12月10日(土) 第11節 ヤマハ発動機 47-5 NEC

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トップリーグ 第11節
ヤマハ発動機 VS. NEC

ヤマハが快勝、開幕11連勝で首位を守る、NECは3連勝ならず

2016年12月10日(土) 13:00キックオフ グラウンド:静岡県磐田市ヤマハスタジアム
ヤマハ発動機 NEC
47 FULL TIME 5
19 前半
28 後半
詳細
(TL公式)

マッチレポート

開幕10連勝と首位を走るヤマハ発動機ジュビロと、前々節で神戸製鋼を破り2連勝と波に乗るNECグリーンロケッツとの対戦が快晴のヤマハスタジアムで行われ、4,742人の観客が集まった。
チーム一丸となり開幕11連勝を目指すヤマハに対し、ヤマハの強力スクラムにNECがどう立ち向かうのか、強風のなかでヤマハのキックオフで試合が始まった。

前半、風上に立ったヤマハは開始直後からNEC陣内で攻撃を続けるが、NECのディフェンスに阻止される場面が続いた。いやな雰囲気が流れ始めた13分、ヤマハは敵陣ゴール前で得たペナルティでスクラムを選択。スクラムを押し込んだヤマハがサイド攻撃からの突破でCTBヴィリアミ・タヒトゥアが右中間へトライ。ヤマハが先制した。

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ヤマハFLヘル

17分にはセンタースクラムを起点にヤマハが連続攻撃し、10mライン付近のラックから左に展開したところをFBゲラード・ファンデンヒーファーがNECのディフェンス陣を振り切り右中間へトライ。自らゴールを決め、12-0とした。

NECも相手陣内へ攻める場面を見せたが、ヤマハFBファンデンヒーファーの大きなゲインキックにより決定的な場面を作れなかった。

ヤマハは39分、ペナルティからのタッチキックで得たゴール前5mからのラインアウトを起点に攻め続け、HO日野剛志が中央へトライ。ゴールも成功し、19-0として前半終了した。

ヤマハLOデューク

ヤマハLOデューク

後半に入るもヤマハペースで試合が続き、6分にはキックの応酬を挟みながらヤマハが攻め続け、最後は22mライン付近のラックからWTB伊東力サイドを突き、NECディフェンスをかわしながらHO日野にパス。日野が左隅へ本日2本目のトライを挙げた。さらに15分にはヤマハがゴールポスト右5mスクラムを押し込み、途中出場のNo.8松本力哉がトップリーグ初めてのトライを挙げ。33-0と点差を広げた。

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ヤマハCTBマレ

NECも33分、ペナルティで得た22mライン付近ラインアウトを起点に連続攻撃、最後は途中出場のNo.8村田毅が右中間でのラックサイド突破し右中間へトライ。ようやく反撃を見せる。

しかし、NECはその後攻めきれず、39分には自陣10mライン付近ラックからヤマハWTB伊東がNECディフェンスを抜け、巧みなランで相手を振り切り右中間へトライ。ゴールも成功し40-5と試合を決定づけた。

また終了間際にはNECが最後の意地でヤマハ陣での攻撃を続けるも、焦ってBKに展開したところをヤマハCTBマレ・サウがインターセプトし70m独走。ゴール真下にトライし、とどめを刺した。

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NECLO小野寺、ヤマハ大戸

NECはスクラムでコラプシングを重ね、終始ペースを掴めず大きく点差が開いた。チーム得意のハイスピードラグビーで敵地での3連勝を目指したが、首位を走るヤマハの勢いを止められなかった。一方のヤマハは、強みのスクラムで終始優位に立ち、リザーブメンバーの層の厚みを見せつけた。さらに、FBファンデンヒーファーの強風を利用したキックで大きくゲインするなど、NECの反撃を寄せ付けなかった。ヤマハは次節からの神戸製鋼、サントリーとの上位との決戦に向け、弾みをつけた試合となった。

この日のマン・オブ・ザ・マッチは、効果的なキックで大きなゲインを見せるとともに、ゴールキックを確実に決めたFBゲラード・ファンデンヒーファーが受賞した。
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(静岡県ラグビーフットボール協会 田代俊彦)

記者会見ダイジェスト

NECグリーンロケッツ
ピーター・ラッセルヘッドコーチ
フィジカルの面でヤマハが強いのは分かっていたが、我々も諦めないでやるべきラグビーを出せたと思います。チャンスを作り出していたがものにできず、ヤマハにパワーゲームをさせてしまったのが悔やまれるところです。ヤマハがあらゆる面でプレッシャーをかけてきたところのスクラムやモールディフェンスなどは良かったが、自分たちのプレーアタックを維持できなかった。ヤマハは敵陣でプレッシャーを構築することができていたと思いました。
NECは、リザーブメンバーなどがインパクトあるプレーを加えてくれていたのはポジティブな内容で、来週のキヤノン戦に向けフォーカスし実行したいと思います。ヤマハとのタフなゲームを諦めなかった(選手の)姿勢は良かったです。

瀧澤 直キャプテン
いい環境で多くの方に集まっていただいて、楽しくラグビーができました。ゲーム内容は点差が開いてヤマハに実力を見せつけられたが、我々は点差ほど劣っていないと思います。大きな負けでショックも大きいが、まだシーズンが続くし、今日をレッスンとして次につなげていきたいし、今後のNECに期待していただきたいです。本日はありがとうございました。

