1月9日(土) LIXIL CUP NTTコミュニケーションズ 対 ヤマハ発動機
2016年1月9日(土) 13:00キックオフ グラウンド:キンチョウスタジアム | ||||
レフリー:塩崎公寿 (日本協会A1) アシスタントレフリー:久保修平 / 関谷惇大 / 坂井雄亮 |
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NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス |
ヤマハ発動機 ジュビロ |
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7 | FULL TIME | 26 | ||
7 | 前半 | 7 | ||
0 | 後半 | 19 | ||
詳細(TL公式) |
マッチサマリー
ジャパンラグビートップリーグ2015-2016の王者を決する順位決定トーナメントLIXIL CUP2016が開幕した。グループAで4勝、昨年度の第52回日本選手権準優勝のサントリーを勝点1差でかわして4位に滑り込んだNTTコミュニケーションズと、昨年度のLIXIL CUP2015準優勝で日本選手権王者、グループBで神戸製鋼にはやや一方的に敗れたものの6勝で首位通過したヤマハ発動機の一戦。この両チームの対戦は昨年度のファーストステージではNTTコムが、セカンドステージではヤマハが勝利し星を分けた。試合は、新年の訪れを告げる十日戎を翌日に控えた冬晴れの大阪・キンチョウスタジアムに、ヤマハ、五郎丸歩、NTTコム、アマナキ・レレィ・マフィというRWC015での人気者達を迎え、8000人近い大観衆の見守る中、NTTコムSO、エルトン・ヤンチースのキックオフで開始された。
前半、風下のヤマハは接点からFWが仕掛け、さらにBKに展開してボールを支配するが、NTTコムの積極的に前に出るDFに阻まれてなかなかゲインができない。またゴール前のラインアウトモールでも度々NTTコムゴールに迫るが、FW戦にこだわった末、ノックオンなどのハンドリングミスでチャンスを逃す。そんな中、均衡を破ったのはNTTコム。19分、自陣10mL左ラインアウトからCTB石橋拓也が大きく50m近くをゲインし最後はフォローしたCTB諸葛彬が左中間にトライ。SOヤンチースのゴールも決まり7-0と先制した。その後もヤマハは地上戦にこだわり執拗にボールを展開する。NTTコムNo8アマナキ・レレィ・マフィのシンビン(故意の反則・オフサイド)でスクラムで優位に立ったヤマハは42分、ゴール前5m左中間のスクラムを押し切り、No8堀江恭佑が左中間に押さえた。7-7の同点として勝敗の行方を後半につなぐ。
均衡した前半とは一転、後半は風上を利したヤマハのペース。4分にゴール直前の左中間ラックからNo8堀江がそのままトライを挙げ7-12と逆転。直後のFB五郎丸歩の自陣からのDGや10mL付近からのPGは惜しくもクロスバーをそれる。しかしヤマハはやや足の止まったNTTコムに対して次々と攻撃をしかける。13分にゴール前10mL中央ラックからBKが左に展開、SO大田尾竜彦の内についたRWC2015戦士CTBマレ・サウが中央に抑え7-19と突き放しにかかる。23分にはゴール直前左中間スクラムでプレッシャーをかけ続け、NTTコムの反則を誘いってペナルティ・トライ。7-26と勝利を決定づけた。
昨年度の日本選手権王者、ヤマハ発動機はNTTコミュニケーションの粘り強い防御に攻めあぐんだが、テリトリーやポゼッションで圧倒。ベテラン中心の安定した横綱相撲で昨年度のこの大会に引き続きセミファイナル進出を決めた。昨年度、セカンドステージ8位となったNTTコムは爆発力のあるFW第3列を擁するだけに、第2節以降奮起して上位を目指してほしい。MOMはFWの要として追撃・逆転の2連続トライを挙げたヤマハNo8堀江恭佑に贈られた。
(記事:石川 悟、丸井康充)
会見ダイジェスト
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス ロブ・ペニーヘッドコーチ
選手たちは今ロッカールームで残念がっている。ただ本日のゲームへの取り組む姿勢、コミットメントについては素晴らしいものだった。今日のパフォーマンスは、単純にミスが多すぎた。プレッシャーをかけることが必要な場面でかけられない。セットピースのとても強いヤマハ発動機にうまく対応しきれなかった。そこからミスが起こってしまったり、レフリーとのコミュニケーションがうまくとれずフラストレーションが溜まってしまったりという場面があった。ただ我々は若いチームで順調に成長しており、このレベルで戦える真の力もついてきており、これからが非常に楽しみ。
金正奎ゲーム・キャプテン
自分たちは優勝を狙っており、NTTコミュニケーションズの新たな歴史を作るための大きな一戦だったので、そこで敗れてしまったことは本当に残念。原因としてはHCからもあったようにセットプレイ時のプレッシャーや単純なミスで相手に26点も奪われ、7点しか取れなかった原因となった。昨年、NTTコミュニケーションズはトップ8に入って新たな歴史を作ったが、今年もまだ5位を狙うチャンスが残っているので残り2戦しっかり戦いたい。
Q.ヤマハ発動機はスクラムやセットピースの非常に強いチームだが、NTTコミュニケーションズはどのような部分で優位に立ちたかったのか?
