4月10日(土) NTTドコモ 29-31 神戸製鋼

トップリーグ2021 第7節
2021年04月10日 12:00 K.O.
入場者数:4879人 天候:晴れ/弱風
レフリー:真継丈友紀(日本協会A)
アシスタントレフリー:橋元教明(日本協会A) / 船岡克広(関西協会) / 西本武史(関西協会)
NTTドコモ 神戸製鋼
29 FULL TIME 31
13 前半 14
16 後半 17
詳細
(日本協会公式)
プレイヤー・オブ・ザ・マッチ
▶神戸製鋼コベルコスティーラーズ 3山下裕史

マッチレポート

東大阪市花園ラグビー場では、ここまで、前節パナソニックとの激闘で引き分け5勝1分の2位・神戸製鋼コベルコスティラーズと、開幕3連勝だったがヤマハ、パナソニックに敗れ4勝2敗の3位・NTTドコモドコモレッドハリケーンズの上位チームの対戦となった。昨年は、神戸製鋼に大敗を期したNTTドコモだが、ワールドクラス選手の活躍でチーム力が上がり「阪神ダービー」に期待を寄せる熱いファン4,879人が見守る中、試合はNTTドコモのKOで熱い戦いが開始された。

開始早々の1分、NTTドコモは神戸製鋼陣22m付近でのPGをキッカーSO⑩川向瑛がきっちり決めて幸先よく3―0とする。
神戸製鋼も9分、相手左ゴール前10m付近のPKでSO⑩ヘイデン・パーカーが判断良く右サイドへキックパス。キャッチしたWTB⑭アンダーソンフレイザーがそのままトライし、GもSO⑩パーカーが決めて3-7と逆転した。

NTTドコモも負けじと13分、神戸製鋼陣ゴール前中央10m付近のスクラムから右サイドでサインプレー「⑧-⑨」を成功させ、SH⑨ TJ・ペレナラが押さえた。
30分、神戸製鋼は相手反則で認定トライを得て8-14と引き離す。
しかしNTTドコモは34分、神戸製鋼陣内22m中央ラックから左展開し、SO⑩川向のグラバーキックをWTB⑪マカゾレ・マピンピが追いかけトライを挙げ、追い上げた。SO⑩川向のGは成らず、前半は13-14の1点差での折り返しとなった。

後半19分、NTTドコモは神戸製鋼陣10m右サイドからのPGを、後半11分にSO⑩川向に替わったSO㉒SOマーティ・バンクスが決め16-14と逆転に成功する。
しかし直後の20分、神戸製鋼はNTTドコモ陣内22mラックからNO8⑧グラント・ハッティングがトライし逆転(16-19)。
22分、NTTドコモもゴール前右10mラックからFB⑮トム・マーシャルがトライし、SO㉒バンクスのGも成って23-19とまたも逆転した。NTTドコモは更に28分、右サイドから40mのPGをSO㉒バンクスが決め26-19と引き離す。一方、神戸製鋼は30分、10m中央のラックで左サイドから、後半21分からSO⑩ヘイデン・パーカーに替わったSO㉒アーロン・クルーデンのグラバーキックをFB⑮山中亮平がキャッチし押さえた。キッカーSO㉒クルーデンのGも決まって26-26の同点。

34分、NTTドコモは神戸製鋼の反則で得たペナルティのチャンスにSO㉒バンクスがこの日3本目のPGを決め勝ち越す。
ここからドラマが待っていた。試合終了間際の43分、神戸製鋼は後半25分にHO②平原大敬に替わったHO⑯松岡賢太がスローイングするラインアウトでマイボールをがっちりキープ。モールを形成しゴール前から押し込んで、HO⑯松岡が押さえて逆転勝ち(29-31)を収めた。

取って取られて7回の逆転劇を展開した試合は、神戸製鋼が2点差で勝利。MOMには神戸製鋼コベルコスティラ―ズのPR③山下裕史が選ばれた。

記者会見レポート

NTTドコモレッドハリケーンズ
ヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ(HC)
今日のパフォーマンスを一言でまとめると、非常に誇らしい。前半プレッシャーを受けたなか、しっかりディフェンスができた。後半はアタックでモールをしっかり押すことができれば、危険な姿を見せなかったと思う。特にマーティ・バンクスに交代させてから、ゴールキックでかなり良いインパクトを残してくれて、最後の最後まで勝っていたが、最後ああいうところで、勝ちきるということがまだまだできない点だと思う。試合を見に来てくれたファンの皆さんに感謝と、神戸さんの勝ちについても、おめでとうございます。

TJ・ペレナラ ゲームキャプテン(GC)
今回、神戸という強いチームだと分かっており、泥臭いファイトになると思っていたので、そういう気持ちで臨んでいた。HCも言ったが私も誇らしい。最後の最後に勝ちきることを学んでいかなければならないと思うし、それに関しては良い方向に進んでいる途中だと思うので結果を出して続けていきたい。

