3月27日(土) ヤマハ発動機  22-53 神戸製鋼

トップリーグ2021 第5節
2021年03月27日 13:00 K.O.
入場者数:6267人 天候:晴れ/微風
レフリー:塩崎公寿(日本協会A)
アシスタントレフリー:佐々木裕司(日本協会A) / 船岡克広(関西協会) / 嵯峨慶二(関西協会)
ヤマハ発動機 神戸製鋼
22 FULL TIME 53
3 前半 27
19 後半 26
詳細
(日本協会公式)
プレイヤー・オブ・ザ・マッチ
▶神戸製鋼 12 アタアタ・モエアキオラ

マッチレポート

ホワイトカンファレンスでこれまで4戦全勝の神戸製鋼と、2勝2敗といまひとつ調子の波に乗れないヤマハとのホワイトカンファレンスの一戦。
プレーオフを見据えたリーグ戦の折り返しとなる重要な意味を持つ一戦は春の好転に恵まれた花園ラグビー場で午後1時に始まった。

試合は、特に前半、神戸製鋼がスクラムで優位に立ち、厳しいディフェンスでヤマハを圧倒。
対するヤマハはノックオンなどのハンドリングミスやラインアウトでのミスがあり自分たちの流れをつかめなかった。
後半に入るとヤマハが前半の劣勢部分を修正。粘りを見せたが、前半の失点が大きく、流れをひっくり返すまでには至らなかった。神戸製鋼はショートパントをうまく攻撃に絡めた。

前半、1分もたたないうちに、攻め込んだ神戸製鋼はヤマハが犯したラックでのオフサイドの反則でショットを選択。これをSO⑩ヘイデン・パーカーが確実に決めて先制。
神戸製鋼はノックオンやキックミスなどプレーの精度に問題はあったがその後、11分にFL⑥トム・フランクリン、25分にCTB⑫アタアタ・モエアキオラ、32分にWTB⑪山下楽平、38分にCTB⑫モエアキオラがトライを奪った。


後半、どちらが先に得点するかが注目された。タッチ際の際どいダウンボールがトライとならなかったヤマハは直後の8分、相手陣のラックから、グラバーキックを絡め、最後はCTB⑬石塚弘章が押さえて反撃開始。
しかし神戸製鋼は11分、自陣G前から逆襲。ショートパントなどで前進しよく走ったLO⑤ブロディ・レタリックのトライで10―34。これで勝負あり。
神戸製鋼は14分、FB⑮山中亮平、16分CTB⑬ラファエレ・ティモシー、32分FL⑥フランクリンがトライを奪った。
ヤマハも19分、No8⑧クワッガ・スミス、37分、WTB⑭伊東力に替わって入った㉓中井健人がトライを返したが及ばなかった。

MOMは2トライをあげた神戸製鋼、アタアタ・モエアキオラに贈られた。

記者会見レポート

ヤマハ発動機ジュビロ
堀川隆延監督
神戸製鋼というチャンピオンチームと対峙して、経験値の浅い選手たちが、こういうプレッシャーの中でゲームができ、ゲームからたくさんのものを学ぶことができた。こういうプレッシャーゲームに自分の力が発揮できない理由などを、こういう経験を生かして、これからの成長につなげてほしい。大差のゲームにはなったがヤハマとして光が見えた試合だった。前節以上に自分たちのスタイルでラグビーをすることの重要性を試合を通してしっかり認識してくれたと思う。残り2戦は自分たちのスタイルをやりきることにこだわって日々成長していきたい。

大戸裕矢キャプテン
コロナの状況の中で開催してくれている協会の皆様、関係者の皆様、来てくれた観客の皆様、ありがとうございます。試合内容はプロップなど新しいメンバー、チャレンジするメンバーが神戸製鋼相手にいろんなチャレンジができたのではないか。悔しい思いもあるが、ビデオを見直したら、小さなことでポジティブに変われるところがたくさんあると思うので、来週のドコモ戦に向けて1週間、ポジティブにいい準備をしていきたい。

