12月18日(土) 大東文化大学 vs 同志社大学
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レフリー:佐藤芳昭(日本協会A)
アシスタントレフリー:八木聖也(日本協会A) / 西村純(関西協会) / 嵯峨慶二(関西協会)
大東文化大学 | 同志社大学 | |||
29 | FULL TIME | 31 | ||
12 | 前半 | 20 | ||
17 | 後半 | 11 | ||
詳細(日本協会公式) |
マッチレポート
この冬一番の寒さに見舞われ北からの冷たい風が吹く花園。第1試合は、関西リーグ4位で3回戦で朝日大学に46対7で快勝した同志社大学と関東リーグ戦3位の大東文化大学の対戦となった。FW、BKSのバランスのよい攻撃が持ち味の同志社に対し大東大は力強いパワープレーを信条とする。興味深い対戦に5300人以上が詰めかけた。
試合は風上の大東大のキックオフで幕を開けた。
大東大は前半20分間、反則やミスでボールを確保できず防戦に回った。同志社ペース。迎えた8分、同志社は大東大オフサイドの反則でのPKからG前5m右ラインアウトとし、モールを押し込みHO②西濱悠太が右隅に押さえた。
13分、今度はG前5m中央ラックから右へ展開、⑨-⑩-⑬とつなぎWTB⑭大森広太郎がトライした。
さらに17分にWTB⑪和田悠一郎、23分にHO②西濱が得点し20-0と完全に主導権を握った。
これ以上離されたくない大東大は26分、初めてのチャンスをつかむ。G前7m左ラインアウトからのモールを起点にSH⑨稲葉聖馬からLO④塩見成梧につなぎ左中間にトライし反撃を開始した。32分にもCTB⑫戸野部謙がラインブレイクし左中間に押さえた。
前半、同志社は、SO⑩嘉納一千の5本のコンバージョンGがことごとく風に嫌われる不運もあり20-12で終えた。
8点のビハインドを背負った大東大は後半に先に得点し流れを維持したいところ。13分、G前10m右ラインアウトからチャンスを作り、G前5m中央ラックからショートサイドをNo8⑧リサラ・キシナ・フィナウが強引に付いて左隅にトライをあげた。
3点差。大東大のいい流れになるかと思われたが18分、同志社は22mL中央での大東大オフサイドの反則からショットを選択、SO⑩嘉納が確実に決めて23-17と6点差とした。
大東大も26分、同志社が相手のスキを突くべく狙ったショードロップアウトからボールを確保。最後は後半18分にPR①小島燎成に替わった⑰松山青が中央にトライし、Gも成ってついに逆転に成功した。
24-23。追う展開になった同志社は焦りを見せない。29分、SO⑩嘉納が22mL左中間からのPGを決めて再逆転(24-26)。
すると、37分にもWTB⑭大森がG前10mラックを起点に左隅にトライして差を7点に広げた。
しかし1トライ1Gで同点となる。ロスタイムに入り最後のチャンスが訪れた大東大は41分、G前右ラインアウトからモールを形成、中央に移動させたいところだったが、キャプテンHO②酒木凜成が押さえたのは右隅を余儀なくさせられた。同志社のモール対応が成功した場面だった。CTB⑫戸野部のコンバージョンは惜しくも外れ、ノーサイドの笛が鳴らされた。
会見レポート
大東文化大学
日下唯志 監督
素晴らしい環境で、たくさんの観客が入っている前で大学選手権をプレーできたことをうれしく思う。準備していただいた関係者にお礼を申したい。選手たちが最後の最後まで諦めずに頑張って戦ってくれたことを誇りに思う。リーグ戦で思いどおりの試合ができない中でもしっかり勝ちきってきた。きょうも厳しい状況になるのはわかっていたので最後の最後は勝ちきってくれると信じていた。立ち上がりから同志社大学のすばらしいアタックでディフェンスが後手を踏んだことと、セットプレーと反則の繰り返しで思い通りの試合ができなかったのが残念だった。ボールをキープできるようになってからはうちらしいアタックができるようになり、来年に向けて残してくれた。
酒木凜平 キャプテン
有観客での大学選手権で試合ができることはうれしくありがたく、関係者や応援してくれた人に感謝したい。試合はチームの課題だった最初の入りで受けてしまい、同志社にいいようにやられてしまった。僕たちの強みが出る部分が遅れてしまい、勝ちきれなかった。自分達の強みを出しきれなかった。勝負できていたところは来のチームに繋がるし、自分たちができなかったことを次のチームがいい形に向かわせてほしい。負けたことは悔しいが次につながるゲームだった。
Q:最後の正面のPGで逆転可能な点差にする場面があった。最後のモールで真ん中へもっていきたかったのでは?
