トップリーグ 第1節ヤマハ発動機 VS トヨタ自動車
2020年1月12日(日) 13:00キックオフ グラウンド:ヤマハスタジアム 入場者数:13985人 天候:くもり/微風 |
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レフリー:塩崎公寿(日本協会A) アシスタントレフリー:木村陽介(日本協会A1)/木村正彦(関西協会)/高山拓朗 |
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ヤマハ発動機 | トヨタ自動車 | |||
31 | FULL TIME | 29 | ||
19 | 前半 | 19 | ||
12 | 後半 | 10 | ||
詳細 (日本協会公式) |
マッチレポート
【開幕戦の好カードはヤマハ発動機がトヨタ自動車に逆転勝ち】
ワールドカップの熱気そのままにトップリーグ2020の開幕戦が行われ、ヤマハスタジアムにはトップリーグ過去最高の13,985人のファンが詰め掛けた。
ワールドカップで活躍したキャプテンFL姫野和樹を中心に、新加入のNZ代表№8キアラン・リード、南ア代表ウィリー・ルルーを擁するトヨタ自動車が、スクラムはじめセットプレーを強みとするヤマハ発動機にどう立ち向かうのかこの試合の注目である。心配された雨も降ることもなくトヨタのキックオフで試合が始まった。
開始早々ヤマハがペースを掴みトヨタ陣内に攻め込むが、トヨタはヤマハの連続攻撃を防御し粘りを見せる。しかし11分、トヨタは自陣ゴール前でヤマハの強力スクラムに耐え切れず反則を繰り返しペナルティトライ献上。ヤマハが強みとするスクラムで7-0と先制した。
ヤマハペースで試合が進むと思った矢先の13分、トヨタが中央付近ラックから左に展開。姫野、リードとボールをつなぎ最後はFBウィリー・ルルーが左隅にトライ。7-5とすぐに反撃を開始。
ラックでの激しいボールの奪い合いが続く中、16分にヤマハはペナルティで得たトヨタ陣ゴール前5mのラインアウトからモールを押し込み、HO日野剛志が右中間にトライ。堅実なセットプレーで12-5と点差を広げる。
対するトヨタは21分、ヤマハ陣ゴール前ラックからヤマハのパスミスで得た中央での5mスクラムを起点に連続攻撃。最後は左に展開し、WTBヘンリージェイミーが左隅にトライ。SOライオネル・クロニエのゴールも成功し、トヨタが12-12と追いつく。
さらにトヨタは27分、ヤマハ陣10m付近ラインアウトを起点に攻撃を続け、右サイドにキックパス。インゴールでのボールの奪い合いの中、ヤマハWTBシオネ・トゥイプロトゥがシンビンとなるペナルティでトヨタのペナルティトライ。トヨタが12-19と逆転する。
しかしヤマハは1人欠いているものの、強みのスクラムでペースを掴む。35分ゴール前左中間で得たペナルティでスクラムを選択。SH矢富勇毅がサイドを突き左中間にトライ。19-19の同点で前半が終了した。
後半に入り点を入れたのはトヨタ。10分に自陣中央付近スクラムから左に展開、華麗なパスワークから最後はSOライオネル・クロニエが右中間にトライ。19-24と再度逆転する。
対するヤマハは24分、トヨタ陣ゴール前で攻め続け、ラックサイドをSH矢富勇毅が突破し中央へトライ。FB五郎丸歩のキックも決まり26-24と逆転する。
その後もヤマハが攻め続ける。30分にトヨタはスクラムでのペナルティを重ね、途中出場のPO浅岡俊亮がシンビンによる一時退場。PRが足りなくなるため一度退場したPR木津悠輔が再出場し代わりにキャプテンFL姫野が一時退場。
数的優位に立ったヤマハは33分、スクラムを起点に攻め続け、FRクワッガ・スミスが左中間にトライ。五郎丸のキックが外れ31-24と点差を7点に広げる。
残り時間が少なくなり、トヨタは最後の反撃で38分にWTBヘンリージェイミーが左中間にトライ。ゴール成功で同点の場面だったが、22アンガス・シンクレアのゴールが失敗し同点のチャンスを逃し、ヤマハがそのまま逃げ切って試合終了。
ヤマハがセットプレーでの強みを見せる中、トヨタは粘り強いディフェンスでしのぐとともに、パスにより大きくゲインする場面を見せたが、ヤマハの強力スクラムを止めきれなかった。
この日のマン・オブ・ザ・マッチは、2トライを挙げ、ヤマハの開幕戦10連勝に貢献したヤマハSH矢富勇毅が受賞した。
記者会見
トヨタ自動車ヴェルブリッツ サイモン・クロンヘッドコーチ
今日の試合は、たくさんのチャンスを構築することができ勝機を掴みかけたのですが、なかなか最後まで、フィニッシュへ持ち込むことができませんでした。
課題が満載でしたので、今週、改めて課題を見直して解決していきたいと思います。
また、何人かの選手は初試合ということ、今シーズン初めて試合をするという選手が多いという試合だったと思います。
姫野和樹キャプテン
正直、自分達が望んだ結果ではなかったので、悔しい思いがあります。
ただ、僕らは、まだ若いチームで、この先シーズンも長いので、このような負け試合も糧にして、今後もシーズンを戦っていきたいです。
Q:今日の試合は、スクラムで押されたりする場面がありましたが、対戦相手のヤマハがスクラムを強みにしているということでの対策と、自チームにおけるスクラムの課題と手応えは?
