12月1日(土) ヤマハ発動機 33-21 NTTコミュニケーションズ

トップリーグ2018-2019順位決定戦C81I5334ヤマハ発動機 VS NTTコミュニケーションズ
ヤマハ発動機が組織力で決勝トーナメント1回戦を制し準決勝進出

2018年12月1日(土) 13:00キックオフ
グラウンド:ヤマハスタジアム
レフリー:
アシスタントレフリー:
ヤマハ発動機 NTTコム
33 FULL TIME 21
19 前半 14
14 後半
詳細
(TL公式)

マッチレポート

 ホワイトカンファレンス1位のヤマハ発動機とレッドカンファレンス4位のNTTコミュニケーションズとの決勝トーナメント1回戦が、ヤマハ発動機ホームのヤマハスタジアムで行われた。
 悲願の優勝に向かって組織力と自慢のセットプレーで優位に立ちたいヤマハに対し、突破力のある選手の個性が光り、アマナキ・レレイ・マフィ選手の復帰でチーム力を上げてきたNTTコムがどう立ち向かうか。
 12月にしては気温高めのスタジアムには7,286人のラグビーファンが集まり、頂点を目指す戦いの火ぶたが切って落とされた。

 NTTコムのキックオフで始まったこの試合、お互い先にリズムをつかみたいため、激しい当たりやターンオーバーが多く、立ち上がり気合を感じる。
 最初にチャンスを迎えたのはアウェーのNTTコム。6分自陣でヤマハのラインアウトのこぼれ球を拾い、CTBシェーン・ゲイツがゴール前まで大きくゲイン、相手選手に当たり転がったボールをNo.8マフィが拾いゴール左側にトライ。SOルテル・ラウララのゴールも成功し、0-7とNTTコムが先制する。

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リードされたヤマハもすぐに反撃。NTTコムのゴール前での度重なるオフサイドのペナルティでヤマハはスクラムを選択、12分、ファンの声援を受けゴール前5mからスクラムを押し込み、No.8堀江恭佑がゴール左にトライ。FB五郎丸歩のゴールも決まり、7-7に追いつく。この時間帯から両チームとも出足よくブレイクダウンの寄せも早い一進一退の時間が続く。
 29分ヤマハがFKで自陣からボールを回すが、NTTコムがターンオーバー、No.8マフィのオフロードパスを受けたWTB羽野一志がライン際を走り込み、内側にフォローしたLOロス・アイザックが右中間にトライ。ゴールも成功し7-14とNTTコムが再びリードする。
再びリードされたヤマハはキックオフのボールを奪い、22mライン内側ラックから左に展開、パスに反応したWTBゲリー・ラブスカフニがディフェンスを突破し左隅にトライ。FB五郎丸の難しい位置からのゴールも成功し、14-14と再度同点に追いつく。

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続く36分、NTTコムのノットロールアウェイで得たペナルティで、ヤマハは左ゴール前のラインアウトを得る。ヤマハはその後連続攻撃でフェーズを重ね、最後はFLクワッガ・スミスが右中間にトライ。ゴールは失敗するも、ヤマハが19-14で逆転し前半を終える展開に、地元のファンも大いに沸きあがる。

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 後半に入り両チームとも集中力を継続し持ち味を発揮する。4分にはNTTコムNo.8マフィが得意の突破でヤマハゴールに迫るも、ゴール前のラックで審判の「use it」を守れずチャンスを逃す。
 13分、ヤマハは右ゴール前5mのラインアウトからボールをキープしラックになったところで、NTTコムNo.8マフィがSH矢富勇毅の足を故意に引っ掛ける反則で退場。NTTコムにとってはダメージが大きい。
ヤマハはこの数的優位を生かし、15分ゴール前でのスクラムで認定トライを獲得。続く21分、LO大戸裕矢のチャージから右に展開し、LO桑野詠真が勝利を決定づけるトライ(ゴール成功)。交替した選手がすぐ活躍し33-14とリードを広げる。

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 初のトップ4へあきらめないNTTコムは28分、ターンオーバー後SOルテルが個人技で大きくゲイン、サポートしたCTBゲイツがヤマハ選手をひきずりながら左隅にトライ。SOルテルの難しい位置からのゴールも決まり33-21にするも、終盤はミスが多く攻めきれずにそのまま試合終了。