酒木キャプテン
PGはリスクが大きいと思った。自分たちの強みであるモールは取り切れる自信はあり、ゴールポストの方向へしっかり押そうとしたが、同志社のディフェンスがすごくて、まっすぐになってしまった。
Q:最後のコンバージョンゴールを狙う戸野倉選手にどんな声をかけたか?
酒木キャプテン
自分がやることだけやってもらったらいいよと声をかけた。
Q:プレッシャーのかかる場面でどう気持ちをコントロールしたか?キック後みんなが集まってくれた時の気持ちは?
戸野辺謙 選手
みんなから何も考えず思いっきり蹴れと言ってくれ蹴りやすかったが、外れてしまい、思いがこみ上げてきた。
Q:前半、20点差になってどう巻き返そうとしたか?
酒木キャプテン
得点を取られている原因がペナルティーとキックカウンターのディフェンスの甘さという自分たちのミスだけだったので、修正してアタックすれば得点が取れるイメージがあった。結果、取れていたのでペナルティーとディフェンスだけ修正して自分たちらしいラグビーをしようと考え声をかけた。
Q:オフサイドを多く取られたが
酒木キャプテン
出足を早くしようとし過ぎてディフェンスラインの整備ができておらず、前に出てしまっていた。コミュニケーションをとれば解消できる問題だった。練習の中から、意識はしていたがやりきれていなかったので結果こうなってしまった。今後のチームは細かいところまで意識してやってほしい。
Q:キャプテンのノックオンで相手の最後のトライを取られたが
酒木キャプテン
チームに迷惑をかけたがミスしてしまったのをどうこうすることができないので、ミスは考えずに自分ができることをやろうと思った。
Q:プレッシャーのかかる最後のラインアウトはどうだったか
酒木キャプテン
相手は競ってくる感じもなく、特に変わったことはなかった。
Q:晴れやかな印象だが
酒木キャプテン
良くも悪くも大東らしい試合だったと思う。悪い部分は、大味で入りの部分でやりきれないところが出てしまった。自分たちのペースになった時の得点力やチームの雰囲気は強みだ。試合後は悔しいがめそめそしても次につながらず大東らしくないと思う。次にステージにつなげていかないといけない。
Q:前半の終わりに抜けられたら危ないところをいいタックル防いでいたが?どういうイメージで守っていたか?
戸野辺選手
抜けられたらフルバックしかいないので、2対1のプレーより自分が返って1枚でも多い方がトライされる確率が少ないので頑張って返った。
Q:1年間、留学生選手もいる状態でポジション争いをして12番を維持した気持ちは?
戸野辺選手
1年生のハニテリと同じポジションだが、自分は派手なプレーはできないので泥臭いプレーをしてチームに貢献しようとした。横のラトゥともコミュニケーションをとって、やりやすい雰囲気づくりに努めた。
Q:最後の場面は決まれば次に進めるのはわかっていて蹴ったのか?
戸野辺選手
そいうことは考えずに蹴った。
同志社大学
伊藤紀晶 ヘッドコーチ
今日の試合は、最初の20分はいいペースでいつもやっているプレーが出せていたが、テンポよくトライを取れたことで、逆に気が緩んだわけではないが、少しサポートが遅くなったりプレーが雑になったり、フィニッシュの大事なところでミスが起きて、こういう試合展開になった。
南光希 ゲームキャプテン
先週に続いて同志社のラグビーを80分間やり続けることをテーマに持っていたが、20分間は自分たちがボールをキープし続けて戦えたが、相手にボールが渡って相手のペースになってしまった。最初の20分を過ぎても自分たちの試合にできなかったことがここまでもつれたゲームになった。課題として最初の20分を80分間やり続けることを課題にやっていきたい。
Q:関西リーグで接戦を勝ち切れなかったが、今回は勝ち切れたが?
南ゲームキャプテン
関西リーグは負けた試合はすべて接戦だった。内容はどうあれ、勝ち切れたのは関西リーグを通して選手権に入って成長したのだと思うのでプラスに捉えて強みにできるようにしていきたい。
Q:最後の場面はどう見ていたか?
伊藤ヘッドコーチ
同点になるので外れてくれとの願いしかなかった。
Q:京産戦では狙わなかったPGを狙った場面は?
南ゲームキャプテン
ペナルティーの場所、風、ラインアウトの精度などを加味して、ショットを狙って6点差にしようとした。もう1本トライを取れば1トライ1ゴールで逆転できないところを狙った。関西リーグはボーナスポイントを考えてゲームしていたが選手権は1点でも勝ち切ることを意識してゲーム運びした。
Q:逆転されて焦りはなかったか?
南ゲームキャプテン
時間もあり取り返せる気持ちはあり、焦りはなかった。
Q:ハーフタイムはなにを意識して声をかけたか?