サイモンヘッドコーチ
一番大事なことは、グランド上で、あの状況に適応することだと思います。
ヤマハさんは、ヒットからエンゲージ、足の掻きも良かったと思います。それに対して、トヨタは押し返すことができませんでしたので、その点を課題として、今シーズンを通じて磨いていきたいと思います。
姫野キャプテン
(長谷川)慎さんのスクラムは、あれだけ嫌なんだなぁと感じました。ただ、自分達のスクラムは、まだまだこれからだと思いますので、今後、レベルアップしていきたいと思います。
Q:姫野キャプテンご自身、今日のプレーで良かったところは?
姫野キャプテン
今日の試合は、自分の中ではあまり良くなかったのですが、ブレイクダウンとボールへの絡みでのところが良かったと思います。
Q:先ほど、慎さんのスクラムは嫌なスクラムだなというお話がありましたが具体的には?姫野キャプテン
スクラムの間合いをコントロールしてくるところです。結果、自分達のスクラムが窮屈になり、良い姿勢がとれず良いヒットができなってしまい、慎さんがやりたいようなスクラムにやられてしまった印象です。
Q:キアラン・リード選手と一緒にプレーしてみての感想は?
姫野キャプテン
凄いプレーヤーだと思います。経験値、タックル、パス、全てのプレーにおいてレベルが高い選手だと思います。今後、一緒に学びながら成長していきたいと思います。
Q:今日の試合は1万4千人近くのラグビーファンが集まりましたが、W杯後のラグビーフィーバーが続く中、ファンの声援はグランド上でどのように感じたか?
姫野キャプテン
ファンの声援はよく聞こえましたし、選手の力になっていると思います。自分達はグランド上で良いプレーをすることで声援に応え、この先、ラグビー観戦が、文化として日本に根付いてくれればよいと思いました。
ヤマハ発動機ジュビロ 堀川隆延監督
今日は、満員のスタジアムでプレーできたことを嬉しく思います。
最終的に、ホームチームである私達が勝利を掴み、多くのファンの皆様に勝利を届けることができて、とても良かったと思います。
試合を終えてインタビューがありましたが、自分でも何を言っているかわかりませんでした。(笑)初戦としては、試合の結果にはとても満足しています。
勝利の要因は、スクラムでの勝利に尽きます。FW8人が全てのスクラムにおいて自分達の力を全て出し切ったこと、これに尽きると思います。
ただ、ゲームの内容に関しては、大田尾と一緒に見ていましたが、何でこんなにできないのかというくらい、自分達で改善すべき点がたくさんあるということで、その点はポジティブに捉えています。
次週、ホームゲームで神戸製鋼さんを迎えますが、今季、僕らは、神戸製鋼さんにどうやって勝つかということを目指して、チームを準備してきました。
今日の試合では、パニック状態になった選手がたくさんいました。普段やっていることと違うことをやってしまっている選手が多かったと思います。
次の試合では、今日のような満員のスタジアムでプレーした経験を活かしながら、スタジアムの雰囲気を楽しみながら、もっと切れのあるアタック、もっと良いディフェンス等、自分達のスタイルを更に進化したものを皆さんにお見せできるよう、短い期間ですが、しっかり準備していきたいと思います。
大戸裕矢キャプテン
本日はどうもありがとうございました。満員のスタジアムでプレーできて感謝していますし、嬉しく思いました。
試合内容としては、堀川監督のコメントどおり、途中パニックになったところがありましたが、パニックになったところも含めて、4月からの練習で取り組んできたことで、ヤマハスタイルであるスクラムやモールなど、チーム全員が立ち戻れる場所があったので、深刻なパニック状態にはならずに立ち戻れた試合だったと思います。
勝因は、やはり、スクラムとモールで、しっかりスコアに繋げられたところだと思います。
次節の神戸製鋼さんは、ヤマハのフォワードをドミネートしてくると思いますが、ドミネートには負けず、更にその上を超えられるようなセットプレーを目指し、短い期間ですが、神戸製鋼戦に向けて良い準備をしたいと思います。
ありがとうございました。
Q:スクラムの勝利ということでしたが、スクラムの手応えは?
