会長に聞く 第一回 関西ラグビーフットボール協会会長 坂田好弘

昨年開催されたラグビーワールドカップは、想定を大幅に上回る大成功をおさめました。
日本代表の活躍もあり素晴らしいゲームが繰り広げられ、演出も素晴らしい。多くの方に、今まで知らなかったラグビーというものを受け入れていただいたと感じています。

今起きている大きなラグビーへの熱は、観戦文化を紹介したという意味で、一つの大会以上の意味があるものでした。
メディアを通じてラグビーの楽しみ方が伝わることが、日本人と他のスポーツ文化にも影響を与えられたのではと自負しています。

また、たくさんの世界のラグビーファンが日本に来たことも意義のあることです。
日本のラグビー文化はもちろんのこと、外国の人達が日本文化を来て持ち帰ってくれたことは、ラグビーの持つ大きな力の所以です。
この大きな波をラグビー文化の発展と日本のスポーツ振興へとつなげるために、私たちが知恵を出し合い、新しい層にラグビーを伝える必要があります。

まずやらなければならないのは拠点作りです。関西は聖地として花園ラグビー場を抱えますが、ここへ行けばラグビーをプレーできる。観戦できるという場所が、人々の身近にあることが理想です。ラグビーに興味を持った子供たちが、気軽に、身軽にラグビーに接することができる場所の確保が、重要なミッションです。

次にそんな子供たちにトップレベルの試合を見てもらうことも重要です。昨年、関西大学Aリーグでは初めての試みとして三重県の三重交通Gスポーツの杜鈴鹿で開催しました。関西協会もマッチメイクに際しては三重県出身の選手が在籍するチームを中心に考え、多くのお客様に興味を持ってもらう工夫を凝らしました。これからも関西大学リーグのみならず、たくさんの人に集まっていただけることを前提にさまざまな大会を実施していかなければなりません。

場の確保や、プロモーションに欠かせないのは、各府県を含む協会と地方行政の連携です。ワールドカップの開催地や、キャンプ地となった地域ではなお一層行政と足並みを揃えて、ラグビーそのものを知ってもらう親しみを感じてもらう方向へ力を注いでいただくようにお願いしたいと思っています。そして指導者を含めた協力体制を地域社会とラグビー協会が築いていくことが重要になってきます。

そういった改革の成果が少しずつみられるのが関西大学リーグです。近年天理大学が全国でも成果を出しており、大学選手権でも関西の奮闘が目立ちます。この要因の一つが、ニュージーランド学生代表(NZU)との交流です。NZUが日本ツアーを実施する際は、必ず関西学生代表を結成。さらにNZUツアーのない年には、関西学生代表がニュージーランドツアーを実施しています。

普段と違った環境で、海外のチームと戦うことは選手にとって大きな財産。関西学生代表を経験した選手たちがここ数年日本ラグビーの重要なシーンで活躍するようになっています。これが関西のレベルアップに寄与していると考えています。

このような取り組みを可能にしているのは、財政の健全化です。関西大学リーグでは、2014年から冠スポンサーとして運輸業大手の株式会社ムロオさまに参画いただいています。また他にも多くの企業さまに協賛いただき、選手たちの活動そのものに還元できるようになりました。

以上のように、ラグビーへの大きな波が押し寄せるなかで関西ラグビーフットボール協会では、さまざまな改革とイノベーションを起こし続けています。
今後とも関西ラグビーをよろしくお願いします。

関西ラグビーフットボール協会 会長 坂田好弘