7月13日(土) ヤマハ発動機 19-31 NTTコム

トップリーグカップ2019 プール戦
ヤマハ発動機 VS NTTコム

2019年7月13日(土) 17:00キックオフ
グラウンド:ヤマハスタジアム
レフリー:
アシスタントレフリー:
ヤマハ発動機 NTTコム
19 FULL TIME 31
0 前半 10
19 後半 21
詳細
(TL公式)

マッチレポート

【ヤマハ発動機の攻勢に耐え、好機で着実にトライを重ねたNTTコムが勝利】

プール戦第4節のヤマハ発動機ジュビロ対NTTコミュニケーションズシャイニングアークスの試合は、今シーズン初となるヤマハスタジアムで試合が行われた。
試合前から小雨が降り天候の回復も見込めない中、準決勝進出のため、勝点で並ぶ両チームの負けられない試合に2,865人のファンが駆けつけ、勝敗の行方を見守った。

序盤からヤマハがボールを支配し優勢にゲームを進めるも、コンタクトやセットプレーでのミスが目立ち、攻めきれない展開が続く中、前半8分、ヤマハの安定しないラインアウトからNTTコムがボールを奪いボールを展開し大きく前進。最後はFL金正奎がラストパスを受け左中間にトライ。SO小倉順平のゴールも成功し、NTTコムが0-7と先制する。

先制されたヤマハは、その後もボールを支配し続け攻撃を継続する。NTTコムは度々反則を犯し我慢の時間が続くも、ゴール際の粘り強いディフェンスとヤマハのミスにも助けられ、トライを許さない。
膠着した状況が続く前半35分、NTTコムが敵陣22mライン付近のラインアウトからバックスに展開し、ヤマハのオフサイドでゴール正面のペナルティーキックを獲得。SO小倉が確実にPGを決め3点を追加し0-10とする。
ヤマハは、その後も敵陣で攻勢を続けるが、トライまでつながらずそのまま前半は終了する。

NTTコムのキックオフでスタートした後半戦は序盤から試合が動く。
後半2分、NTTコムが敵陣22mライン付近で連続攻撃を仕掛け前進。5mライン付近のラックからHO三浦嶺が抜け出しトライ。SO小倉のゴールも成功し0-17とする。
ヤマハも流れを戻すべく、バックスのWTBマロ・ツイタマを中心にラインブレイクを図り、フォワードはラインアウトからモールを形成し、敵陣ゴール前まで迫るもNTTコムが強いディフェンスを見せる。

後半11分、ヤマハはフォワード2選手を交代し流れを変えようとするも、要所でのミスが続き、流れを掴みきれない展開が継続する。
一方、NTTコムも度重なる反則により自陣でプレーする時間が増え、再び膠着した状況となる。
後半も半分が終わろうとする中、両陣営は流れを変えるべく選手交代を行い、ここから試合が再び動く。
後半24分、ヤマハの自陣ゴール前のスクラムをNTTコムが奪い、バックスに展開し5mライン中央付近でラックを形成、これにLOロスアイザックが走りこみトライ。0-24とリードを広げる。

試合を決定付けるトライとなったかと思われたが、ここからヤマハが盛り返しを見せる。
後半27分、NTTコムの反則でヤマハはタッチキックを選択、敵陣5mライン付近でのラインアウトからドライビングモールでゴール前まで前進し、FWのサイド攻撃から、最後はHO名嘉翔伍が飛び込みトライ。7-24とし反撃の狼煙を上げる。

ヤマハの攻勢は続く。前半30分、自陣でのバックスの展開からWTBマロ・ツイタマが抜け出し、SH矢富勇毅がボールを受け大きくゲイン。ここでヤマハはキックパスでサイドに大きく展開。最後はCTBシオネ・トゥイプロトゥが飛び込みトライかと思われたが、TMOの結果ノートライの判定となる。
敵陣ゴール前でのスクラムで再開となったヤマハは、スクラムでプレッシャーを掛けNTTコムのディフェンスを乱し、こぼれ球を拾ったSH矢富が抜け出してトライ。14-24とする。
流れを掴みかけたヤマハであったが、NTTコムがそれを許さない。
トライを奪われた直後の後半37分、NTTコムは敵陣22mライン付近のラインアウトをキープし、連続攻撃でヤマハのディフェンスラインを下げゴール前まで前進、最後はNO.8ヴィリー・ブリッツが飛び込みトライ。ゴールも成功し14-31と試合を決定付ける。

後半40分を経過し場内にホーンが鳴り響く中、ヤマハは敵陣ゴール前の攻防から、SOサム・グリーンが絶妙なグラバーキックでゴールエリア内にボールを転がし、抜け出したWTB石塚弘章がデッドライン間際でグラウンディングしトライ。この日一番の歓声が場内を包み、ヤマハがホームでの試合で意地を見せた形となった。

