マッチレポート
ホワイト、レッドに分かれたリーグ戦も今節も含めてあと2試合。ここまで4勝1敗。前節、サントリー戦でロスタイムでのPGで逆転負け(36-39)し、全勝を逃したトヨタ自動車ヴェルブリッツと、ここまで1勝の三菱重工相模ダイナボアーズの一戦は、柔らかい春の日差しに恵まれた東大阪市花園ラグビー場で行われた。熱心なファン1500人以上が訪れた。
前半はトヨタの前に出る圧力が三菱を圧倒。5トライを奪い着実な試合運びをみせた(33-15)。ところが後半は一転、三菱が勝負をあきらめない粘り強い攻撃で2トライを奪い後半だけみると14-7とトヨタを上回った。前半は三菱のタックルの甘さが、後半はトヨタのハンドリングミス、ディフェンスミスが気にかかった。
前半早々の5分、三菱はトヨタのラックでのオフサイドでPGを選択。相手陣10m中央付近からSO⑩コリン・スレイドが確実に決めた。直後の7分、トヨタはWTB⑭岡田優輝が相手ボールを奪ったところからチャンスをつかみ、相手陣10m中央付近でのラックから左に展開。最後はCTB⑬チャーリー・ローレンスが押さえあっさり逆転した。
その後11分にFL⑦マイケル・フーパー、25分にCTBマレ・サウ、29分にWTB⑪ヘンリー・ジェイミー、33分にWTB⑭岡田がトライした。
三菱は相手陣10m入った左のポイントからCTB⑬マイケル・リトルのショートパントを絡ませチャンスをつかみ、16分、キャリバックとなったスクラムからNo8⑧ヘイデン・ベッドウェルカーティスが持ち出し左中間に押さえた。
38分にもFB⑮竹田祐将がトライした。三菱はトヨタの圧力から反則が多く、トヨタもダウンボールミスやノックオン、パスといったハンドリングミスが懸念された。
後半に入り6分、三菱はトヨタのキックでのオフサイドでスクラムを選択。G前5m中央のスクラムから左に展開しCTB⑬マイケル・リトルがトライした。22-33。試合の行方はわからなくなった。
一方トヨタは16分、ラインアウトでロングスローのサインプレーでFL⑥吉田杏がボールをキャッチ、FL⑦フーパーにつないでトライを挙げた。14分にSO⑩ファルコンに替わった㉒ライオネル・クロニエのGも決まり22-40。勝負あり。
しかしあきらめない三菱は40分、G前5m右ラインアウトからラックを形成、No8⑧ベッドウェルカーティスがこの日2本目のトライを決めたが及ばなかった。
トヨタはロスタイムに入ってボーナスポイント(3トライ差以上)獲得を狙って攻撃をしかけたがそのままノーサイド。MOMは先制トライを挙げ攻守に活躍したCTB⑬チャーリー・ローレンスに贈られた。ペナルティーの反則はトヨタ10、三菱11。手元の集計でハンドリングミスはトヨタ10、三菱6。次節以降の課題ではないかと思う。
記者会見レポート
三菱重工ダイナボアーズ
グレッグ・クーパー ヘッドコーチ
トヨタとの試合では、いいパフォーマンスを出さないといけないのでそこを徹底してやろうとしたが、残念な結果になった。前半は良くないパフォーマンスが出してしまった。特にディフェンスが課題なので修正して次の試合に臨みたい。
ヘイデン・ベッドウェルカーティス ゲームキャプテン
ゲームプランを徹底してやろうとしていたが、ゲームプランを遂行していた時は前に進めていいプレーができたが、前半は続けられなかった。1対1のタックルを意識していたが実行できていなかったので、得点を取られてしまった。後半に入って、そこを徹底しようとしたが、できたところもあったし、できないところもあった。モーメンタルを続けることができず、ペナルティーなどにつながった。今後は課題として修正したいし、もっとみんなが経験を積んで、うまいトップリーグのチーム相手に全力でいいパフォーマンスを出したいと思う。
土佐誠選手
試合の意見に関しては2人と同じ。試合開催にあたって会場設営など頑張っていただいた皆様に感謝したい。前回の試合でコロナの感染者が出てしまったが、会場には両チームのサポーターが駆けつけてくれ、一つ一つのプレーに一喜一憂してくれたのでプレーしている我々も会場が満員、少ないに関わらず支えられているという感じでプレーできた。下馬評では我々の方が下だということはわかっていたが勝つためにここに来たが、かなわない部分もあった。自分は10分少々しかプレーしていないが、あきらめないダイナボアーズの選手の姿に仲間ながら非常に感動した。次節に結び付けられるようないいラグビーができたと思っている。
Q.ディフェンスを修正して後半は三菱のペースだったと思うが、ハーフタイムにヘッドコーチから何を話したか
クーパー ヘッドコーチ
