12月3日(土) 第10節 ヤマハ発動機 63-7 豊田自動織機


トップリーグ 第10節
ヤマハ発動機 VS. 豊田自動織機

2016年12月3日(土) 14:00キックオフ グラウンド:静岡県小笠山総合運動公園エコパスタジアム
ヤマハ発動機 豊田自動織機
63 FULL TIME 7
21 前半
42 後半 7
勝点
5
詳細
(TL公式)
勝点
0

マッチレポート

【ヤマハ発動機、開幕十連勝で快勝。豊田自動織機、意地を見せるも三連敗】

1ヶ月のウインドウマンスを経て、トップリーグ後半戦初戦となるヤマハ発動機ジュビロ対豊田自動織機シャトルズの試合が、2019年W杯の舞台となる静岡県エコパスタジアムで開催された。
快晴のスタジアムに7,471人の多くのファンが集まり、試合が行われた。

ここまで開幕9連勝で首位のヤマハ。リーグ前半戦の勢いをそのままに、12月の上位陣との対戦に向けて順調に勝ち点を積み上げたいところ。
一方、東芝から勝ち星を挙げるも、1勝8敗で最下位に沈んでいる自動織機。自動降格圏脱出に向けた上昇のきっかけにしたいところ。
双方このような思惑が予想される中、自動織機のキックオフにより試合が始まった。

開始早々、自動織機が敵陣内に入り攻め込むも、ヤマハのディフェンスによるプレッシャーを前に攻めきれない。
逆に、太陽を背にしたヤマハは、効果的なハイパントキックも織り交ぜながら、強力フォワードがスクラム、モール及びラック等の接点での強みを発揮して自動織機を押し返す。

前半13分、ヤマハがゴール前5m中央のPKで選択したスクラムを押し込み右へ展開。最後はインサイドCTBマレ・サウがゴール真下にトライし先制する。

16分には、ヤマハ左FLモセ・トゥイアリイが22mライン左中間で相手選手のキックをチャージ。
インゴール左中間にこぼれたボールをHO日野剛志が押えてトライ。

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続いて18分には、ヤマハの左WTBハビリロッキーが自陣から左タッチライン際を突破。これを好フォローしたHO日野が快走、最後はアウトサイドCTB宮澤正利が左中間にトライ。
FBゲラード・ファンデンヒーファーがトライ後のゴールを全て成功させ、ヤマハが序盤に3連続トライで試合の主導権を握り、前半は21対0とヤマハがリードして終了した。

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後半、ヤマハは試合再開早々2分、22mラインの左ラインアウトから、右に左に素早くバックスへ展開。最後はWTB伊東力が右隅にトライ。

7分には、ヤマハが敵陣10mラインの右ラインアウトから素早くバックスへ展開し、22mライン右中間でボールを受けたインサイドCTBサウが相手ディフェンスラインを突破。
最後はWTB伊東が飛び抜けて中央に連続トライ。

続いて9分には、ヤマハが22mライン左中間のラックから流れるようにバックスへ展開し、最後はWTBロッキーが左中間にトライ。

12分には、ヤマハが自陣からバックスへ展開し、22mライン左中間でボールを受けた交代出場したばかりのアウトサイドCTBシアレ・ピウタウが相手タックルを振り切り左隅にトライ。

FBファンデンヒーファーがトライ後のゴールを全て成功させ、後半開始早々に49対0とヤマハが大きくリードした。

この後、自動織機も踏ん張り、ヤマハ陣内に攻め込む時間帯が続いたが、ヤマハの固いディフェンスの前に攻め手を欠いて得点機を作ることができず、逆に、ヤマハが接点で強力フォワードの威力を発揮して、再び攻撃のリズムを掴んでいく展開となった。

さらに26分、ヤマハはPKでスクラムを選択して押し込み、相手コラプシングの反則を誘って認定トライを奪う。SO大田尾竜彦のゴールも成功し、ヤマハが56対0として勝利を決定づけた。

ヤマハの固いディフェンスの前に、このままノートライに終わるかと思われた自動織機。
しかし、30分、ヤマハWTBロッキーが自陣22mライン右中間でハイパントキックしたボールがファンブル。自動織機の交替出場のCTB松本仁志が奪い、右隅にトライ。SOサム・グリーンによるゴールも成功し、56対7と自動織機も完封を免れる意地を見せる。

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しかし、終了間際。ヤマハは22mライン中央のラックから、SO大田尾が相手バックスライン裏へ絶妙なキックパス。交替出場したHO加藤圭太が走り込みゴール左隅にダメ押しのトライ。
SO大田尾による左隅からの難しい角度のゴールも成功し、63対7となったところでノーサイドの笛が鳴った。
ヤマハが地元で開幕10連勝を飾り、一方の自動織機は、随所に意地を見せるも3連敗となった。

ヤマハは、日本代表に選手6名を送り出したことから、試合前はウインドウマンス期間を経てのチームの連携や代表選手のコンディションを不安視されていた。
しかし、出場した代表選手のコンディションも良く、終わってみれば今季リーグ最多となる63得点を挙げ、後半戦初戦は最高の滑り出しとなった。
念願のトップリーグ制覇に向けて、次節以降の戦いぶりがますます楽しみである。

