マッチレポート
待ち望まれていたトップチャレンジリーグがいよいよスタート。13日に続いて第1節の1試合が、好天に恵まれた聖地、東大阪花園ラグビー場で無観客により行われた。この日の近鉄・清水建設戦は大阪での開幕戦となったが、選手、チーム関係者、協会役員とも、新型コロナ対応に配慮した幕開けとなった。
今シーズンの同リーグは、19-20年の成績をもとに中国電力(トップ九州1位)を加えた9チームをAグループ4チーム・Bグループ5チームに分け、グループチームと対戦し、その成績による順位決定戦が行われる。
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戦前、近鉄に新加入した元ワラビーズ・SH⑨ウィル・ゲニアとSO⑩クウェイド・クーパー、それに片岡涼亮と吉本匠両新人のプレーぶりに注目が集まった。
試合では、SH⑨ゲニアのテンポの良いパス出しや、SO⑩クーパーの巧みなパス回し、自在なポジショニング、絶妙のキックが目を引く。自らの動きで相手ディフェンスに穴を開けWTB⑭ジョシュア・ノーラが縦に切り込む攻撃は相手を翻弄した。
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一方、最終スコアこそ近鉄の圧勝だったが、一時は5点差まで迫る清水の粘り強い攻撃、真摯な戦いぶりが印象に残った。ただ、お互いにディフェンス面で甘さが見られたりハンドリングミスもあり、次節への課題となった。
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試合は近鉄・SO⑩クーパーのキックオフで始まった。近鉄はいきなりの2分、ラックから相手を引き付けたCTB⑫ステイリン・パトリックがCTB⑬パスカル・ダンにつないでトライ。9、14分にもトライを重ね、清水建設は出鼻をくじかられた形になった。
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清水は19分、相手陣で右タッチ際にキックパス。最後はFB⑮コンラッド・バンワイクがトライした。33分にも初めて得たPKからタッチキック。G前5m右ラインアウトからモールを押し込み、PR①ペッカホウ・カーワンが押さえ、更に38分にもLO④渡邉洋人が得点し5点差まで迫った。
しかし、近鉄はロスタイムに入った45分、相手陣でSO⑩クーパーがバックスタンドサイドからメインスタンドサイドへの絶妙のキックパス。これのボールをWTB⑭ジョシュア・ノーラがインゴールへグラバーキックし、追いかけたSH⑨ゲニアがトライを奪った。このトライで勝敗が決した感があった。
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後半に入っても近鉄は攻撃の手を緩めず、6分に片岡がこの日2つ目、40分には31分にCTB⑬ダンに替わった㉒吉本のトライを含め、7トライの猛攻で圧勝した。
清水も34分のラックのサイド攻撃でLO⑤ジョシュ・ベックハイスが、37分にも相手ノックオンのアドバンテージを生かした攻撃でCTB⑫野田涼太がトライを奪ったものの及ばなかった。
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コメント&インタビュー
清水建設ブルーシャークス
大隈隆明 監督
まずはコロナ禍の中にもかかわらず、関係者の皆さんのおかげでシーズンが無事に開幕できたことに感謝する。試合のほうは少し厚かましいかもしれないが、昨年0勝だったブルーシャークスがチャンピオンの近鉄ライナーズ相手に本気で勝つつもりで花園にやってきた。このような結果になったのは本当に悔しいの一言である。
尾﨑達洋 キャプテン
まずはこの試合ができたことに関係者の皆さんに感謝する。その上で、一年間ハードワークしてきて近鉄に勝とうということを目標にやってきた。試合としては、最初に連続して失点するという悪い流れとなったが、もう一度自分たちのやってきたことを振り返って、何ができるかを考えて自分たちの強みを出して行けたと思う。今回、負けてしまって悔しい思いでいっぱいだが、次戦の釜石戦に向けてチーム一丸となって勝利を目指していきたい。
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Q:開幕戦、近鉄相手に手ごたえを感じた点と次戦に向けた課題は?
尾﨑キャプテン
まず、近鉄相手に通用したのはアタック面。皆がハードワークしてくれて良いゲームができたと思う。その結果、5本のトライもとれたので次戦に向けては良い糧となったと思う。ディフェンス面で再三食い込まれてしまったところがあるので、そこはもう一度、見つめなおしていきたい。
近鉄ライナーズ
有水剛志 ヘッドコーチ(HC)
まずはゲームができたことに関し、清水建設ブルーシャークスさん、関係者の皆さん、有難うございました。今シーズンのライナーズは最終的にトップリーグの2nd.ステージ、プレーオフでのトップ8をターゲットにチーム活動を行っているが、そこに向けての貴重な第1戦として今日のゲームに立ち向かった。自分たちのテンポになることもあったが、清水建設の激しいプレッシャーで自分たちのリズムをなかなか作れない場面が多かった。今日のゲームで明らかになった課題を必ず解決して、今後トップ8に向けて精進していきたい。
マイケル・ストーバーク ゲームキャプテン
全体的に良い試合になった。もちろん清水建設のプレッシャーは強かったが、それに対抗するために修正、学ぶ点は多くあった。公式戦から1年以上離れているため、うまく相手に対抗できないこともあった。ヘッドコーチからは試合後のミーティングで、勝利は勝利だがまだまだ課題が多いとのコメントがあった。その課題解決にきちんと取り組んで、強いライナーズを作っていく。
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Q:片岡涼亮、吉本匠のルーキー2人が出場していたが、その評価は?
有水HC
片岡涼亮は70分ほど出場したが、その中で自分のアグレッシブなプレイスタイルを出せていた。吉本匠は最初、クウェイド・クーパーに代わってSOとしてプレーしていたが、片岡の負傷もあり途中から12番としても上手くアジャストしてくれた。緊急事態のフォーメーションであったが、そこでもきちんと対応できていた。
(文責:大阪府協会 石川 悟、丸井 康充)
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