12月8日(土) 日本選手権 神戸製鋼 31-19 トヨタ自動車

トップリーグ2018-2019順位決定トーナメント兼日本選手権準決勝DSC_4726神戸製鋼 VS トヨタ自動車

2018年12月8日(土) 14:00キックオフ
グラウンド:東大阪市花園ラグビー場
レフリー:
アシスタントレフリー:
神戸製鋼 トヨタ自動車
31 FULL TIME 19
18 前半
13 後半 13
詳細
(TL公式)

マッチレポート

順位決定トーナメントもこの試合から日本選手権準決勝と兼ねた戦い。前試合、ホワイト4位のリコーに圧勝した神戸製鋼コベルコスティーラーズと、同2位のパナソニックとの死闘を制したトヨタ自動車ヴェルブリッツとの「名門対決」は、興味の尽きない一戦とあって、花園には1万人を超えるファンが駆けつけた。神戸は13年ぶり10回目の、トヨタは32年ぶり4回目の優勝を目指す。

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お互いがチャンスになるとスタンドがどよめき、盛り上がった試合になったが、試合を決めたのは神戸製鋼10番SOダン・カーター。トヨタに24対19と迫られた終了間近の後半37分。

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相手ゴール前20m左中間、パスを受けたカーターは利き足の左足アウトサイドで絶妙のグラバーキック。これに反応し忠実に追いかけた14番右WTBアンダーソン・フレーザーが押さえて試合を決めた。お互いが固いディフェンスが機能した反面、このレベルになると、ハンドリング、パス、キックなど大事な場面での基本的スキルのミスが致命傷になる。両チームともミスや攻め込んでのペナルティーなどでペースがつかめない展開の中、スタンドの神戸製鋼ファンからは「カーター、何とかしてくれ!」の声援が飛んだ。そして、最後に「何とかしてくれた」のは背番号10だった。

グラウンドには冬本番を思わせる北西からの風が吹き抜ける中、風上のトヨタのキックオフで試合が始まった。トヨタ、神戸ともスキのないディフェンスが機能、トヨタのわずかな防御のすきを突いた神戸が2トライを奪い、前半は18-6とトヨタをノートライに抑えて終えた。

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後半は15分、トヨタが反撃開始。相手ゴール前10m左中間ラックから右に展開し、少し前すぎるかと思われたラストパスがうまくつながり15番フルバックジオ・アプロンが押さえた。神戸の一瞬の隙をうまく突いたトライだったが、トヨタのトライはこの一つのみで、神戸のディフェンスがわずかに上回った。

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カーターは判断のいい、そしてタイミングのいいパス、正確なハイパントやキックでチームをリード。21点を上げ、見方を勝利に導いた。

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会見レポート

トヨタ自動車
ジェイク・ホワイト監督

最後の5分まで勝機はこちらにもあった。前回、パナソニック、今回が神戸製鋼と連続で強豪との試合だった。勝ちきれなかったが選手たちを誇りに思っている。

姫野和樹主将
前半は主導権を握られ、自分たちのラグビーができなかったが、5点差まで迫るなど後半で立て直すことができたのは、昨年からの成長を感じる。ハードワークしてくれた選手、スタッフに感謝したい。チャレンジするチャンスはまだあるので、次の試合に向けて切り替えてやっていきたい。

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Q.最後まで追い上げることができたが、チームづくりで大切にしていることは?
ホワイト監督
常に30点差、40点差で勝っている神戸に対してここまでやれたのは評価したい。本来なら、最後にトライを取って、キックオフから攻めるシナリオを描いていた。勝機は最後まであった。残り3戦あり、挽回したい。

Q.カーター選手に多くの得点にからまれたが?
ホワイト監督

常に相手チームからマークされ、さまざまなプレッシャーを受けながらあれだけのプレーができるのはすばらしい選手だ。神戸がペナルティーでゴールを狙ったり、カーター選手を80分間使い続けたのも、トヨタの強さを意識していたからだと思う。将来のトヨタを担う6人の新人を投入したが、チームはこれからも強くなる。

Q.前半主導権を握られ流れを捕まれた理由は?
姫野主将

攻撃面はいい感じで入れたが、順目で人数を余らされたりしたディフェンスだと思う。後半はオーバーコミットや逆目に残る枚数などを修正してうまくいった。修正能力が成長を感じる。もっとスクラムでプレッシャーをかければよかったが。