一方の自動織機は、ヤマハの強力フォワードに対して良く耐えた場面もあった。しかし、守備において、ヤマハの突破力のあるバックス陣にタックルを外され失点する場面が目立った。
攻撃においては、積極的にバックス展開するも攻めきれず、最後は耐えかねてキックにより自ら攻撃権を相手に渡してしまう場面もあった。
今後、自動織機は、タックルミスの解消等により失点を減らし、接戦を勝利に繋げる自前の粘り強さを取り戻してくれることを期待したい。

なお、この日のマン・オブ・ザ・マッチは、後半早々に連続トライを決めるなど攻守に活躍したヤマハWTB伊東力が受賞した。

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また、この試合では、ヤマハのSO大田尾竜彦選手と後半途中から出場したPR山村亮選手が、奇しくも二人揃ってトップリーグ通算150試合出場を達成した。
試合後、両チームの選手、関係者、会場のファンに囲まれて、盛大な祝福セレモニーが行われた。

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(静岡県ラグビーフットボール協会 瀬尾知繁)

記者会見ダイジェスト

豊田自動織機シャトルズ
丹生雅也監督
本日はこのような素晴らしい環境で試合をさせていただきありがとうございました。ヤマハの大田尾選手、山村選手の150試合達成おめでとうございます。その記念にふさわしい試合をするべきだったが、ディフェンスにまだまだ課題があると感じました。
セットプレーでは、スクラム、ラインアウトなどヤマハさんの強みのところでFWが頑張ってくれたと思うので、我々の強みとして修正しレベルアップをしていきたいと思います。

吉田伸介ゲームキャプテン
このような素晴らしい環境を作っていただき感謝します。ありがとうございました。
準備してきたことが出せた部分もあったが、ディフェンスのところで少し戸惑ってプレーした部分があったので、修正して次に向かっていきたいと思います。

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―この1カ月間、前半戦も踏まえてどんな準備をしてきたのか?
丹生監督
コンタクト、ハンドリングなど基本的なスキルを重点に、選手と何をすべきか明確に取り組んできました。
1つは、ミスも少なくなってきて、ディフェンスのところでタックルの精度も上がってきている。しかし、1つのミスをしたとき強いチームはそういうところから得点を狙ってくると思うので、修正すべき課題です。
もう1つは、セットプレーです。選手たちが後半途中までは出してくれていたが、スクラムで優位に立てなかったので、もっと押し込みたいです。

―スクラムは途中まで対抗していたようだが、それができた要因は?
吉田ゲームキャプテン
我々はタイトにストレートに組んでいました。いろんな修正に時間がかかったが、いいスクラムが組めたと思います。

ヤマハ発動機ジュビロ
清宮克幸監督
再開後第1戦ということで、最初のコンタクト(接点)の動きを心配したが、最初の3分で心配は必要なかったという印象を持ちました。満足できる内容でした。
ただ、点の取り方を何人か忘れていたようだが、終わってみれば63点取れていたので、杞憂することはなかったです。
いい状態で(サントリーとの)決戦に臨めます。今日の試合でケガ人も出ていないし、代表メンバーも元気ですし、ますます楽しみです。どんどん盛り上げていきたいです。

三村勇飛丸キャプテン
トップリーグ再開後1試合目をしっかり勝ったこと、そしてホームで勝てたことをうれしく思います。チームの形で取れたというよりは、ロッキーなどがブレイクして取ったというのが前半続きましたが、後半20分からは自分たちの形で取れた印象があります。
勝った中でも課題をもらって1戦1戦戦ってきたので、残り5試合、ホームで3戦ありますし、次節は調子のいいNECなのでしっかり勝ち切れるように準備したいと思います。

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―10連勝に関しては?
清宮監督
特に意識はしていません。それより、大田尾、山村の150キャップが奇しくも同じ日、同じ試合になり、みんなで喜ぶことができてうれしく思います。

―大田尾選手、山村選手が150試合なのですが、キャプテンから見てどのような先輩か?
三村キャプテン
ベテランという立場ですが、チームを引っ張ってくれるし、2人がいるから若手も僕らも頑張らないと思います。

清宮監督
大田尾はゲームリーダー。5年間コーチ兼任の立場でミスターヤマハと呼べます。山村は精神的なリーダーで天性の明るさがあり、私は元気リーダーと呼んでいます。
彼は、(チームを)明るくするエネルギーを与えてくれる存在だと思います。二人ともチームに必要な、いいリーダーとして活躍してくれています。

―日本代表選手が遠征から戻ってきてから、チーム作りで意識したことや成長などは?
清宮監督
いろんな経験を積んでそれぞれ成長があると思うが、チームとしてはジョージアのスクラムを経験して帰ってきたことが大きいです。格の違うジョージアの世界のトップのスクラムを経験してきたので、何が必要なのか学んで帰ってきたのではと思います。

―代表から帰ってきてコンディションの面では?
三村キャプテン
出場機会が少なかったので、むしろ試合に出たかったです。

―移動の疲れなどは?
三村キャプテン
全くないです。

(静岡県ラグビーフットボール協会 小林聖子)

フォトギャラリー

■撮影者:谷本結利