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 お互いの強みが発揮され集中した試合ではあったが、終わってみればホームのアドバンテージで組織的に戦い、自分たちのラグビーを貫いたヤマハが完勝し、準決勝進出を決めた。
一方のNTTコムはNo.8マフィの退場等ペナルティが多く、トーナメント1回戦敗退したが、ボールを動かすプレーは目を見張るものがあった。今日の反省を生かし次回の2回戦に期待したい。

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(文責:静岡県ラグビーフットボール協会 小林聖子)

会見レポート

NTTコミュニケーションズ
ロブ・ペニー ヘッドコーチ

(TOP4を逃したことに)選手全員がっかりしていると思いますが、ここまでのチャンスを得たのはNTTにとって初めての事だったので、これ以上ないくらいに選手たちのことを誇りに思っています。
 このような僅差の試合には、小さなエラーやレフリーのコールが影響を及ぼしてきますが、自分たちの規律(discipline)の無さを直していかなければいけません。
 結果については残念ですが、選手たちがフィールド上で示したコミット面や挑戦する姿勢はよかったと思います。

金正奎 キャプテン
残念ながら結果には結びませんでしたが、ベストを尽くすという態度(Attitude)の部分でファンの皆さんにお示しできたのではないかと思います。
 規律(discipline)の部分は反省点でありますが、ここで終わりではなく、成長できる機会はありますので、また一週間素晴らしい準備をしていきたいと思います。

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Q.スクラムにかなり取り組んできたと思いますが、少し重圧を受けたことやプレッシャーはありましたか?
金 キャプテン
ヤマハのスクラムに対し準備をしてきたが、ヒットの部分で負けていた部分があり、そこがスクラムの勝敗を分けたと思います。後半入ってきたメンバーは良いエナジーをもって組んでくれたので、そこはロブヘッドコートも評価してくれると思います。

Q.良いスタッフ、良いメンバー、良い施設がありますが、より強いチームになるためには何が足りていないか?
ロブ ヘッドコーチ
クオリティの高いタレントが足りていない、それだけです。


ヤマハ発動機
清宮克幸監督

点差ほどヤマハの出来がすべて良かったという訳ではないですが、前半の取られた後の2つのトライが非常に大きかったです。
また余計なプレッシャーを受けずに自分たちの強みを出せたという2点が勝因でしょう。

堀江恭祐キャプテン
 もっと自分たちのラグビーをやりきれば、もっと点差がついたと思います。
 スクラムはこの試合のために準備してきてトライにも繋がり本当によかったです。
 あと2試合に向け準備していきたいです。

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Q.スクラムの取り組み、強化の部分はどういったものが?
清宮監督
 (山本選手が)ジャパン遠征でいなかったので、そんなにやれていないが、NTTコムのスクラムが劣勢ということを証明できた試合だと思います。
 しかしボールを動かすコムのスタイルは素晴らしく、それぞれの強み弱みが合致した結果、ヤマハが上回ったというところですかね。

Q.あと2つで優勝だが、どのような戦いかで辿り着けるか?
清宮監督

 選手たちにずっと言っているのは自分たちの持っている力を全部出すこと。
 言葉や僕の表情、態度で選手たちの可能性を少し手も引き出せればと思っています。

堀江キャプテン
TOP4のチームそれぞれの強みがあり、それをどれだけ出したチームが勝つかということです。

Q.自分たちのここだけは負けないというのはスクラムか?
清宮監督

 第一にスクラム。第二はセットプレーとディフェンスです。どのチームにもトライを取られないディフェンス、そこのプライドは負けないと思っています。

Q.合宿でNTTコムにやられた部分もあったと思うが、そこからどういった変化を感じているか?
堀江キャプテン

 NTTコムがスクラム強化に取り組んでいるのは分かっていましたので、僕らとしてはヒットで前に出たいというのはありました。
(この試合)僕らもうまくいかない部分はありましたが、何本か組んでいった中で最後のゴール前で良いのが取れたと思います。

(文責:静岡県ラグビーフットボール協会 石川 諒一)

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■撮影者:谷本結利