Q:先週からスタイルをやりきることの難しさは、今シーズンはどんなところか
堀川監督
先週からはかなり改善されている。自分たちがストラクチャーをひいて、いるべきポジションでプレーをし、空いたスペースにボールを運ぶことは先週よりはかなり改善できていると思う。特に前半、プレッシャーがかかった状況の中で、普段の練習通りの力が発揮できない、これがヤマハが乗り越えなければいけない壁であって、そういったことを若い選手たちが経験できたことがチームの成長につながる。

大戸キャプテン
監督と同意見。

Q:両プロップを先週と替えた意図は
堀川監督
今日のゲームプランではボールを持ってアタックしたかった。例えばセットプレーを減らしてペナルティーからタップキックでボールポゼッションを取ることをゲームプランとした。今日先発した1番、3番は力が発揮できると思い起用した。

Q:前半でスクラムで苦労したが後半はスクラムで互角以上の戦いができたと思うが
堀川監督
前半メンバーのスクラムの経験値が浅かったことだけだと思う。経験がチームの成長につながるのが一つの光というふうに感じでいる。

Q:前半の両プロップは大きな成長が期待されるということか
堀川監督
間違いない。

Q:ヤマハはセットプレー中心にがっちりイメージだったが、ステップアップしてボールを動かすスタイルにチーム全体として移行している意図を感じる。新リーグに向けてやラグビーの新らしい時代への要請を考えて移行を目指しているのか
堀川監督
ワールドカップで長谷川慎さん(スクラムコーチ)のスクラムが各日本代表選手を含めトップリーグに広まり、日本全体がトップリーグのスクラムに対する認識が大きく革新された。我々がやってきたスクラムでのアドバンテージは少なからず昔よりはなくなってくるなかで、基本的にヤマハスタイルは揺るがない。例えばスクラムで劣勢でも我々は違うものを成長させなくてはならない。やはりボールを持ってどれだけアタックできるか、昨年からアンストラクチャーからも含めいろんなことに取り組んでおり、大きな伸び代を感じている。

Q:清原選手の評価は
堀川監督
きょうはまずまず。清原選手らしいプレーができる時間帯もあったがプレッシャーを受けてボールを後ろに下げるシーンもあった。いい学びを得たと思うし次の試合はもっとやってくれると思う。

清原祥選手
前半、セットプレーであれだけやられるとヤマハの良さが全然でない。後半セットプレーを修正するとああいう結果になるとみんなが感じた。ここから先、次につなげられる部分がしっかりと見つかった。

Q:後半流れがよくなる時間帯があって追い上げムードになり、そこでもう一本取るためにどうアタックを組み立てたか。どううまくいかなかったか
清原選手
スクラムを押してくれたことが一番いい形になった部分。自分たちの形が作れない部分ではターンオーバーされたり失点につながったと思う。

Q:神戸のディフェンスが想定より違ったり、読みより優れていたか
清原選手
相手のディフェンスは思った通りのディフェンスだったが、2人目3人目のボールキャリアへのサポートが相手の方が早かったのがターンオーバーされたり、そのまま持っていかれたりして自分たちのミスにつながっていた


神戸製鋼コベルコスティーラーズ
デーブ・ディロンヘッドコーチ
きょうの勝利をうれしく思う。1週間いい準備をして、準備をした内容がきょうの試合で出せた。パフォーマンスをしてくれたチームのことを誇りに思う。

日和佐篤共同キャプテン
1週間、いい準備ができた。試合中、難しい時間もあったが自分たちのプレースタイルを貫いて、相手のスペースにしっかりボールを運べ、いいゲームができた。

Q:前半スクラムを押せていたが
ディロンヘッドコーチ
スクラムやセットプレー全体でしっかり戦うことができたと思う。前半はしっかりスクラムを組めたが後半はやり返された。セットプレーは伝統的にヤマハの強みであり、しっかりコーチ陣がいい準備をしてくれた結果だ。

