トップリーグ 第13節
ヤマハ発動機 VS. サントリー
2016年12月24日(土) 13:00キックオフ グラウンド:ヤマハスタジアム | ||||
ヤマハ発動機 | サントリー | |||
24 | FULL TIME | 41 | ||
17 | 前半 | 21 | ||
7 | 後半 | 20 | ||
詳細 (TL公式) |
マッチレポート
お互いに開幕12連勝と波に乗るヤマハ発動機ジュビロとサントリーサンゴリアスの全勝対決。優勝に向けお互いに負けられない対戦が快晴のヤマハスタジアムで行われた。
チーム一丸となり悲願のトップリーグ初優勝を目指すヤマハとアウェィの逆風の中ヤマハの強力スクラムにサントリーがどう立ち向かうか。クリスマス・イブの全勝対決にスタジアムには10,574人の大勢の観客が集まった。
試合開始早々の前半4分、キックでお互いに相手の出方をうかがう中、ヤマハは敵陣10mL付近左側のラインアウトからSO大田尾竜彦がハイパント。サントリーがキャッチミスしたボールをヤマハCTBヴィリアミ・タヒトゥアが拾いWTB伊東力へパス。伊東は右サイドを走り切り、ゴール右中間へトライ。FBゲラート・ファンデンヒーファーのゴールも成功し、ヤマハが7-0と先制した。
さらに12分、ゴール前で得たPKをFBファンデンヒーファーが確実にゴールを決め、10-0とサントリーを突き放した。
これに対しサントリーは15分、敵陣ゴール前10mのヤマハボールのスクラムをターンオーバー。左中間のラックから左に展開し、最後はWTB中靏隆彰が右中間へトライ。SO小野晃征のゴールも成功し、10-7とサントリーの反撃が始まる。
27分センター中央付近で得たPKをSO小野がゴールを失敗するも、32分に自陣10mL付近のスクラムから連続攻撃。SO小野の突破を起点とした22mL付近右サイドのラックから左に展開したボールをCTBスティーブン・ドナルドがヤマハディフェンスラインを突破し、ゴール真下にトライ。SO小野のゴールも成功し10-14と逆転した。
これに対しヤマハは37分、PKで得た敵陣ゴール前左のラインアウトからモールを押し続けたところをサントリーが反則を犯し認定トライ。FBファンデンヒーファーが確実にゴールを決め17-14とヤマハが逆転する。
このまま前半終了となると思われた終了間際、サントリーは連続攻撃を仕掛け、FLジョージ・スミスのパスを受けたSO小野がライン際に抜け出し、FLツイヘンドリックへパスし右中間へトライ。ゴールも成功したところで前半終了のホーン。17-21とサントリーが再度逆転し、前半が終了した。
後半に入るもサントリーのペースが続く。49分、敵陣右中間約30mのPKをSO小野が確実に決め、ヤマハの反撃を許さない。
さらにサントリーは52分、22mL付近ラインアウトを起点に連続攻撃。ゴール前ラックからのボールをSO小野が内側にフォローしたPR石原慎太郎へパスし、石原が右中間へトライ。ゴールも決まり17-31とヤマハを突き放す。
ヤマハはPK後のタッチキックで敵陣ゴール前に再三攻め込むも、その後のラインアウトでボールを奪われるなどチャンスを生かせない。ようやく70分にようやく敵陣ゴール10m前右のサントリーのラインアウトのミスからオープンに展開、最後はWTB伊東が右中間に本日2本目のトライ(ゴール成功)で24-31と7点差として反撃する。しかし、78分にサントリーSO小野に22mL付近左中間のペナルティーゴールを決められ万事休す。
そして終了間際には、ヤマハがゴール前まで攻め込んだところでサントリーがターンオーバー。途中出場のPR畠山健介が走り込み、起点となったラックから右へ展開、最後はFB塚本健太が右中間へダメ押しのトライ。SO小野のゴールも決まり試合終了のホーン。サントリーが24-41と全勝対決を勝利した。
サントリーはアウェイの中ファンの声援の後押しもあり、前半はヤマハのハイパントに苦しんだが、FW戦でFLジョージ・スミスを中心に軸に落ち着いて試合をコントロール、ヤマハの攻撃のリズムを作らせず、BKへの展開で自分達のリズムに持ち込み、大きく優勝へ近づく勝利をもぎ取り、残り試合に向け大きな弾みをつけた。
一方のヤマハはファーストスクラムやラインアウトでボールを奪われるなど、“ヤマハスタイル”を作ることができずに敗戦した。残り2試合は、自分たちのプレーを取り戻し、優勝争いに留まりたいところである。
この日のマン・オブ・ザ・マッチは、トライにつなげるラン&パスやゴールキックで16点を挙げ、勝利に大きく貢献したSO小野晃征が受賞した。
(文責:田代俊彦、編集:神谷英志 静岡県ラグビーフットボール協会)
記者会見ダイジェスト
ヤマハ発動機ジュビロ
清宮克幸監督
頂上決戦ということで、準備も万端で、これで結果が出なかったら言い訳できないくらいチームはいい状態だったのですけれども、ご覧のような結果になりました。要因はいくつかありますが、自分たちの得意なフィールドに引きずり込めなかったところがあります。サントリーのテクニシャンぶりにヤマハの経験の少ない若い選手が自分たちの力を出せなくされたという印象です。
いくつかのマイボールのスクラムとラインアウトを取れなかったのが試合に影響を与えたのではと考えます。特に前半の10-0からマイボールスクラムをキープできていれば、(結果相手の反則だが)試合展開が大きく変わったのではと思います。
三村勇飛丸キャプテン
チームがしっかり準備してきたので、負けたことが非常に悔しいです。
こちらから仕掛けたというよりは、常に相手が先に動いていた印象があったのと、スクラム・ラインアウトなど得点につながるようなエリアでミスしたことが悔しいです。ミスにも理由があると思うので、まだトップリーグで優勝するにはあと2戦負けてはいられないし、日本選手権につなげるために次の2戦に向け準備したいと思います。
――後半追う展開で、ハーフタイムにどんな指示をし、前半何がうまくいかない部分だったのか?
