マッチレポート
神戸ユニバー競技場は薄く雲がかかっているが天気は晴れ。風もあまり強くなくプレーしやすい天候の中、関学のボールで試合開始。
7分天理が関西学院ゴール前右側でのラインアウトから、そのままモールを押し込み、右サイド14番(土橋)へパスし走ってトライ。難しい角度からのキックも10番(松永)が決め0-7。
関学は22Mラインからボールを持った15番(奥谷)が相手のDFの間をすり抜け走る。ショートパントを上げ、自らトライを狙うが惜しくもボールを押さえられず、エンドラインを割ってしまう。
しかし関学は、前半11分にPGを決め、3-7と確実に点差を縮めていく。
27分天理陣22メートルを超えたあたりでのラインアウトから関学は少しずつ左サイドでボールを回し前進する。天理のDFも粘るも関学左サイドから中央にいた3番(小寺)へパスが回りそのまま前進。パスをつなぎ最後は23番(坂原)左サイドでトライ。キック成功10-7。
最初こそ押されていた関学だが、このファーストトライから流れを掴み、スピードを生かしたプレーが続く。
35分には関学が相手のDFに囲まれるも素早く中央を抜け左へ展開し、スピード落とさずにフェイクを入れながら最後は13番(塩谷)が左サイドでトライ。キック成功17-7。
直後、天理は敵陣5Mラインでラインアウト、関学もスクラムを横に押し前進を止め、5Mラインでのせめぎ合いが続く。 この攻防に勝ったのは天理。39分、右にボールを回して最後は13番(フィフィタ)が2人のタックルを受けながらも手を伸ばしてトライ、キック成功17-14で前半終了。
後半、関学は前半同様スピードで走り抜きたいところだが、天理の厚いDFに阻まれる場面が増える。
試合の流れが大きく変わったのは57分、関学の危険なプレーにより、関学7番(上條)がシンビン。関学は1人少ない中でのプレーを強いられることとなる。
このチャンスを逃さなかった天理、58分タックルを受けても倒れない強さで19番(中鹿)がゴールラインへ攻め込み最後は10番(松永)がトライ、キック失敗するも17-19と天理が逆転に成功。
62分ゴール前に攻め込んでいた天理にも危険なプレーがあり天理1番(谷口)がシンビンとなり両チーム同じ人数になるが、流れを渡さない天理が連続攻撃。67分ゴール前中央のラックから出たボールを天理9番(藤原)がゴール中央にトライ。キック成功17-26。
その後もキックオフのボールを素早く回し相手とのギャップを作った天理は、関学のDFを振り切り10番(松永)がトライ、キック成功17-33と突き放す。
関学がミスを連発する中、74分、天理が右サイドに展開、タックルを受けても倒れないパワーに加え、スピード豊かに突進する天理を関学のDFは止められず、最後は天理14番(土橋)がトライ。キック成功で17-40。
試合終了間際時間がない関学は果敢に攻め込むも、時すでに遅く、最後は天理がペナルティゴールを決め、17-43でノーサイド。
POMは天理大学9番藤原忍。この勝利で天理大学が大学選手権出場を決めた。
試合後コメント
関西学院大学
小樋山樹監督 ※記者会見から
本日はこのような試合を設けていただき、ありがとうございます。天理は本当に強いチームだが、絶対に勝つという強い気持ちで挑んだ試合だった。点差だけ見ると離れてしまったように見えるが、1つのミスの大きさに気づいた、いい試合だった。大学選手権でもう一度天理にリベンジできるよう次戦に向けて準備していきたい。
竹内海斗主将 ※記者会見から
悔しい気持ちでいっぱいであまり言葉が出てこない。日本一という目標を掲げた中で天理は大きな壁だと考えていて、ここに勝たないと日本一は届かないと思っていた。来週の大学選手権をかけた試合に勝ち、天理にリベンジしたい。試合に関しては惜しい試合はいらない、絶対に勝ち切ると話していたが小さなミスで相手にのまれてしまったという印象。