グラウンド状態が悪い中、両チームともにミスや反則が目立ったが、そのような中でも、NTTコムのディフェンスでのハードワークが光る試合となった。
これでNTTコムは初戦の東芝の敗戦後カップ戦3連勝とし、準決勝進出に望みをつないだ。一方のヤマハは、この試合の敗北で準決勝進出は絶望的となったが、若手を多く起用しており、ワールドカップ後のリーグ戦に向け、課題を克服したいところである。
この日のマン・オブ・ザ・マッチは、全てのゴールに成功し両チーム最多の11得点を上げたNTTコミュニケーションズシャイニングアークスのSO小倉順平選手が受賞した。

(文責:静岡県ラグビーフットボール協会 齋藤剛)

会見レポート

ヤマハ発動機
堀川隆延 監督
今年最初で最後のホームゲームで残念な結果でしたが、勝負にこだわるというところでは、自分に責任があります。
自分たちが今やりたいことは、新しいチャレンジと若い選手を使ってチームの競争力を上げていくということにこだわってきました。今練習でやっていることを出していこうということで、今日も前半チャンスがあった。しかし、10回くらいターンオーバーがあったりして得点につなげられなかったというのが東芝戦と同じ結果になってしまった。
ラスト20分間、自分たちのスタイルのラグビーをすればどうなるか選手たちも気づいたと思うし、一戦一戦で出た課題を修正しながら、ポジティブに前進していきたいと思います。
今日一番フォーカスしたところは、ゲインラインの攻防なのですが、前半自分たちが出られなかったのが全て。次のサニックス戦に修正して臨みたいと思います。

大戸裕矢 キャプテン
今週も引き続き、新人や初スタメンがチャレンジの場をもらって、いい経験ができたと思います。監督も言うように、前半敵陣にいながらスコアできなかったというのは、ヤマハスタイルにこだわり続けたというポジティブポイントもありますが、今後の成長に向け良い経験、良い財産になっていくと感じています。
トップ4と対戦したときには取りきらないと勝てないというのを痛感した試合でした。後半はインパクトプレーヤーがいい仕事をしてくれて、チームをまとめてくれたので、そこに関してはプラスになったと思います。

Q.東芝戦の後、結果はどうあれ得られたものはあったと言っていたが、今日得られたものは?
堀川監督
これからレギュラーに絡んでくるという選手がヤマハスタジアムで経験を積んだこと。それから何が足りて何が足りなかったかを自覚できたことだと思います。

Q.アンストラクチャー(攻めているときに守りに転じたり、あるいはその反対という場面)の総括は?
堀川監督
コンテストボールをうまく前進できているときは自分たちの流れになったが、ハンドリングミスが多く、自分たちがやりたいことをできなかったことが非常に残念。
4試合終わって自分たちの今やっていることの成果が目に見えてきているので、プラスととらえて前進していきたいです。

Q.今日のスクラム戦については?
大戸キャプテン
1番岡本、2番高部がチャレンジの選手でしたが、NTTコムさんは強いスクラムを組んでくるので、チャレンジャーとして挑んだ。練習で見えない課題も見られたし、押せた部分もあったが、その経験が2人を強くしてくれると思っています。これから楽しみな2人なので、今日の試合でさらに成長してくれればいいと思います。


NTTコム
ヒュー・リースエドワード ヘッドコーチ(HC)
今日は選手たちのことをすごく誇りに思っています。
この場所に来て、こういう結果を残すことはここ5年であまりなかったと思う。これまでは前半40分良いスタートが切れないという課題があったが、克服して自分たちが達成したいことを(今日は)達成できました。後半20分は攻められましたが、選手たちを誇りに思います。
カップ戦の決勝トーナメントに進出する可能性を残すために、5点の勝ち点を狙っていたが、ボーナスポイントが獲得できず少しほろ苦い気持ちがあることや、レフリーとの兼ね合いもあって、ペナルティをたくさん重ねてしまったのが良くない点でした。

金正奎 キャプテン
80分間ハードワークした結果がついてきたと感じます。特に前半40分と後半ラスト20分はきつかったが、全員がタフなプレーをしてくれたことに感謝しているし、誇りに思います。
今まで前半良くなくて、後半巻き返すという展開が多かったのですが、今回新たに前半しっかり戦えて、相手に追いかけられるという立場になった。ラスト20分は崩れてしまったが、新たに見つかった課題を克服して、成長して、あと1週間ドコモ戦に向けて課題をクリアして良いゲームをしたいと思います。

Q.今日のスクラムについては?
金キャプテン
見ての通り、去年と大きな違いがあります。
何度か崩された部分に関しては、8人の意識が欠如したときに突かれているので、そこはまだ成長しなくてはいけない。後半入ってきたメンバーは戦う姿勢を見せてくれたと思います。

Q.これまで課題だった前半を克服できたと仰っていましたが、先週と今週の違いは?
リースエドワードHC
トレーニングセッションの入りを強度の高いものに変えました。すぐに結果がついてくるわけではないので、いつも向上していかないといけないです。強度の高いディフェンスを前半の40分出せたので、ボールを保持することができたと思います。

(文責:静岡県ラグビーフットボール協会 小林聖子)

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■撮影者:静岡県ラグビーフットボール協会 谷本結利