウンド内でプレーしている選手が判断するしかないと思います。本来はどうするべきか、私が判断することではないです。

Q:ボーナスポイントを与えるか、失わないかというところで最後は取りにいったか?
橋本GC
まずその前の、ゴール前のラインアウトからのモールでとれなかったのが反省点です。チームとしてはボーナスポイントを狙いにいこうと話していました。最後のところは(私は交替してピッチの外だったので)プレーしている選手が判断したのだと思います。

Q:ヤマハはどう攻略したか?
橋本GC

試合前はチーム分析を基に10番起点のプレーを多くしようというプレーしたのですが、プレッシャーを受けたので、途中から9番起点のプレーを増やすことによっていい流れをつかめたのかなと思います。

(最後に)
ディロンHC
ヤマハの山村選手、200キャップ出場は本当に偉業だと思います。神戸製鋼を代表して本当におめでとうございますと伝えたいです。信じられないことです。

(文責:静岡県ラグビーフットボール協会 小林聖子)

フォトギャラリー

■撮影者:谷本結利