2月22日(日) 第52回日本選手権 サントリー 31-25 パナソニック

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2月22日(日) 第52回日本選手権 サントリー 対 パナソニック

2015年2月22日(日) 15:05キックオフ グラウンド:近鉄花園ラグビー場
レフリー:久保修平
アシスタントレフリー:松岡辰也 / 加藤真也 / 真継丈友紀
サントリー
サンゴリアス
パナソニック
ワイルドナイツ
31 FULL TIME 25
13 前半 12
18 後半 13
詳細(TL公式)

◎レポート
トップリーグプレーオフトーナメントLIXILCUP2015の覇者パナソニックワイルドナイツは、3週間ぶりの実戦、スーパーラグビー参戦者を欠いても層の厚さを見せられるかを試金石に、日本選手権連覇に挑む。対するサントリーサンゴリアスは、セカンドステージでパナソニックに大敗を喫しているものの、チームコンディションを日本選手権に照準を合わせ、ワイルドカードから勝ち上がってきた。

前半はサントリーのキックオフで試合が開始され、サントリーはSHフーリー・デュプレアが、見事な球捌きでパナソニック陣内に攻め込むが、そこは試合巧者のパナソニック、SOベリック・バーンズのキックで逃れサントリーにゴールラインを割らせない序盤の展開。均衡を破ったのはサントリー、11分パナソニックの反則で得たチャンスに、SOトゥシ・ピシが35m左中間からPGを決め3-0と先手をとる。

サントリーは、デュプレアが持ち前の判断力の良さを生かし速攻を仕掛けるが、なかなかパナソニックのディフェンスを崩すことができない中、逆にパナソニックは20分にハーフウェー左中間でSOバーンズが右展開、№8ホラニ龍コリニアシがサントリーディフェンス突破、最後は左WTB酒井教全がこの試合初めてのトライを左中間に決め3-7と逆転(ゴール成功)。

サントリーは、28分に再びSOピシがPGを決め6-7と詰め寄り、33分には22mL中央ラックからピシの芸術的なステップでディフェンスの真中を抜き去り中央にトライ。このスーパープレーにスタンドからは大きな拍手と歓声が沸き起こり、13-7とサントリーが再逆転。前半終盤パナソニックは、36分にサントリーが自陣ゴール前10mで反則を犯すと、すかさずSOバーンズがサインプレーで右ゴール前ライン際にキックパス。左FL劉永男がキャッチし右隅にトライ13-12と一点差に詰め寄りハーフタイム。

後半、両チームとも上位チームらしい試合の進め方で、サントリーが9分にPGで点差を拡げにかかるが、パナソニックも11分、17分にPGを返し16-18となるシーソーゲームに。試合も終盤に差し掛かる27分、サントリーはPGを決め19-18の一点差リードに持ち込み、互いにミスが命取りになりかねない緊迫した試合展開になる。

30分、サントリーは自陣22mL右中間でパナソニックボールを奪うと、CTB松島幸太朗がディフェンスの隙を走り抜け前進。ライン際を繋ぎゴール前5m右隅ラックから連続攻撃を仕掛け、中央ラックから18番PR垣永真之介がタックルをかわしポスト真下にトライし26-18(ゴール成功)。

この後もサントリーはパナソニック陣内で試合を進め34分、ピシがハーフウェー左中間でディフェンスを3人ひきつけ、フリーになった23番FB塚本健太にパス、塚本はライン際を走り切り右隅にトライし31-18とサントリーは勝利をほぼ手中に収める。しかし、最後まであきらめないパナソニックは37分、ゴール前10m右中間からSOバーンズのロングパスを左WTBにはいっていた9番内田啓介が左中間にトライし31-25(ゴール成功)の6点差に。パナソニックは39分にもPKからハーフウェーラインアウトを選択し攻めるが痛恨のノックオンでノーサイド。サントリーは決勝進出を果し、2年ぶりの王座奪回をかけ、決勝をヤマハ発動機と争う。

 

(会見ダイジェスト)