清宮監督
後半風上に立つということで、心理的にも有利に戦えるはずでした。慌てずに一つ一つ、ペナルティーゴールを狙いながら攻めていけばよかったと、今少し思います。
具体的な指示としては、ヤマハがやりたいことをやらせないようにされている、シーンでいうとジョージ・スミスへの厳しいチェックをハーフタイムで修正しました。彼がヤマハのプレーをさせないプレーをしていた。彼にだけはペナルティーがないわけで、何年か前の日本のラグビーと同じ現象ですかね。彼の周りにはペナルティーがないということが、一つ指示としては大きなポイントでした。
ディフェンスに関しては、10点満点なら今日は2、3点でしょうか。やろうとしてきたことをディフェンスで全くできなかったので、ハーフタイムで指示をして、多少は良くなったが、前半のディフェンスはひどかったです。
――後半何度かペナルティーゴールを狙えたが、ゴール前でラインアウトを選択したのはどんな判断だったのか?
三村キャプテン
前半のラインアウトで相手が反則をしてペナルティトライをもらったというのがあったので、点差を考えると5点、7点欲しかったです。そこは冷静になれていれば状況は変わったかもしれません。
――スクラムでサントリーが強みを発揮していたようだが、どう感じたか?
三村キャプテン
強みというより対応できなかったです。
清宮監督
反則されている。私がテクニシャンといったのはそういうところです。
サントリーサンゴリアス
沢木敬介監督
お疲れさまでした。好調のヤマハさんに勝つことができ、チームにとって自信になると思います。今日の試合はお互いのカラーが出ました。ブレイクダウン・ディフェンス・コンタクトエリアなどレベルの高い試合でした。まだあと2戦残っているので、今日の勝利の価値を出すためにも、残り2試合勝てるよう来週から準備したいと思います。
流 大キャプテン
今日の試合は1位のヤマハさんに対して、チャレンジャーとして向かっていくだけだったので、それができてよかったです。この価値を自信にして、次に向かっていきたいです。アウェイということでヤマハファンも多い中、サントリーファンもたくさんいて声援が力になり、このスタジアムでいいラグビーができてよかったです。
――スクラムについての評価は?
沢木監督
もっといけたと思います。ヤマハさんに対してファーストスクラムで、FW8人がまとまってターンオーバーできたのは、ヤマハへのダメージにつながったと思うので、非常にいいスクラムを組めたと思います。後半はいろんな兼ね合いがあり、うまくコントロールできなかったが悪くはなかったです。
――須藤選手・塚本選手をヤマハ戦に起用した理由と、パフォーマンスは今日の勝利にどうつながったか?
沢木監督
須藤は(体型でもわかるように)純粋にスクラムが強いので、ヤマハさんのスクラムに対抗するため須藤を先発させた。
塚本に関しては(もともと)能力が高い選手なのですが、ここにきてやっと自分で自信を持って、チームの勝利に貢献できるプレーができたのではないかと思います。
――後半のハイパントを取って試合の流れを変えたか?
沢木監督
(塚本は)何千本も練習しているので、あれくらい取ってもらわないと。練習の成果が出ていると思います。
――経験ある小野選手、ジョージ・スミス選手、スティーブン・ドナルド選手の働きを監督から見てどう感じるか?
沢木監督
もちろん、ジョージはワラビーズの代表的な選手ですし、スティーブンも自分たちの望むパフォーマンスで、いい仕事をしてくれました。小野は今年調子が良く、(細かく考えすぎるところもあるが)今年はシンプルな考えで、ゲームを理解し、自分たちの良さを引き出せるようなゲームコントロールができています。エディーのプレッシャーがなくなったからかな(笑)
――いいテンポを心掛けたところは?
流キャプテン
特に外側にスペースがあったので、そこを早く攻めることは意識しました。FWフェーズにこだわるよりBKのスペースが空いているので、そこに早く回すことを意識しました。
――ブレイクダウンについては、どう工夫、意識していたか?
沢木監督
ヤマハさんはボールに対してファイトしてくるチームなので、自分たちにできることは、しっかりと自分たちのオフサイドラインと明確にするくらいの精度で、ブレイクダウンを支配するというトレーニングをやってきました。やはり、精度が落ちてしまうとからまれるケースも多々あったので、自分たちのスタンダードを引き上げてくれる試合でした。
――ディフェンスに対してはどんな意識で臨んだか?
流キャプテン
それは僕らのプライドであるハードワークだけです。そこは絶対にヤマハを上回らないと、パワーで崩されるので。その分僕らはタックルして、起きて、動いてと、その部分はサントリーのプライドでもあるので、そこが(今日は)よかったです。
(文責:小林聖子 静岡県ラグビーフットボール協会)