マッチレポート
【強風のなかでの熱戦はキヤノンが制し今季初勝利。ヤマハ発動機は今季限りホームゲームで痛い2敗目】
昨日の激しい降雨が止み晴天となったヤマハスタジアム、上空での強風が吹くなかヤマハ発動機とキヤノンの試合が行われた。ヤマハは今季限りで引退を表明した五郎丸歩選手が先発出場し確実に勝ち点を重ねプレーオフを目指す。一方のキヤノンは今季3連敗中でリーグ戦の初勝利を目指す。
試合はキヤノンのキックオフで始まった。開始早々3分、キヤノンは敵陣10m付近からのスクラムを起点に攻撃しゴール前のラックサイドをWTBエスピー・マレーが突きトライ。0-5とキヤノンが先制する。
これに対しヤマハは、13分にキヤノン陣22m中央付近で得たペナルティからFB五郎丸が確実にゴールを決め3-5と追い上げを見せる。しかし、キヤノンは相手がディフェンスを崩すことができずにいたところ、22分にCTB南橋直哉がゴールポスト右へのトライを上げ点差を広げる。
その後は、お互いに相手陣に攻め込むもトライに結びつかず、攻めあぐんでいたが、前半終了間際、ヤマハはペナルティで得た敵陣ゴール前ラインアウトからモールを押し込み、SH矢富勇毅が左隅にトライ。8-12と追い上げ、前半を終了した。
後半に入り開始早々3分、ヤマハは敵陣右中間付近のスクラムから攻め、LOヘルウヴェが右隅にトライし13-12と逆転。
ヤマハの流れと思われたが、キヤノンは9分にCTBジェシー・クリエルが、13分にはSH新井康植が続けてトライ。それぞれのコンバージョンをSO田村優が確実に決め、13-26と引き離す。
これに対し、ヤマハは56分にキヤノンのパスミスからのこぼれ球を奪い、最後はWTBマロ・ツイマタが左隅にトライ。18-26と追い上げを見せる。
その後、キヤノンは、59分にCTBジェシー・クリエルがヤマハディフェンスの間を突きトライを挙げヤマハの反撃を抑えたかに思えたが、ヤマハは73分にLOヘルウヴェ、75分には途中出場のWTB中井健人が立て続けにトライ。FB五郎丸が確実にコンバージョンを決め、32-33と一点差まで追い上げる。
このままヤマハの勢いが続き逆転勝利が期待されたが、終了間際の77分キヤノンは敵陣深くにボールを蹴りこみ、ヤマハが確保したボールに圧力をかけヤマハ陣ゴール前でターンオーバー。そのまま右に展開し最後はWTBマイケル・ボンドが右中間にトライ。SO田村優のゴールも決まり、32-40とヤマハの反撃を抑えそのままノーサイド。
攻防めまぐるしい戦いはキヤノンがチームの目指すラグビープランを遂行し、リーグ戦初勝利をあげた。一方のヤマハ発動機はキヤノンの激しい圧力に屈し痛い2敗目を喫した。
この日のマン・オブ・ザ・マッチは、強風の中ゴールキックを確実に決めたキヤノンのSO田村優が受賞した。
また試合後は、五郎丸歩の引退挨拶、大多尾コーチングコーディネータの早稲田大学ラグビー蹴球部への監督就任挨拶が行われ、地元ジュビロファンから熱い拍手が送られた。
(文責:静岡県ラグビーフットボール協会 田代俊彦)
記者会見レポート
ヤマハ発動機ジュビロ
堀川隆延監督
トップリーグヤマハ発動機ジュビロとして最後のヤマハスタジアムの戦いになった。素晴らしい環境を整えていただき、県協会の皆様に感謝したい。
その中でいろんな意味のある戦い、例えば五郎丸は引退前の最後のヤマハスタジアム、大田尾の最後のゲームなど、いろんな思いの詰まったゲームであったが、8点差の勝利できなかったことが非常に残念。
ただ、自分たちに足りないものがたくさんあったゲーム。自分たちのスタイルを信じるきることの重要性をしっかり選手とコミュニケーションをとって、残りのリーグ戦の3戦を良い準備をし、もう一回自分たちのスタイルに立ち返り前進していきたい。