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―ブレイクダウンなどNECらしいプレーもあったが、ウィンドウマンス前後でいい取り組みができたか?
ピーター・ラッセルヘッドコーチ
今日に関して、マイボールのブレイクダウンには人数をかけすぎないで、効率的にボールを出そうとフォーカスしてきました。サポートの部分でヤマハに食い込まれていたので、そういったところを修正したいです。キヤノン戦もブレイクダウンでキープして、スピードボールを出してやっていきたいと思いますし、そういったところではレベルの高さは出ていたと思います。

―スクラムにフォーカスしてきたと思うが、実際に組んでみて良かった点と、課題は?
瀧澤キャプテン
前半は自陣でヤマハのスクラムに対していい我慢ができていたと思います。自陣での5mというのは、FWとしてはスクラムだけにフォーカスするわけにはいかないし、できないという難しいシチュエーションであり、前半に関してはフロントローとしてもチームとしても自信になったと思います。
試合を通してプレッシャーを受けたし、ペナルティーを取られた部分はこれから分析し、反省したいと思いますが、日本で一番のスクラムを持つヤマハに対し、いいファイトができたと思います。

―シーズンを通してスクラムは良くなっているか?
瀧澤キャプテン
想定より良くなってきていると思います。

―田村選手の欠場の理由は?
ピーター・ラッセルヘッドコーチ
長いシーズンでもあり、遠征から帰ってきてケガもある中、先週の近鉄戦で途中交代をした影響もあって、今日は出場しませんでした。
ケガから復帰した村田や竹中が試合に出ることができたし、毎週試合があるのでコンディションも考えてやっていくしかないです。

―復帰の見通しは?
ピーター・ラッセルヘッドコーチ
ふくらはぎのケガですが、軽いジョグは始めていますし、ケアもしています。

 


ヤマハ発動機ジュビロ

清宮克幸監督
重要な3連戦の初戦をいい結果で終えることができてよかったと思います。要所で効率的にいいセンスのトライを取らなくてはいけないが、全般的には満足する内容だと思います。
来週、再来週と今シーズンの大一番があるので、いい形でスタートできました。

三村勇飛丸キャプテン
試合に勝てたことをうれしく思います。メンバーには次につながる試合をしようと(チームに)言ってきましたし、神戸戦に向けていい流れが作れたと思います。

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―神戸戦を見据えた戦い方とのことだが、どの辺りを意識したか?
三村キャプテン
神戸に対しては今週準備をしますが、相手によって戦い方を大きく変えたりはしないので、NECに向け準備してきたことを出せたというところで、チームとしていい流れが作れたということです。

―今シーズン神戸のヘッドコーチが変わったりしているが、どう感じているか?
清宮監督
今週からキーマンが復帰しているので、これまでの神戸ではないと思います。中心メンバーが戻ってきたし、NECに神戸は負けていますが、今までの神戸と違うという認識で準備しなくてはならないと思います。明日の神戸の試合(vs東芝戦)は注目しています。

――ファンデンヒーファー選手と松本選手の評価は?
清宮監督
ファンデンヒーファーのキックは世界でも屈指のレベルだと思います。ゲイン数をメートルに換算したら、今日は相当数たたき出したのではないでしょうか。
松本はトップリーグ4年目で初トライ。4シーズン我慢して、努力して、チャンスをうかがってきて、今シーズンは2試合目になるが、彼はBチームの中では明らかに身体的にも技術的にも上のレベルでやっている選手。(本当は)Bメンバーではないが、上にたくさんいるのでチャンスがなかっただけです。彼は明日のBチームの試合にも出ます。

―代表が帰ってきて、成長したところはどのように感じているか?
清宮監督
PRに関しては仲谷・山本と2人いるが、2人いるからお互い強くなれると感じている。日野は今まで経験したことがなかったので新鮮だと言っていました。伊藤も世界レベルとスクラムを組めたことは自信になると思いますが、山村と交代してからスクラムが走り始めたのは、本人も悔しいと思ったかもしれません。
ヤマハのセレクションポリシーとしてスクラムに強いほうからスタメンにすると言っているので、ジャパンとはいえ、次はどうなるかわかりません。

三村キャプテン
代表に入って世界のプレーヤーと実際に対戦する機会もありましたし、出られなくて悔しい思いもして、ノンメンバーとしてチームをサポートする立場もあり、いろんな意味で成長できたと思います。今は試合に出られて改めて感謝の思いが強いです。大きな舞台でやらせてもらえたので、冷静に判断できているかなと思います。

―再開後の2試合で快勝できているが、さらに歯車が噛み合ったと感じているか?
清宮監督
あまり感じません。皆コンディションよく、グラウンドに立つべき選手がしっかり立っているのが、先週、今週の結果につながっていると思います。あとは、矢富が帰ってきたら万全になると思います。

―若手の清原選手についてはどのような印象か?
清宮監督
本当はSOのポジションなのですが、10番にさせてあげられなくて申し訳ないです。彼はどのポジションでもできる器用さがあって、便利屋という使われ方をしてしまっているが、清原と篭島は(関東大学リーグ2部の)東洋大出身なので、トップリーグのトップを走るチームのジャージを着ているのは、すごくいい経験なのではないかと思います。2人とも1~2年での伸びしろがとても楽しみです。

 

(静岡県ラグビーフットボール協会 小林聖子)

フォトギャラリー

撮影者:谷本結利