大戸キャプテン
ファーストスクラムのクラウチ、バインドの時点で行けるという感触でした。
プロップ陣も行けるという感触で、ファーストスクラムで良い感触を掴めていたので、こういう結果に繋がったのではないかと思います。
Q:ヒットの前に、既に行けるという感じ?
大戸キャプテン
はい、そうです。その辺りのディテールは、ずっと拘ってきたところなので、その差が出たのかなぁと思います。
Q:今日の試合の観客は13,985人、トップリーグのヤマハスタジアムで過去最多記録となりましたが、その風景、声援、どのように感じられたか?
大戸キャプテン
素直に、すごく嬉しかったです。
入場したときに、観客の皆さんのサックスブルーが目に入ったので、試合が始まる前から、やってやるぞという良い気持になりましたし、スタジアムが満員の中で、プライドをかけて勝てたことが僕達の中では一番嬉しかったです。
堀川監督
我々にとっても、素晴らしい日だったと思います。
大切なことは、来ていただいた方にもう1回観たいと思ってもらえるような試合を、我々が、これからも継続してやっていくことだと思います。
今日の試合内容ですと、あまり出来がよくなかったので、恐らく、試合を面白いと思った方々はあまり多くなかったと思います。我々は、皆さんに何か伝わるようなものを残していけるように、チームを作っていかなければいけないなぁと思いました。
Q:前半5分の最初のPKを得たところで、PGを狙えるところでタッチキックを選択、最終的に日野選手のトライとなった場面のPKでも、PGを狙えるところでタッチキックを選択していた。接戦が予想される試合ではPGで刻みながら得点する判断もあると思うが、その辺りの判断は?
大戸キャプテン
スクラムの手応えが良く、ショットを狙わずにモールで押せるという自信があったので、ヤマハスタイルとして、タッチキック、ラインアウト、モールという判断をしました。
Q:残り20分の攻防ということが、チームのキーワードとしてあると思いますが、今日は残り20分からの見事な逆転劇がありました。手応えと課題は?
堀川監督
ラスト20分で勝利することができたので、結果には満足していますが、この20分の中には改善しなければならないディテールがあり、ここは目をつぶってはいけないなぁと思います。
大戸キャプテン
昨シーズン、ラスト20分で痛い目に遭ってきているので、そこに関しては、今シーズン特に意識していますし、60分から80分はヤマハの時間にしようというワードも出ているので、監督のコメントどおり、まだ伸びしろかと思います。
Q:そういう意味では、次節以降、その部分が伸びしろとして残っているということで、今後、楽しみですが如何か?
大戸キャプテン
楽しみです。ありがとうございます。
Q:試合の内容で改善すべき点があるということだが、次節に向けて一番改善したい点は?
堀川監督
一番改善したいのは、攻撃のところです。
ボールを動かして、こうしたら、もっとゲインラインを切ることができるし、トライを獲るチャンスも拡がったと思うのですが、それは自分達のスタイルであって、自分達のスタイルでストラクチャーを作ることができていなかったということです。
トヨタさんが云々ということではなく、自分達がやるべきスタイルを、やはりこの舞台でできるようにしなければならないのですが、この辺りの改善は、難しいことではないと思いますので、次節に向けて改善していきたいと思います。