トップリーグ 第14節
ヤマハ発動機 VS. 近鉄
2017年1月8日(日) 14:00キックオフ グラウンド:キンチョウスタジアム | ||||
ヤマハ発動機 | 近鉄 | |||
26 | FULL TIME | 12 | ||
7 | 前半 | 9 | ||
19 | 後半 | 3 | ||
詳細 (TL公式) |
マッチレポート
年が明けてジャパンラグビートップリーグ2016-2017もいよいよ残すところあと2節。
各チームとも順位確定やポストシーズンに向けて、まだまだ予断を許さない。
前節まで2勝11敗で勝点14、8連敗中の近鉄ライナーズと、前節サントリーとの全勝対決に敗れたヤマハ発動機ジュビロの戦い。
ヤマハ発動機は、サントリーの結果いかんではまだリーグ戦優勝の可能性を残す。近鉄も最後の2試合は地元・大阪のサポーターに意地を見せたい。
大雨、さらに低温と厳しいコンディションにもかかわらず、両チームの健闘を楽しみに駆け付けた5,000人近い両チームサポーターの前、近鉄SO10番重光泰昌のキックオフで幕を開けた。
試合開始から両チームとも滑るボール、ぬかるむ足元が気になり、ハンドリングエラーなど思うようにプレイができない。
そんな中前半13分、ヤマハ発動機はゴール前5m左のラインアウトから得意のモールを形成して近鉄ゴールに迫る。
近鉄の苦し紛れのモール・コラプシングを誘いペナルティ・トライ。
ヤマハ発動機があっさりと先制する。
FB15番ゲラード・ファンデンヒーファーのゴールも決まり7-0とした。
一方の近鉄も23分、10ml中央のヤマハ発動機のノット・リリース・ザ・ボールで得たPGをCTB12番ルーキー野口大輔が決めて7-3と反撃を開始。
さらに近鉄は37分、41分にもCTB12番野口が着実にPGを決め、7-9と逆転に成功。
ヤマハ発動機は再三のチャンスを生かせず、決定機でのハンドリングエラーもあり前半は1T1G、一方の近鉄は数少ないPGの機会を着実にものにして前半を終えた。
後半も先手を取ったのはヤマハ発動機。
9分にゴール前5mのラインアウトモールを押し込み、最後は入れ替わったばかりのSH21番矢富勇毅が右中間に抑えた。
FB15番ファンデンヒーファーのゴールも決まり14-9とあっさり再逆転した。
24分には近鉄もCTB12番野口がこの日4本目のPGを決めて14-12と追いすがるが反撃もここまで。
逆にヤマハ発動機は31分にゴール直前の左中間の近鉄のモール・コラプシングによりこの日2本目のペナルティ・トライ。
さらに34分にも、近鉄のミスで得たゴール直前の左中間ラックよりショートサイドに展開。WTB11番田中渉太が左隅に抑え、26-12と近鉄に引導を渡した。
後半、悪コンディションの中、自らの強みを生かしたヤマハ発動機が底力を見せて1敗を堅持。
勝点62で日本選手権出場(リーグ戦3位以内)を決め、首位サントリーの結果によってはまだ優勝の可能性も残す。
一方の近鉄は、やはり力不足は否めずノートライ。9連敗で勝点14のままで入替戦への出場が確定した。
マン・オブ・ザ・マッチは大きなキックと3Gを挙げたヤマハ発動機FB15番ゲラード・ファンデンヒーファーに贈られた。
記者会見ダイジェスト
近鉄ライナーズ
坪井章監督
本日は足元の悪い中、多くのサポータの皆さんに観戦いただいたことに感謝する。
今日のゲームについては選手が近鉄ライナーズの魂を見せてくれた。
後半のスクラム時に相手をしっかりドミネートしてペナルティを獲得できたことは、今シーズン力を入れて努力してきた部分。そこをトップリーグ一・日本一スクラムの強いヤマハから獲得してくれた選手たちを誇りに思う。
近鉄ライナーズとして結果を出したかったが、今日は本当に悔しい思いでいっぱいである。
ただリーグ戦も最終節を残しているので、ホーム花園の豊田自動織機相手に、試合後に胸を張れるような近鉄ライナーズを示したいと思う。
豊田大樹キャプテン
ヤマハはセットプレーとブレイクダウンでどんどん前に出てくるチームなのはわかっていたが、その点は自分たちも自信を持っている部分。しっかり対抗しようと試合に臨んだ。
自分たちとしては手ごたえがあり、スクラムでもしっかりプレッシャーをかけることができた。
ラインアウトモールに対しても、ディフェンスできていた。
しかしスクラムでペナルティを犯したり、モールで押されて認定トライをとられたりするなど、大事なところで通用しなかった。
ただ、トップのチームに対して通用した部分も多くあったので、次戦に向けてさらに伸ばして、課題部分は修正して臨んでいきたい。
―結果として入替戦ということになったが、シーズンを通して一年間の結果の要因は?
坪井監督
ご存知だと思うが、外国人選手を含めて選手をフル活用できたのは開幕のサントリー戦だけ。野球でいうところの3・4番不在が多く、7点差以内での負けに繋がった。
ただ、そんな中で努力してくれている豊田キャプテンや選手たちには感謝している。その部分ではきちんとベースアップできているとポジティブにとらえている。
ヤマハ発動機ジュビロ
清宮克幸監督
強風、雨、そして寒さというコンディションの下、とても厳しい試合だった。
こういう天候になると、いろいろな武器が奪われるのでシンプルに戦わなければならなかった。
しかし、前半からいろいろな選択肢、オプションでプレイしてしまい、ゲームを難しくしてしまったという印象である。
シンプルに戦えばもう少し楽な展開になっていた。いい経験ができた。
対して近鉄は、このような日の戦いをしっかりと理解していたので、ベテランたちを中心に的確なプレイをしていたと思う。
―前半リードされていたが、後半に向けてハーフタイム時の指示は?
清宮監督
こういう天候なので、シンプルにプレイすること。
キックを使ってプレッシャーをかけて、セットプレーで勝つというラグビーをしよう、ということを指示した。
―後半、PGを狙える場面であえてトライを狙いに行った意図は?
清宮監督
表面上の点差の勝ち負けではなく、やはり内容で勝りたかったので、PGを狙わないことを珍しくこちらから指示した。
またその後も、モールが近鉄と一番差のあるヤマハのアドバンテージプレーだったので、それを使わない選択肢はなかった。
―サントリー戦で敗戦した後の選手のモチベーションや2週間の過ごし方は?
清宮監督
敗戦は自分たちのやりたかった姿ではなかったということを、改めて皆で認識した。
難しいことをこれからしようとするのではなく、簡単に変更できることを自分たちで共有するというふうに過ごした。
自分たちのスローガンである「ヤマハスタイル」を再確認し、しようとすることができていれば勝てたという話をしていた。
(記事:石川 悟、丸井康充)