Q:前半良かった点、後半の内容について
小樋山監督
前半の良かった点は15人全員が体を張ってタックルができていた。後半、相手に流れがいってしまった時に、ミスに対する反応は天理が素晴らしかった。
Q:今日の試合でできたこと、できなかったこと
竹内主将
FWはDFで前に出ることができていた。アタックもBKを交えてできていて相手も嫌がっていた。後半はスクラムでペナルティを重ねてしまうなど、一人一人の気持ちの部分で負けてしまった。
呉嶺太選手
FW対FW、バックス対バックスになると負けてしまうと思っていた。前半はお互い絡みながらアタックできたのが良かった。後半は疲れてきて、天理の圧力を感じ始めた時からコミュニケーションの量が減ってしまった。そこでFW対FW、バックス対バックスの一番嫌な形になってしまったので、次戦修正していきたい。
Q:今年は調整が難しい1年だったと思うがそこに関してはどう感じているか
小樋山監督
そこに関しては言及することはない。限られた環境の中で個々ができることをしっかり考えてやってくれていた。次の試合に向けて絶対に勝てるよう調整していきたい。
天理大学
小松節夫監督 ※記者会見から
本日はありがとうございました。今日勝てば大学選手権出場が決まるので、関学のプレッシャーに負けないよう、自分たちから体を当てにいくことを意識したが、ミスが多く、関学のプレッシャーやエリア取りの上手さで、うちのペースにならず、久しぶりに厳しい試合だった。しかしこのような試合を勝ち切れたことは次に向けていい経験になったので、これを糧に全国大会に臨んでいきたい。
天理大学
松岡大和主将 ※記者会見から
関学のプレッシャーに対して、自分たちから体を当てようと思っていたが相手の巧みさと、FWのセットプレーで圧倒されてしまった。後半流れを変えてくれる選手も出て、こういった経験できたことは大きいので、しっかり切り替えて次戦に臨みたい。
Q:前半最大10点差となったが、インゴールで何を話した?選手に動揺はあったか。
松岡主将
リアクションを早くしようと話していたが、そこがうまくいってなかったので早くセットし、前を向いて切り替えようと話した。
Q:どんなプランで逆転しようと思ったか。
松永拓朗選手
前半は、自陣で相手のペースでプレーすることが多かったが、敵陣に入れば自分たちのプレーができるとわかっていたので、とにかく敵陣に入り自分たちのラグビーをしようと思っていた。
Q:2本目のトライ後、ガッツポーズしていたが。
松永選手
ずっと嫌な流れだったので、サインからのワンプレーで流れを変えることが出来、感極まった。自分たちのミスが続き相手のペースのときはしんどかったが、後半は我慢できる場面が多くなったので良かった。
Q:勝因は?次戦に向けての意気込み。
松岡主将
前半は慌てたので、後半はもう一度しっかりリアクションしようとしたのが良かった。後半最初はミスもあったがバックスが流れを変えてくれ、しっかり全員が体を当てることをできたことが勝因。FWのセットプレーやラインアウトからのモールなどが課題なので、来週に向け切り替え、いい準備をしていきたい。
Q:昨シーズンの段階と比べてセットプレーについてどう感じているか。
小松監督
関西はどのチームもセットプレーはかなりレベルが上がっており、数年前にうちが他を圧倒できていたところはなかなか難しいと感じている。関学はFWに自信を持っており、ラインアウトモールやスクラムでかなりプレッシャーを受けた。この段階で今日のようなプレッシャーを受けたのはうちにとってプラスになった。今後関東や強いチームと戦うときは今日の経験を活かしていきたい。
(文責:濵田 舞以佳、編集:廣島 治)
フォトギャラリー
KRPU 渡辺隆夫
KRPU 住本洋之
KRPU 萩原康夫