Q.チームのどこが成長したか?
姫野主将

チームとしてのまとまりを感じる。「勝ちきれないチーム」のイメージがあるかもしれないが、優勝するという意欲、勝つ意欲、新人の環境は変わったところ。

Q.試合終了後、ハーフタイムの修正点はどんなことばをかけたか?
姫野主将

「神戸の喜んでいる姿をしっかり見ろ。来年はあそこで我々が笑えるようにやろう」「チャレンジするチャンスが残っているのでもう一度やろう」と言った。試合中、ハーフタイムで修正点を指摘したが、修正できたのはチームとしての成長だ。


神戸製鋼
デーブ・ディロン ヘッドコーチ

フィジカルでタフですばらしい試合だった。チーム全員がしっかり準備し、チーム一丸となって勝ち取れた試合だ。

橋本大輝ゲームキャプテン
予想通りの80分。フィジカルでタフなゲームだった。セットプレーで相手の強みを出さなかったのが勝利につながったと思う。

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Q.どんな準備を心がけたか?
ディロン・ヘッドコーチ

大一番では一つのことだけに集中することはできないが、セットプレーに集中するのは主要な一つのフォーカスポイントだった。前回のトヨタとの試合は最後の部分でやられた側になったが、今回は相手にダメージを与えて終わらせられてすばらしかった。

Q.誰のため、何のために戦うかには平尾さんのためでもあるのか?
橋本ゲームキャプテン

もちろんある。チームや会社の歴史をこの1年間学んだが、いろんな人に支えられてラグビーができるのだということがわかった。平尾さん、支えてくれている人のためにプレーしたい。

Q.セットプレーのどこを警戒していたか?
橋本ゲームキャプテン

バックローのブレイクが遅れたがスクラムでボールが出るまで8人で押し続けることを80分継続しファイトできた。

Q.最後に追い上げられたときにどんなことばをかけたか?
橋本ゲームキャプテン

相手のプレッシャーというより簡単なミスが重なっていたので、相手ではなく神戸のスタンダード(基本のプレー)に戻ってプレーしようと話した。

Q.後半27分のスクラムでPGを決めたときは大切な時間帯で勝負どころだったが?
橋本ゲームキャプテン

ゴール前までいって得点が取れていなかったので、みんなが一つになってスクラムが組めた。この3点は大きかった。

Q.決勝に向けて
ディロン・ヘッドコーチ

1週、1週決勝だと思って戦ってきたので来週も3回目の決勝を戦うつもり。試合に向けてのアプローチには変わりはない。精度の高いいい準備をして、フィールドの内外に関していい準備ができれば決勝でいいのパフォーマンスにつながる。

橋本ゲームキャプテン
入部してから優勝経験がないし、このチャンスをものにしたい。15年分のいろんな人の思いが詰まった試合になると思うのでいい準備をしたい。

ダン・カーター選手

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Q.きょうの試合の自身のプレーの感想?
カーター選手

強いトヨタに勝ててうれしい。長く神戸にいた選手から「チームの意味」を教えてもらい、深く理解して試合に入ることができたのがモチベーションになった。6日間しか準備期間がなかったが、集中して準備したので、きょうの自分のパーフォーマンスはうれしく思っている。

Q.攻撃の起点として活躍したが
カーター選手

フォワードがしっかり仕事をしているので、走るスペースやいいタイミングでボールをもらえた。フォワードが勢いをつくることで私の仕事がやりやすくなっている。

Q.チームの成長をどう感じているか?次の試合に向けては?
カーター選手

今年一番成長できたのは「自分ができると信じること=セルフ・ビリーブ」。選手一人一人にセルフ・ビリーブがあり、お互いのためにプレーできているし、チームの一体感がある。相手がどこでも我々のスタイルは高いテンポでプレーすること。みんなできると信じている。来週(の決勝は)は自分たちがやってきたことを信じて、緊張せずしっかり準備をすることが重要。緊張して我々のゲームスタイルができなければいい結果にならない。我々がリーダーシップをとって選手に自信をつけるよう話したい。

(文責:大阪府協会 丸井康充)

フォトギャラリー

■撮影者:古田浩

■撮影者:渡辺隆夫

■撮影者:住本洋之