日和佐共同キャプテン
バックスとしてはセットピースで優位にたてるのは大きなアドバンテージになった。いい準備ができ強いヤマハのセットピースにノミネートできた。

Q:来週は神戸での初のパナソニックとの対戦だが、きょうの試合から弾みになりそうなとことがあるか
日和佐共同キャプテン
強いセットピースを持っているヤマハにしっかりプレッシャーを与えることができたのは自信になるし、空いているスペースにボールを運べたのも自信になる。自分自身も神戸に来てはじめての対戦で楽しみにしている。

Q:ヤマハは今までセット中心の組み立てだったが、きょうは違う戦い方で、どう感じたか。矢富選手とのプレッシャーのかけあいは
日和佐共同キャプテン
セットピースが強いのは前々からわかっていたし、ボールをキープして展開するプレースタイルのもわかっていた。ヤマハの素晴らしい時間帯もあり、守るのは大変だった。矢富選手とは長く一緒にプレーしてきたし、お互いのことをよく知っているので意識することもある。相手のスクラムハーフにプレッシャーをかけることでボール出しなどその他もろもろでプレッシャーをかけられる。矢富選手のプレッシャーはあったが素晴らしい選手とやれるのはうれしい。

Q:MOMのアタアタ選手の評価と12番に置く意味は
ディロンヘッドコーチ
アタアタは大きくスピードもあり、力もスキルもある選手。12番の方がボールを持つ回数が増えるので使った。強みはバックスの中でも複数のポジションができ、高いレベルでプレーしてくれる。いいパフォーマンスできたのは、FWがいいプラットフォームをつくってくれたからで感謝したい。

Q:パナソニック戦に向けて準備は
ディロンヘッドコーチ
強いチームでいいコーチングをしており、クオリティーの高い選手も多い。明日のヤマハとの練習試合をこなしてから考えたい。

日和佐共同キャプテン
ヘッドコーチと同じ意見。

ヘイデン・パーカー選手
リコー戦の反省の一つはボールをあまり回せなかったことだったが、きょうはワイドまでボールを回すことができ、ワイドにいた選手がしっかり活躍してくれよかった。

アタアタ・モエアキオラ選手
リコー戦よりボールを動かせたのが結果につながった。

Q:後半最初のトライで追い上げられ苦しいとき、さらに渡辺選手が怪我をしていたが思いきって展開したが、相手の陣形が見えたとか、何か狙いがあったのか
パーカー選手
我々はチャンスがあればボールを使って勝負をしようとのマインドセットでやっている。ターンオーバーからだったが、外からコールがあり外に回した。このトライは大きな勢いが相手にあったが、その勢いを止め、さらにいいパフォーマンスができた。

Q:今シーズンはインサイドセンターだがどんなプレースタイルを目指しているのか。何を求められているのか
モエアキオラ選手
まずは自分の強みであるフィジカルを優先し、周囲にレベルの高い選手がいるのでキックやパスなど他のスキルをレベルアップしたい。

Q:ベン・スミスとポジションチェンジしているが
モエアキオラ選手
ベンもセンターとウイングをやっているので入れるなら入る。やっていて楽しい。

Q:コロナで一旦ニュージーランドに帰ったが、どんなからだづくりや準備をしていたか
モエアキオラ選手
特別なトレーニングはしていない。家でできるトレーニングをしていた。以前とサイズはあまり変わらない。チームのトレーニングでは早く動くトレーニングをやっているので昨年より動きやすくなった。

Q:ワールドカップに出れなくて悔しい思いは変わっていないか
モエアキオラ選手
悔しい思いはまだある。チームでもどのポジションを任されてもウイングでもセンターでも自分の強みにしたい。

Q:2トライを振り返って
モエアキオラ選手
仲間がいいスペースをつくってくれたので自分の強みを生かせた。

Q:2年後のワールドカップへの目標は
モエアキオラ選手
前回の悔しい気持ちを忘れずに成長し続け出られるように頑張る。

(文責:大阪府協会 丸井康充)

フォトギャラリー

KRPU 古田浩


KRPU 萩原康夫

過去の試合情報一覧はこちら