パナソニックワイルドナイツ ロビー・ディーンズ 監督
「本日は非常に残念な結果でした。ただ、選手たちは非常によく頑張ってくれました。選手たちのパフォーマンスを誇りに思っています。サントリーさんの方が非常にいいプレーをしたということで、勝利に値する試合だったと思います。」
――エリアを獲りにいくところでミスがあったようだが?
「今日はコンタクトが非常に強いゲームでした。そういったビッグヒットがある中でミスが起こってしまいました。キッキングゲームについても、われわれがやりたかった展開に持ちこめませんでした。」
――残念ながら昨年に引き続き二冠とならなかったが?
「2年連続の2冠は逃してしまいましたが、それは日本のラグビーのレベルが上がってきていることの裏付けだと思います。今シーズンはリーグ戦でも3敗を喫しているし、非常にタフな選手権になってきています。今シーズンの収穫は、新しい今まで公式戦でプレーしなかった選手たちが力をつけて試合に出てきてくれたことです。今日もトーナメントという厳しい試合の中で数名が出場してくれました。」
――主力3人(堀江・田中・山田選手)の欠場の影響は?
「私としては、『誰がいないから…』ということは考えていません。本日出場した3人は、自分たちがこの権利を勝ち取ってグラウンドに立ったのであって、替わりに出たとは思っていません。トーナメント戦という緊張感の中で、非常によく頑張ってくれたと思います。」
――霜村選手の最後の試合になったが?
「彼は、本当に素晴らしいレベルの選手、フィールド内外を問わず、素晴らしい人間性を持った選手です」

ホラニ 龍コリニアシ ゲームキャプテン
「本日はありがとうございました。結果は残念ですが、サントリーさんは本当に良い出来で、われわれのラグビーをさせてもらえなかったというのが、結果です。」
――エリアを獲りにいくところでミスがあったようだが?
「こういう激しい試合になると、少しでもミスをするとそこを突かれます。これはお互いさまですが、サントリーさんの方が上だったということです。」
――本日の試合までかなりインターバルがあったが、その影響はあったのか?
「何を言っても言い訳になってしまいます。試合の間隔が空いたのは事実ですが、トップリーグチャンピオンとしてそれはないと思います。」
――前回(リーグ戦)対戦と今日のサントリーの違いは?
「やはり、デュプレア選手の存在ですね。彼がいるだけで脅威ですし、彼の駆け引きは凄いものがあります。」

サントリーサンゴリアス 大久保直弥 監督
「本日はありがとうございました。本当にタフなゲームだったと思います。苦しい時間帯がありましたが、キャプテン中心に自分たちを見失わず戦ってくれたことが、一番の勝因かなと思います。来週もう一回ゲームをできるチャンスを貰えたので、何とか勝って終われるように引き続き努力していきたいと思います。」
――5週連戦で疲労もあると思うが…?
「疲労に関しては、神戸製鋼戦の後は3日間リカバリーを中心に行いましたが、計画的にトレーニングはできています。」
――松島選手の評価は?
「どんどんマークが厳しくなる中でも、ゲームの流れを変えられる選手。チームにとっては前へ出してくれる選手であるし、相手にとっては脅威となる選手だと思います。スーパーラグビーに向けて、『チームとしては日本一になって彼を送り出したい』と思う気持ちは全員が持っていると思います。」
――トップリーグプレーオフを逃してから日本選手権までのチームの変化は?
「とりわけ大きく変えたことはありません。ただ、必要でないものを削ってよりシンプルに、選手が迷いなくプレーできるようにということはあります。自分たちのスタイルを大きく変えたということはありませんが、HB団に対して、ゲームコントロールという意味で彼らにFWがどれだけ選択肢を与えられるかということはチーム内で共有化しています。」
――清宮監督率いるヤマハとの決戦の感想は?
「サントリーのクラブとしての清宮監督に対するリスペクトは、サントリーのOBとしても高いです。今年強いチームを作ってこられて、そのチームと日本一を争えるというのは、クラブとしても意義があります。勝って、恩返ししたいと思います」

真壁伸弥 キャプテン
「今週は、チーム全員がパナソニックさんに勝ちたいという気持ちをもって、本当にいい準備ができました。それが、今日のゲームの結果になりました。次のゲームに向けても、しっかりと準備していきたいと思います。」
――トップリーグプレーオフを逃してから日本選手権までのチームの変化は?
「シンプルになって、一人一人に迷いがなくなりました。だから、プレーの精度が上がったということだと思います。リーグ戦では、少し考え過ぎたのかなと思っています。」
――清宮監督率いるヤマハとの決戦の感想は?
「清宮監督時代に入社したので、しっかりとサントリーラグビーというものを見せて、あとFWコーチに長谷川慎さんもいらっしゃるのでセットピースの部分でも成長したところをしっかりと見せて、勝ちたいと思います。」

(記事:山林右二、蜷川善夫、高橋茂治 写真:山口勝一 広報担当:村島博)