マーティ・バンクス選手
私自身昨年、神戸に苦い経験があり、今日に関しては最後の最後まで勝っていて、ギリギリで負けてしまい、笛が鳴った時も喜んでいいのかわからなかったが、昨年を踏まえた結果に涙が出そうなくらいこんなにもチームが変わるのかと思い、皆のことが誇らしい。良い戦いだった。 TJが言ったように、強いチームと接戦を制するには、最後の判断や戦い方を学んでいき、今後こういう試合を勝ちきるようにやっていきたい。

Q : 試合が終わった後、良いラグビーができた嬉しさと勝ちきれなかった悔しさ、どちらの気持ちが大きいか?
マーティ・バンクス選手
どちらかと言うと負けた悔しさが大きい。81分まで勝っていて最後に負けてしまったうえで、昨年と比べ少しうれしさもあった。でも、もっと勝ちたい気持ちが湧いてきた。

Q : この1年で具体的に変わった部分はどこか?
マーティ・バンクス選手
それぞれを信じることが大きな違い。プレシーズンも長くハードな練習の自信がトップリーグに入り、数試合勝ち、正しいことをやってきた自分たちを信じ、今日の結果に表れたと思う。もうひとつ言うと新しい人達が入ってきてチームの雰囲気がガラッと変わった。コーチ陣も変わり、TJの経験やヨハンHCがコントロールや指示をしてくれたのが大きい。

Q : 開幕時、継続の部分ができていないと言っていたが、今日の後半は攻撃の継続が良く、手応えを聞かせてもらいたい。
アッカーマンHC
間違いなく手応えはあった。今週と先週のヤマハ戦で改善が効いてミスタックル以外のところでは大分と差をつけ、かなり自信をつけている。成果として出ているので引き続き継続してレベルあげ、ビッグチームに勝ちきるよう改善しなければならない。

Q : これからプレーオフトーナメントに入っていくなかで7試合を戦って、チームの充実面から考えどこまで戦えるか聞かせてもらいたい。
アッカーマンHC
予想するのは好きじゃないし苦手だが、トーナメントということで、どのチームにもチャンスはあるが、自分たちにフォーカスすることが一番だと思っている。プロセスをしっかりやれば結果は出てくると思っている。

Q : リーグ戦3位の感想とトップ8を掲げているが、それ以上をファンは期待している。トーナメントの意気込みと感想を聞きたい。
ペレナラGC
3位はうれしいし誇りだが、勝てる試合を落としている。もっと勝ちきり、成長しなければならない。トーナメントは全部勝ちにいくつもりで日本に来ている。先ずは目の前のことを一つずつやって、ビッグチームに対しての最後のもう一歩を改善していければ、どのようなチームでも勝てると思うので、一つずつ丁寧にやって結果をだしたい。

Q : 勝つために準備してきた中で、できた部分とできなかった部分をどう感じているか?
アッカーマンHC
毎週課題が出てくるので今週と先週で言うとアタックは良かったが、ディフェンが良くなかった。先週は結構トライを取られ、今週はなんとかファイトしてヘルドアップなどしてトライさせなかった。最後の残り1分の戦い方はもう少しボールを動かし、レフリーがペナルティを取らないようにするという振り返りもある。リーグを通して言うと、アタックでボールを持ち続けると相手の驚異になることを理解している。

Q : 今日、最初に誇らしいと言っていたが、今日の負けはトーナメントに向け自信につながったと思うが、観戦していて選手の気持ちをどのように感じるか?
アッカーマンHC
勿論、自信につながれば良いし、リーグ戦の優勝候補というチームと戦えた自信を信じて実行に移していけば良いと思う。

Q : ベン・スミス選手を止めたディフェンスは素晴らしかったが、試合後、どのようなやりとりをしたのか?
ペレナラGC
試合前話せてなくて、試合の中で結構声をかけたり、トライを防いだところも狙ってくると分かっていた。ベン・スミスはラック周りのチャンスをうかがってくるので対応した。試合後は、家族のことやラグビー以外の話しをした。


神戸製鋼コベルコスティーラーズ
デーブ・ディロン ヘッドコーチ(HC)
こういった試合展開になったが引き分けでなくて勝利を狙ってくれた選手を誇りに思うし、結果的に勝てたことにも誇らしい。

トム・フランクリン 共同主将
基本的にHCと一緒で、ドコモさんが素晴らしいチームだった。関西の中でどこが強いかを決める戦いだと思い、この1週間練習してきた。 去年の結果もあり、神戸に対して、相手は強い気持ちでやってくるという話しをしていた。自分たちは最後まで諦めることなく、勝ちをとりきれたことは良かった。

Q : HCのコメントにもあったが、同点の選択肢もあるなかで、モールからトライをとりに行った時、選手間の話しを聞かせてもらいたい。
フランクリン共同主将
自分たちは常に勝ちを狙っている。その中でできることを自信、信用を大事にしてペナルティからタッチに出し、ラインアウトからモールでトライを取りに行く確認をした。

