関西ラグビーフットボール協会 U12普及育成委員会
概要:2019 ラグビーワールドカップ、2020 東京オリンピックを機にラグビーの普及発展の好機ととらえ、しっかりこのチャンスをかすためには、指導者の資質向上が不可欠である、将来の日本ラグビーを担う小学生にラグビーの楽しさ、魅力を、価値を充分に伝えていき、小学生に止まらず中、高、大学と継続してプレーしていこうというモチベーションを維持させていくことが必要である。この機にラグビースクールの指導者を対象に講習会を開催し二つのビッグイベントの日本開催にむけ更なる飛躍を目指し、ラグビースクールの総合的な底上げを図っていくことを目的とする。
1.名称 ラグビースクール指導者講習会
2.主催 (公財)日本ラグビーフットボール協会スクラムジャパンプログラム
3.主管 関西ラグビーフットボール協会普及育成委員会、奈良県ラグビーフットボール協会
4.期日 平成30年2月17日(土)〜18日(日)
5.場所 天理教高安大教会信者詰所(〒630-0035天理市守目堂町255-1)
1日目
2019ラグビーワールドカップ、2020東京オリンピックを機にラグビーの普及発展の好機ととらえ、しっかりこのチャンスを活かすためには、指導者の資質向上が不可欠です。将来の日本ラグビーを担う小学生に、ラグビーの楽しさ・魅力・価値を充分に伝え、小学生に止まらず中、高、大学と継続してプレーするモチベーションを維持させていくことが必要です。
2つのビッグイベントの日本開催にむけ更なる飛躍を目指し、2月17・18日、ラグビースクールの指導者を対象にラグビースクールの総合的な底上げを図っていく指導者セミナーを、天理教高安大教会信者詰所にて開催しました。
1日目は、天理大学ラグビー部監督の小松節夫さんの講演から始まりました。関西大学ラグビーの雄を率いる小松監督は、まずテーマである「チームビルディング」について参加者に質問をすることから始めました。その上で、チームを作る要素について一つひとつ丁寧に、自身の経験と客観的な観察から話を進めていきます。
野球少年でありながら小学生の頃にラグビーを始め、遊びから徐々にラグビーへの楽しさに気づく心境の変化を段階的に例示。さらに中学時代にチームとして目標を持ち日々を過ごすことの楽しさや、成長することの喜びを話され、原点にラグビーをすることの楽しさを上げられました。天理高校からフランス留学、同志社大学へとキャリアを積む過程で、ラグビーへ向き合う心境の変化も起伏を交えて和やかに語ると、いよいよ天理大学の指導者としての話題に。
Cリーグからスタートした小松監督。指導の柱としているのは、選手が納得して理解するまで説明すること。練習中の所作から、チームの戦術についてまで、聞かれたことには必ず明確に説明。そして選手からの信頼を得て、チームを作っているのだと言います。
「次第に選手たちが、なんとなく練習をし試合をして負けて怒られていた状態から、ラグビーが分解されて負ける要素や勝てる要因が見えるようになっていきました」との言葉に、天理大学の強さの原因を見せられました。
続けて技術的に小学生世代から重視すべき点として、ハンズアップや姿勢などの基礎的な話に及ぶと、参加者はみなメモを取り自身の指導への糧にしようとする姿が見られました。
最後にワークショップのテーマとして、ラグビー・フランス代表元キャプテン、ジャン・ピエール・リーブの有名な言葉を提示。「ラグビーは少年をいち早く大人にし、大人に永遠の少年の魂を抱かせる」の前半節の解釈を参加者に委ねます。
揺るぎなく明解な指導哲学に触れ、充実の講習会でした。
2日目
講習会2日目は、三野 耕先生(兵庫教育大学名誉教授、医学博士)による「学齢期における発育発達の個別評価によるラグビー指導」の講習が行われました。
ラグビーは集団的スポーツであるため、特に思春期前・思春期始めの頃である小学校期でのラグビー指導は、学年(暦年齢)ごとになされているのが現状。しかし、個別評価表を作成し成熟別に個人指導していくことの重要性を強調され、ラグビーという集団的スポーツの中での一人ひとりの個をどのように指導するか?の提案がありました。
そのヒントとして、三野先生が開発された「成熟別縦断型比体表面積の基準値の評価ソフト」から運動機能を評価する方法を解説。サンプルデータをもとにPCに入力し、個人評価表の作成作業を行い、そこで得られた「個人評価」を元に、個別指導に取り入れる工夫を説かれました。
例えば平均値より早熟型の子供は早くからウェイトトレーニングを取り入れてもよい、また晩熟型の子供はウェイトトレーニングよりむしろコーディネーションやスキルを養うトレーニングに時間をかけるほうがよい、などです。
その後に参加者へ開発されたソフトが提供されました。
今後、指導の現場で活用していただけることを期待します。
最後に参加者への事前アンケートから、練習前のメディカルチェックの徹底、水分補給や日陰の場所の確保、WBGT測定器の設置などの熱中症対策、AEDの準備、医療機関との連携など練習環境の整備や、安全に配慮した練習方法の工夫などを実践しているラグビースクールも多々みられ、安全対策の意識が近年において非常に高まってきたことが印象的な講習会となりました。