マッチレポート
1年ぶりの公式戦となったトップリーグ参加の16チーム。堅さがみられた第1節を受け、第2節ではどのような戦いぶりを見せるか注目された。
大阪市東住吉区のヤンマーフィールド長居では、NTTドコモレッドハリケーンズとNECグリーンロケッツが対戦。
前節、NTTドコモはキヤノンに26-24と劇的な勝利を挙げ、勢いに乗る。
NECは神戸製鋼相手に47-38と9点差まで迫る戦いを展開したが及ばず、早く「1勝」を上げたい。
試合は、NTTドコモが先行しNECが追う展開。
NECは一時、5点差まで迫ったが及ばなかった。双方計27(FK含む)の反則、ハンドリングやパス、ラインアウトなどでミスがあり、自分たちのリズムに乗った攻めが継続できなかった。次節への課題となった。5000人の入場制限の中2232人が見守った。
試合は晴天に恵まれたが北寄りの冷たい風が吹くコンディションの中、NECの元イングランド代表SO⑩アレックス・グッドのキックオフで試合は始まった。
風上を利用したNTTドコモが相手陣で試合を進めた10分、相手反則で得たPKからタッチ。G前5m左ラインアウトからモールを押し込み、最後はHO②牛原寛章が押さえて先制した。
一方「試合の入り」をチーム課題にしていたNECも16分、やはり相手反則からのPKでタッチキック。G前5m右ラインアウトからのサインプレーでNo⑧ジャック・ラムが飛び込んでトライを返した。前節の神戸製鋼戦でも成功させたプレーだった。
その後NTTドコモは31分にSO⑩オーウェン・ウイリアムスのPG、WTB⑪山本貫太のトライと得点を重ね、17-5で前半を終えた。
後半は、風上に立ったNECがどのような試合運びを見せるか興味がもたれた。
しかし後半も先制したのはNTTドコモ。いきなりの4分、NECのラインアウトのミスからチャンスをつかみ、最後はG前ラックサイドからCTB⑬ベンジャミン・ソーンダースが押さえ突き放した(24-5)。勝敗の分かれ目だった。
NECは神戸製鋼戦同様、粘り強くの攻撃。10分、FL⑦亀井亮依、11分、14分にHO②川村慎に代わった⑯佐藤耀がトライして5点差まで迫った。しかし、NTTドコモはSH⑨TJ・ペレナラの連続トライで突き放した。
MOMにはハーフ団の一員としてゲームメイクに貢献、前述の2トライを挙げたTJ・ペレナラが選ばれた。
記者会見レポート
NECグリーンロケッツ
浅野良太ヘッドコーチ
開催にあたってご尽力いただいた皆様、ありがとうございます。2節目ということで、まだ難しい環境の中、観客を入れて開催できことは心強く、感謝している。試合は「前半の入り」を大切にしようとしたが、前半8分までに4つのペナルティーをしてしまい、風上の後半の立ち上がりにもスコアされてしまったことはもったいなかった。15分に1トライ差までいったところまでは良かったが、相手のプレッシャーが強く止めきれず、最後25分間われわれのラグビーができなかったことは非常に悔しい。いい準備をして来週のヤマハ戦は勝つ試合をお見せできるよう頑張る。
亀井亮依共同キャプテン
風下で点差を追う形にはなった。ペナルティーを重ねつつではあったが前半しっかり我慢でき、後半に臨めた。2本トライを返したが、ゲームの肝心なところで、自分も含め判断ミスで相手に流れを引き寄せてしまった。仕留めきる場面での判断やプレーの選択の重要性を感じた試合だった。来週以降も自分たちの戦いの軸は認識しているので頑張りたい。
瀧沢直選手
試合に向けての準備やモチベーションの面でもう一度考え直さないといけないのではないか。準備は胸を張ってできていた部分もあるし、甘いといわざるをえない部分もあるかもしれない。ドコモの方が勝ちたかったという気持ちが強かったと思った観客が半数以上だとすれば、それが負けた原因かもしれない。ドコモは先週の劇的な勝利の勢いをこの試合に持ってきた。NECは前回の敗戦をどう受け止めたかが鍵で、全員が考えなければならない。
Q:(NTTドコモの)ペレナラ選手の加入でゲームの組み立て方などが例年と変わったと思うが、ディフェンスなどでは感じた印象は?