南ゲームキャプテン
20-12で後半どうなるかわからないゲームだったので、もう一回気持ちを引き締めようとした。後半の最初の15分、20分で同志社のペースにして、ゲームを優位にしようと声をかけた。
Q:具体的な戦術の指示内容は?
南ゲームキャプテン
FWは不用意なパスでサポートが遅れていたのでボールキープを意識した。敵陣で当て過ぎて下げ過ぎたので、いったん落ち着いてリスタートの形を持っているので、その形からトライをつなげようと指示した。
Q:次戦の帝京大戦ではどういったところが必要になるか?
南ゲームキャプテン
最初の20分間を80分間すれば勝てる自信はある。80分間出せるように1週間準備したい。
Q:昨年戦えなかった相手と戦えるが
南ゲームキャプテン
相手がどうこうより、昨年選手権に出られなかった先輩の思いを持って戦っている。目標は日本一なのでどこのチームにも勝とうという気持ちだ
Q:コンバージョンゴールのチャージや最後の突き放すトライなど大森選手の評価は?
伊藤ヘッドコーチ
最後のトライもFWがブレイクダウンをしっかりやってくれてチャンスができている。チーム全員で取ったトライだ。彼自身は相手が外へかぶり気味のところをカットインして最後はとトライを取り切ったのは彼の強みである。これからも試合でも出し切れるように期待している。チャージも常にチーム全員でプレッシャーをかけようとしている。足の速いウイングがプレッシャーに行くのは基本。相手のキックモーションが時間がかかってチャージできたが、常に100%を出し切るという同志社が掲げているプレーを出し切れているのはうれしいことだ。
Q:勝ったからこそ嘉納選手に伝えたいことは?
伊藤ヘッドコーチ
キックの判断やほかのプレーも含め本調子ではなかった。修正能力が高いので、反省を生かした練習で改善できる。どういうプレーをしたらいいのかを選択して次の帝京戦で出してくれることを期待している。
Q:最後のコンバージョンゴールが外れたときの気持ちは?
嘉納一千 選手
最後はプレッシャーをかけることだけを考えていた。キックが入ったら負けることはわかっていた。
Q:攻めようとしたクイックでのドロップアウトの狙いは?
嘉納選手
相手FWが前を抑えていなくて薄い状態だったのでチャレンジしようと思った。あの場面は6点差でしっかり奥に蹴ってディフェンスからやった方がよかったとの反省はある。
Q:難しい風だったが、ゴールキックの時どのような難しさがあったか?
嘉納選手
前半は風下でボールが押されて戻ってくる状況だったので、なるべく低く速いボールを意識して蹴った。
Q:いつもは精度が高いゴールキックだが、今まで1本も入らなかったことがあったのか?
嘉納選手
あまりなかった。
Q:接戦をものにしたが、帝京大戦に向けての抱負を
嘉納選手
1週間でいい準備をして、強い相手なのでしっかり、どんどんチャレンジしていきたい。
Q:勝ててほっとしたか
嘉納選手
ほっとした。
Q:カウンターでナイスゲインがあったが、感想は?
山口楓斗 選手
同志社がカウンターに力を入れており、僕も得意としている。前半から強い気持ちでカウンターをしていた。ゲインが取れ、チームにいい流れがいってよかった。
Q:大東大を意識して突きどころはあったか?
山口選手
大東大だからこだわったアタックではなかった。
Q:最後の相手のキックを待っている心境は?
山口選手
得点板を見ていなかったのでトライを取られた時点で負けたと思った。
Q:帝京大戦はどこがポイントになるか?
山口選手
格上でもありフィジカル面でも強いと思う。ブレイクダウンなど基礎的なところにこだわって相手が乱れたところを突きたい。
Q:高本さんと対決できるが?
嘉納選手
うまいし、高校時代から尊敬していた先輩なので、どんどん仕掛けてチャレンジしていきたい。
Q:BKSとしてどのようなイメージで臨んだか?
山口選手
朝日大戦はBKSのミス、ボールロスも多かった。1週間でクオリティーを上げてボールキープを意識ようと臨んだ。
Q:和田選手が前半で離脱したが?
山口選手
多少動揺はあったが、リザーブの選手はエナジーをも持っている選手。選手層が厚く選手が替わっても大幅に心配するイメージはなかった。
Q:カウンターアタックではどう見えていたか?一時トライを取り切れなかった要因は?
山口選手
カウンターの時は相手とのミスマッチを見る。自分は1対1で抜き切るイメージを持っている。我慢の時間でフェーズを重ねてチャンスをうかがっていたが、最後は自分たちのミスで終わったので次に向けて修正していかなければいけない。
(文責:大阪府協会、丸井康充)