ペニーヘッドコーチ
まずセットピースで同じレベルで戦うことを目指していた。このようなタイトなゲームでは細かな判断の部分で優位に立てれば、また違ったゲーム展開になっていたかもしれない。また今日はディフェンスがいつも以上に重要だと考えていた。キックゲームに対するディフェンスも重要だった。そこにうまく対応できことは、チームにとっては良い傾向。ただアタックに関しては、マイボール時にフェイズを重ねてプレッシャーをかけることができていなかった。
ヤマハ発動機ジュビロ 清宮克幸監督
勝利をおさめてベスト4に入れたことを嬉しく思っている。今日の試合はブレイクダウンの攻防でNTTコミュニケーションズのバックローの選手たちに仕事をさせないことがポイントだったが、やはり前半からうまくからまれて良いボールが出ずにスコアできなかった。しかし後半が勝負ということは事前にミーティングでも伝えており、選手たちは焦らずにプレイできたと思う。前半最後にシンビンで相手が一人少ない時点で、良いスクラムトライをとれたことが今日一番のポイントだったと思う。
三村勇飛丸キャプテン
まずはトップ4に入れたことが嬉しく思う。最初はブレイクダウンで働くべき人間に働かれてしまい、リズムをつかむことができなかった。セットプレイラグビーを掲げる我々にとって負けられない相手だったので、勝てたことは非常に嬉しく思う。これから先はどこが来ても相手にとっては不足がないので、我々のラグビーをするだけだと思っている。
Q.今日は勝点を争うゲームではなくトーナメント戦であったにも関わらず、積極的にトライを狙っていたように見えるがこれはどんな判断だったのか?
三村キャプテン
セットプレイで圧力をかけるということで、準備期間2週間で最もアドバンテージがとれるラインアウトからのモールとスクラムからの攻撃を確認してきた。PGを狙うよりもFWの力を前面に押し出すことを目指していた。
清宮監督
勝負のポイントは前半からヤマハ発動機がFWで勝負をしたことで、後半NTTコミュニケーションズが我慢できなくなった。ラグビーは15~20分ならどんな相手とでも競り合える。そういう意味では前半から積極的にプレイしたことが、最後に勝敗を分けたキープレイ、良い選択肢であった。
Q.前半、我慢の展開の中でFWの強みを生かそうとしたにもかかわらず、なかなか得点できなかった時点ではどう考えたのか?
三村キャプテン
相手に上手くディフェンスされたということよりも、ストレスを感じず焦らずに常にヤマハのスタンダードを出し続けることが後半に繋がった。
Q.準決勝までの1週間、修正・確認しておくポイントは?
三村キャプテン
前半上手くやられたブレイクダウン、特に一人目の仕事量をアップさせたい。
清宮監督
前半、丁寧にプレイできていればあと2本はトライが取れていた。ここは修正するポイントである。目の前に大きなチャンスがあったので焦りが出たが、もう少し丁寧にプレイすることが必要。今日もけが人が出なかったことは幸いだったので、ベストなメンバーで次戦に臨める。
Q.前半のスクラムトライ、その前のスクラムの優位さで行けると感じたのか?
三村キャプテン
常にスクラムで行ける感覚はあったが、当初はうまく合わなかっただけである。相手がどう対応してくるかは当初の1、2本目で確認している。一列目の選手は最初から行ける感覚はあったと思う。
Q.昨年、NTTコミュニケーションズに敗れた際にはラインアウトからの奇策が目立ったが、それに対してはどう対策したか?
三村キャプテン
時間帯と地域と場所によってどういったことをしてくるかを予測することで防いでいた。ピールオフなどはきちんと予測できていたので全くパニックにはならなかった。
清宮監督
いろいろな準備をNTTコミュニケーションズがしてくることはわかっていたので、懐を深くディフェンスすることを心掛けた。何度もタッチラインに向けてヤマハ発動機のディフェンスが追い込んで、NTTコミュニケーションズがミスしたりタッチに押し出したりできたことが5~6回あった。あのあたりはチームのディフェンスの勝利なので非常に満足している。ああいったところでパニックになるとNTTコミュニケーションズのペースになる。去年の日本選手権のタイトルに相応しいチームに成長できている。
ヤマハ発動機ジュビロ 五郎丸歩選手
Q.今日から決勝トーナメントということでリーグ戦とは違う意気込みがあると思うが、ゲームに臨む気持ちと本日のパフォーマンスについて?
「前半は風下ということで非常に競った戦いになったが、後半は風上に立って有利な状況でゲームをコントロールできたことは満足している。次戦からは非常にタイトなゲームが続くことになるので、目の前の1試合1試合に集中しチーム一丸となって取り組んでいきたい。
Q.前半の風下はFW中心で臨んでいたが、どう考えてプレイしていたか?
風下の場合はいかに敵陣でプレイできるかがポイントとなるため、PGよりもヤマハ発動機が自信を持っているセットピースでしっかりとプレッシャーをかけて、後半、相手の足が止まった状態にしたいという狙いがあった。
Q.マフィ選手のシンビン時のスクラムトライでヤマハ発動機の勢いが増した感じだったが?
決勝トーナメントに入ってどの試合もしんどい試合であることはミーティングでも確認できていた。前半のうちは点差が開かないので、後半しっかりと力の差が出るように前半からきちんとプレッシャーをかけていこうということがいい意味で出たゲームであった。NTTコミュニケーションズのFWは非常にしんどかったと思う。
Q.今日のキックの精度は?
あまり当たりは良くなかったが、そんな日もある。ここからしっかり修正して強豪とのゲームでチームの力になれるよう臨みたい。太陽は気にならなかったが、後半のPGは50:50のところだったので、風上だったしその後のリスタートを含めてチャレンジした。
Q.RWC2015以降、関西は初めてで多くの観客が来場したが?
もうちょっと増えるかなとは思っていたが(笑)、次回も花園。大阪でゲームができるのでまた良いパフォーマンスを出したいと思う。明後日は高校大会の決勝もあるので、彼らに負けないような力を出したい。
Q.後半、DGを狙ったが?
PGと一緒で50:50だったが、敵陣にずっといられるということでNTTコミュニケーションズにはプレッシャーをかけられたと思う。自分は人生で一度もDGを決めたことがないので、また期待してほしい(笑)
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