大戸裕矢キャプテン
こういう状況の中で開催してくださった県協会の皆さん、関係者の皆さん本当にありがとうございます。先ほど監督からあったように大田尾竜彦さんが、このゲームでヤマハを去って早稲田へ行く、五郎丸さんラストのシーズン。勝っていいかたちで竜さんを送り出してあげたかった。
キヤノンさんのプレッシャーもあり、自分たちのラグビーをまたもう一回見つめなおすいい機会ができた。
足りないものはたくさんあったと思うので、また次の神戸戦では強くなったヤマハを見せられるようトレーニングをして戻ってきたい。
Q:自分たちに足りないものがあったと話があったが、具体的に今日の敗因など足りないものは何か。
堀川監督
2つある。まずディフェンスにおいては自分たちの規律があるが、ヤマハの掟があるが、自分たち自身で守れなかった。キヤノンさんのプレッシャーもあるかもしれないが、自分たちのスタイルをやりきれなかった。アタックはヤマハのストラクチャーを使えた時間が少なかった。
自分たちのやりたいアタックができなかったこと、練習でやったことがゲームで出せなかったことが、敗因というより自分たちのできなかったこと。見つめ直していきたい。
Q:監督の言った内容について、選手サイドから何故そういうことが起きていると感じられるか。
大戸キャプテン
ディフェンスに関しては、レフリーがしっかりと発言してくれているところに沿ったアクションができなかった。グラウンド上で選手が改善できたところだったと思う。アタックはあと2、3フェーズ我慢すれば崩せた場面もあった。ヤマハ独自のストラクチャーを見直していきたい。
五郎丸歩選手
13年間戦ってきたこのスタジアムラストの試合で、勝ってみなさんに恩返しできなかったのが心残りですが、次に切り替えてしっかり頑張っていきたいと思います。また、大田尾さんのラストを勝利で送ってあげたかったので悔しく思っている。
Q:キヤノンさんの想定を上回ってきたところはどこだったか。
五郎丸選手
想定を上回るというより、うちのペナルティが多かったかと思う。
Q:終盤1点差まで詰め寄ったが、そのシーンの振り返りを。
五郎丸選手
こういう展開にしてはいけないのがヤマハスタイル。ただ、追い上げるだけの力がついたのはひとつの収穫です。
キヤノンイーグルス
沢木敬介監督
イーグルスのラグビーを遂行する信頼する力が出てきたと思う。
田村優キャプテン
今まで負けが込んでいたからじゃなくて、今までと変わらずしっかりと出来て結果がついてきた。いい試合だったので、これからも続けて一週間頑張っていく。
小倉順平選手
FWがすごく頑張っていた。チームがいままで掲げてきたものが良いかたちで出た。引続き頑張る。
Q:スタイルを信じ切れた、遂行し切れた、そうなった理由とは。
田村キャプテン
負けが込むと自分たちを疑うことがあったが、試合でプランを遂行できていたので、今日はそれができてよかった。
小倉選手
トライした後もされた後もみんなで集まった時に人の目を見て話しを聞いているし、次何をやるかを遂行できたので、それがすごくお互いの信頼感につながっていた。
沢木監督
常に100%の準備をして力を出さないと結果が出ない。今日は自分の出せる力を100%出そうという努力が見えた。
Q:14人の時間帯があったが最後にどんな指示を出したか。
沢木監督
シンプルに(試合終盤は)運動量を上げるようトレーニングをしてきた。そこだけです。
(文責:静岡県ラグビーフットボール協会 石川諒一)
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■谷本結利