亀井共同キャプテン
ペレナラ選手を起点にペナルティーでの速攻やテンポの良い球出しは認識していた。ブレイクダウンで差し込まれて受けてしまい、ペレナラ選手を自由に走らせ、仕掛けさせてしまい、彼の良さをすんなり出させてしまったことは今回の敗因でもある。ハーフとしてのゲームコントールやゲームでの決め手となるところでのプレーはさすがだと思う。
Q:前半立ち上がりでの立て続けのペナルティーの要因は?
浅野ヘッドコーチ
「入り」での意気込みの部分と冷静さを保たないといけない部分のバランスだったのかと思う。ネガティブなペナルティーではなくチャレンジした中でのペナルティーだったと捉えており、規律と実行の差と思う。
NTTドコモレッドハリケーンズ
ヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ
まずは勝てたことはうれしい。スコア的には実際にはあれほど開いた内容ではなかった。前半はいいリードを取れ、いい形で終われた。後半は風下で厳しくなると思っていた。いろんな状況で判断ミスをし、簡単にトライを与え苦しい状況を作ってしまったが、選手が我慢強くやってくれ勝つことができた。良い判断や練習などまだまだ課題は山積みではあるが、プレッシャーの中での選手たちの姿は誇らしいものがある。
ローレンス・エラスマス キャプテン
NECにいい試合をしてもらい感謝している。内容では不要なミスが多かったが、運がよかったことにボールがこちらに跳ね、みんながいいリアクションを取ることができた。次のリコー戦が楽しみだし、来てくれた皆さんに多くの感謝を示たい。
Q:見たいファンも多いマピンピ選手が2試合連続でベンチを離れているが?
アッカーマンヘッドコーチ
1試合1試合ベストのメンバーを組むことを第一と考えて、その上で戦術や試合に合った戦い方を考えメンバー選考している。まだマピンピを起用する場面がなく、ほかのポジションをカバーするほうが重要な状況が続いている。今後の戦い方ではマピンピはもちろん使っていく。
Q:2017年以来のリーグ戦2連勝はチームの自信や良い影響を与えることはあるか?
エラスマスキャプテン
チームとして劇的に成長している途中で、当時と比べて全く違うチーム。新しいコーチ陣、選手が来たことで様々な経験が入ってきて、今後が楽しみだ。
TJ・ペレナラ選手
NECはタフな相手でミスに付け込むことができるチームだと分析していたので、できるだけミスを少なくしないといけないと思っていた。我々は完璧には全く程遠く自分自身も悪いパスを投げてそこからトライを取られたり、ペナルティーを数回重ねて簡単にトライを取られるなど、まだまだ改善しないといけない。仲間のみんなの戦いぶりは誇らしくエネルギーは素晴らしかった。
オーウェン・ウィリアムス選手
最初の20分間で簡単なミスで付け込まれないように堅い試合運びをしようとしたが風もありうまくいった。ハーフタイムの段階でリードを奪えたことは良かった。後半最初はいい形でスタートできたが、簡単に2トライ取られ、悪い状態になったがリカバリーして最後は良い形で終われた。
Q:NTTドコモとして最初のプレーの印象は?
ウィリアムス選手
初戦勝っているので更に勢いづけるための大切な試合でそこにフォーカスしていた。いい形で勝利を得られたのでうれしい。これを続けていかないといけない。勝てたので落ち着いて誕生日を楽しみたい(本日誕生日)。
Q:ペレナラ選手とのハーフ団は?
ウィリアムス選手
トッププレーヤーであり、同じ目線でやれていてやりやすい。スター性のある選手で、きょうも2トライを取りチームにとっても大きい。
Q:トライを振り返って
ペレナラ選手
どちらのトライも同じ。ラグビーボールのバウンドは不思議なもので、しっかり攻撃的に攻めて追いかけると手に入ることが多いと思っている。そうでないときもあるが、きょうは良いほうに向いてくれた。
Q:スクラムハーフとして指揮の部分とトライを取る部分の使い分けは?
ペレナラ選手
ハーフとしてトライを取ることは大切なことではなく、大切なことはゲームをマネジメントすることだと思っている。チームの士気を高めるのは大切で、ハーフバックスはコンタクトの強度がほかのポジションより少ないので、その分のエネルギーを使っている。ウィリアムス選手と同じ目線でものが見えるのでやりやすかった。
(文責:大阪府協会 丸井康充)
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