ボールキープすることが一番と伝えた。1対1のタックルで自己責任を果たすことを徹底し、出し切ってと伝えた。我々がボールキープしたらディフェンスも回復できるのはわかっていた。ボールキープのところを一番意識するよう伝えた。
Q.後半の手ごたえは
ベッドウェルカーティス ゲームキャプテン
シンプルにゲームを遂行しよう言った。一人一人が自分の役割を果たしてプレーし、セットプレーをアリーセットし、早い展開のラグビーをしようと伝えた。
土佐選手
慌てず任務を遂行しようというつもりで後半に入ることができた。点数をつけられても焦ることなくできたことがいい勝負になった原因ではないかと思う。
Q.最終のホンダ戦をどのような形で終えてプレーオフトーナメントに臨みたいか
クーパー ヘッドコーチ
やらないといけないことは自分のチームのアイデンティティーを発揮すること。ディフェンスに課題はあるが今週、修正してよいディフェンスができるよう頑張る。
トヨタ自動車ヴェルブリッツ
サイモン・クロン ヘッドコーチ
前半立ち上がりは我慢を重ねたプレーが続き、いいトライにつなげられた。ブレイクダウンでも優れていた。ゲームが進むにつれて何人かのプイヤーの役割が抜けていた。1対1でのタックルでミスしたり、ファーストフェーズでトライを取られた。またアタック、ディフェンスでのセットのスピードでも相手にすきを突かれた。今後映像を見てレビューに入るが、何人かの選手には厳しいものとなる。
滑川剛人 ゲームキャプテン
このような状況の中、無事に試合が開催されたことをうれしく思う。一方で日野自動車など試合ができない状況で自分がグラウンドに立てたことに感謝する。自分たちの回りのセットですべてにノミネートし、今に集中してプレーすることを心掛けた。できた部分できない部分が明確に分かれ、できた人できない人にも分かれた。試合を通して学ぶことはあった。次へ向けて、プレーオフに向けてもう一度チームをつくっていきたい。
チャーリー・ローレンス選手
ヘッドコーチと同じで、メンバーチェンジが多々あった中、前半の立ち上がりは良かった。何人かのプレーヤーがデビューできチャンスができたことを非常にうれしく思う。しかし先週と同じでやはり後半に課題が残り、今後につなげていきたい。
Q.前節は惜敗だったが今回勝てたことに関してどう受け止めるか
滑川ゲームキャプテン
サントリー戦いでも、今回の試合の前半からも、後半からも学ぶことがあった。自分たちのメンタルの部分が一番重要。シンプルにラグビーを考えてシンプルに取り組むことが大事だ。
Q.ボーナスポイントを取れなかった点はどのように受け止めているか
クロン ヘッドコーチ
プレーヤーの中にはチームの期待を裏切るプレーヤーがいたと思う。フロントローに関しては最初のスクラムからがっかりした点が多かった。イエローカードでプレーヤーが1人欠けたあと、それぞれの仕事をやりきることにつなげられなかった。全体において課題が多く見られたと思う。トライを返され、ボーナスポイントを逃したことに関しては非常に残念に思っている。同時にTMOの判断も残念に思っている。三菱がコーナーに決めたトライは明らかにホールドアップされグラウンディングされていなかったと思う。それがトライにつながった点から、日本のレフリー、TMOが今後につなげることができればよいと思う。そうでないと皆様に正しくラグビーを見ていただくことができないと感じている。
Q.トライの感想は
ローレンス選手
試合を通じてバックスでお互いに信頼関係が築けたプレーだった。マレ・サウ、ウィリー・ルルーが自分の後におり、経験豊富なプレーヤーが自分に話しかけてくれ、自信もつくし非常にやりやすいプレーができる。今に集中し自分の役割を果たすことができ、日々の自信にまたつながっていくと思う。
Q.プレーオフに入る上で重要なクボタ戦に向けこの1週間でどんなことをするか
クロン・ヘッドコーチ
試合を通して非常に学ぶ点が多かった。コーチ陣も各提案について学ぶ点があり、フェーズを重ねてトライまでつなげる点ではうまくつながっていたところもあったが、簡単にスコアを取られてしまう点が課題として残っている。簡単な修正点なのでそこを修正するのみ。いつもチームに言っているのは、グレートなチーム、素晴らしいチームになるには平均的であることを受け入れない、平均的なものではよくないと伝えている。本日のゲームでは平均的な部分がたくさんあり、平均的でもいいと思ったプレーヤーがいたのではないかと思う。チームにおいても得点は大切ではなく、自分たちのパフォーマンス、そこに至るプロセスを大切にすることと伝えている。1週間かけて何人かのプレーヤー、チーム全体で修正をかけていきたい。
(文責:大阪府協会 丸井康充)
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