Q : リーグ戦2位通過の総括を聞きたい。
ディロンHC
パナソニックに次いで2位通過であるが、大きく離されていない。成長しなければならないが、それよりもコロナ禍で順延もあり準備等難しかったが、ファーストカンファレンスを終えてハッピーだった。

Q : プレッシャーが強かったこともあり、バックスで五分五分のようなパスも多く、上手く繋がったりリズムも悪かったりした。ボールを生かすという意味ではポジティブだが、軽いプレーでネガティブな面もあったことをどう考えているか?
ディロンHC
基本的にはボールをプレーし続けるためには問題ないと思うが、エリアの中での成長できる課題を確認したうえで観ていきたい。

Q : スクラムでほぼ押し込むことができていたが、具体的にどこの部分が良かったか?
フランクリン共同主将
今週は良いプランニングができた。カンバーランドコーチ、タラントコーチらとドコモ戦での修正点を確認しスクラムの中で声をかけていた。自分たちはより成長ができる姿勢で取り組むことが大事。より強いスクラムが組めることを信じて今日の結果につながった。

Q : リーグ戦を通じて、他のチームよりオフロードパスが圧倒的に多かったが、神戸にとって価値を聞きたい。
ディロンHC
シンプルになるが、成功させるには練習しなければならない。森田コーチらが指導しオフロードパスを練習してきた。そのうえで選手たちが試合で使っていこうとやってきた。

Q : 松岡選手が最後にトライを決めたが、彼の評価と若手の活躍にチームの影響を聞きたい。
ディロンHC
松岡選手が同じ部屋にいるので、悪いことは言えない。試合に出ているメンバーは、価値をしっかり出せている。開幕戦、松岡選手は先発予定だったが、怪我でメンバーから外れてしまい戻ってくるまでハードワークしてくれた。試合が終わるプレッシャーの中でスローイング、モールを組んだ後のタイミングでトライを取りにいく判断、自分のやってきたとことを信じたからできた。若手が良いコーチングを教えあい、勉強してくれているからメンバーに絡んできている。

Q : 松岡選手が入団して、この1年で成長した部分は?
ディロンHC
スクラムでフッカーはコアスキルが大事で、先ほどの2本のスローイングがかなり成長している部分である。若手で入ってきてベテラン選手を押し退けていくことは、そのプレッシャーにも勝たなければならない。そのうえで高い競争しているところを評価している。

Q : トップリーグ、初トライの感想を聞きたい。
松岡賢太選手
チームの勝利に貢献できてうれしい気持ちでいっぱいだった。

Q : ラインアウトのスローイングで、かなりのプレッシャーだったが、緊張感はどのようであったか。松岡選手
フッカーとして緊張の場面だったが、日々の練習で想定をしながらやっている。

Q : このリーグ戦で勝ち点を取るために得たものや、もっと突き詰めなければならないところを聞きたい。
山中亮平選手
勝つときは良いラグビーができるが、リコー戦で取りきるところでとりきれない。取り急ぎ普段の自分たちを出しきれてない場面もみられた。試合中の早い段階で修正できれば良いが、今日は最後まで引きずり、トーナメントに向け課題を修正したい。

Q : ドコモは昨年と比べ、選手やコーチも変わっているが、実際に体を当ててどうであったか?
山中選手
ドコモにしても順位争いでこの試合の気持ちの強さが伝わっていたし、新しい外国人選手のキーマンがたくさんいる中で、昨年よりも勢いがあった。今日の試合は神戸のミスもあったので、あまり気にはしていない。

Q : トライの直前、モールが組まれた瞬間は何を狙ってプレーをしていたか?
松岡選手
モールでトライを取るために全員が前に押して、最後尾につけていたので余裕があり、ディフェンスを見ながら空いてるところを狙った。

Q : 話は変わるが、明治大学出身で地元関西の神戸製鋼に戻り、数あるチームの中で神鋼を選んだ理由を教えてもらいたい。
松岡選手
幼い頃から地元のチームで、試合も観ることも多く憧れており、18年、19年シーズンに優勝した姿をみて自分も優勝を目指したいと思った。

Q : プレーオフトーナメントに入ってからナエアタ・ルイ選手が戻ってくるが、彼が入るチームと入らないチームでは、どれくらいの差が出てくるのか一緒にグラウンドに立っていて感じられているか?
山中選手
ルイはボールキャリアという面で前に出てくれる選手なので、神戸とって心強い選手だ。

Q : 彼が出場停止処分になるなか、展開ラグビーをするうえでいなかっことは、多少のマイナス面になったのか?
山中選手
他にも良い選手がたくさんいるので、ルイができないプレーもあるし困ったことはなかった。

(文責:大阪府協会 南昌宏)

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KRPU 渡辺隆夫

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