トップリーグ総合順位決定トーナメント 第2節
NTTドコモ VS 近鉄
2018年1月13日(土) 11:30キックオフ グラウンド:ヤンマースタジアム長居 | ||||
NTTドコモ | 近鉄 | |||
21 | FULL TIME | 13 | ||
3 | 前半 | 3 | ||
18 | 後半 | 10 | ||
詳細 (TL公式) |
マッチレポート
トップリーグ最終戦となる順位決定戦第2節。第1試合は「大阪ダービー」、第2試合は「九州ダービー」と13位決定トーナメントながら興味深い対戦になった。ヤンマースタジアム長居には熱心なファン4000人以上が集まった。
第1試合は、負けた方がトップチャレンジリーグに自動降格という非常に厳しい状況の中での一戦となった。接戦が予想されたがその通りの試合が展開された。
前半は風上のドコモのキックオフで始まった。両チームの今シーズンの苦戦を物語るようにチャンスでのターンオーバー、ラインアウト、ハンドリング、タックルなどミスが出て、近鉄のSO10番野口大輔、ドコモSO10番リアン・フィルヨーンによるPG1本ずつで終えた(3-3)。
決着を付けなければならない後半はいきなりの3分、ドコモはラインアウトからモールを形成。10番フィルヨーンがうまい動きで近鉄ディフェンスに穴を空け、最後はCTB12番金勇輝が押さえて主導権を握った(10-3)。近鉄は23分に故意の反則、33分に反則の繰り返しでイエローカードを受け、連続20分間、14人での戦いを余儀なくされた。意地を見せる近鉄は1人少ない25分、ドコモのディフェンスの甘さを突いてLO4番マイケル・ストーパークがトライを奪い5点差(18-13)まで詰め寄ったものの、ロスタイムに入った41分、ドコモ10番フィルヨーンにPGを決められ万事休した。
接戦、緊張した試合といった厳しい状況ではやはりミスが命取りになる。近鉄は肝心なところでのラインアウトミス、ハンドリングミスなどが響いた。来期は10年ぶりの下位リーグでの戦いになるが「捲土重来」、1年後には伝統のジャージがトップリーグで躍動することを望みたい。ドコモはトップチャレンジ2ndステージで2位となった日野自動車が相手になる。
記者会見レポート
近鉄ライナーズ
坪井章監
逆境の中、選手たちは最後まで近鉄ライナーズのプライドをかけて戦ってくれた。勝ちきれなかったのは全て監督の私の責任であるので、選手たちには胸を張ってほしい。戦力的にしんどい中でも選手たちは何一つ文句も言わずひたむきに努力し続けてくれた。スタッフも朝早くから夜遅くまで努力してくれた。結果、今シーズン築き上げたものをグラウンド上で示して結果を出すことができなかったのも私の責任。この経験はチームにとって成長への過程だと思っているので、必ず一年でトップリーグに戻る。改めて、どんなにしんどい状況でも近鉄ライナーズを温かく応援していただいたファンの皆さんには感謝する。
樫本敦キャプテン
試合の内容としてはNTTドコモがアタックでプレッシャーをかけてくることは分かっていたので、こちらは逆にディフェンスで前に出て対抗しようとしていたが、こちらのアタックでミスが出てしまった。それはこの試合に限らず今シーズン通して多く、最後にも出てしまった。やろうとしたことはできていたが、そこの精度と最後まで取り切ることだけが課題だった。来季に向けてその点を改善し、今年得たものをさらに伸ばして来年は継承して行きたい。一番悔しいのはファンの皆さん、試合に出られなかったメンバだと思うので、来年必ず戻るという気持ちで練習していく。
―今シーズンを振り返って、得たものとは?
坪井章監督
昨シーズンはサントリーに1点差で悔しい開幕を迎えたが、今シーズンは逆に豊田自動織機から劇的な勝利で幕を開けるという点は選手の頑張りの賜物である。6勝しているNTTドコモと4勝した近鉄が最下位を争うという点でトップリーグのレベルが年々上がっていることを肌で感じた。その中で勝ち残るためにはチームとして抜本的に見直すべき点がある。昨年からセットピース、特にスクラムは武器にすることができた。またディフェンスも今日も最後まで機能していたので、今後もチームの文化として築き続けていきたい。
樫本敦キャプテン
今シーズン通して得たものもたいへん多く、スクラムやラインアウトの成功率も高かった。その点の精度を上げるとさらに上を狙えると思う。ボールをキープできない、ペナルティを犯してしまうという自分たちの弱みも十分認識できた。そこを良くすることで上位を狙えるという明確な目標は立てられたので、来年に繋げて行きたい。
―シーズンを通して誤算だったところは?
坪井章監督
やはり怪我人が多く、原動力になってほしかった大物プレイヤーが2年続けて怪我をするなどチーム作りをする上では難しい点があった。
―監督がシーズン最初に掲げていた「若手とベテランの融合」の達成度と来季に向けて期待する選手は?
坪井章監督
ここ数年ベテラン頼りだったので若手の台頭が必要だった。若手を起用し続けたことで経験値も上がり来期に繋がると思う。ベテランもチームにとって貴重な存在で、事前の苦しい一週間も、ベテランたちが背中でチームを引っ張ってくれた。今後も「若手とベテランの融合」は近鉄のカルチャとなると思う。特にスタンドオフの野口、フォワードリーダの田渕にはさらに飛躍してほしい。
NTTドコモレッドハリケーンズ
ダヴィ・セロンヘッドコーチ
前回の試合で非常に残念な負け方をしたので、かなりプレッシャーがかかってこの一週間の準備は難しかった。しかし今日は満足いくゲームができ、選手たちが見せてくれた高い強度やプレイは誇りに思う。自分のキャリアの中でも非常にハイライトになる試合だった。選手たち全員の闘争心も誇りに思っているし、ディフェンスもあきらめずに最後まで戦いぬいてくれた。
牛原寛章バイスキャプテン
今日の試合は絶対に負けられない試合であり、気持ちでまず負けないというところにフォーカスしてこの一週間取り組んできた。一週間のトレーニングはかなり充実しており、先週の負けからきちんと切り替えて、この試合にだけ集中して取り組んできた。試合の勝因は近鉄の強みであるセットピースでプレッシャーをかけられたこと、選手一人のプレイ後のアクションが相手よりも素早かったところがこの結果につながった。
―セットプレイでプレッシャーをかけることができたということだが、逆に近鉄に苦労させられた点は?
牛原寛章バイスキャプテン
ブレイクダウンの二人目の寄りが少し遅れた際にボールに絡まれて、ペナルティを何度かとられた点が苦労した点である。そこを来週の試合に向けて徹底して修正していく。
―人生におけるハイライトと言うことだが、どういった内容が印象深かったのか?
ダヴィ・セロンヘッドコーチ
それだけ重要な試合であったということ、シーズンを通してリーグ戦で6勝を挙げるなどチームは大きく成長を遂げたが、前回に絶対に勝たなければならなかったコカ・コーラ戦に敗れて気持ちが非常に落ち込んでしまった。ここまでよく立ち直って気持ちあふれる個性を選手たちが試合で発揮してくれた点である。
―来週の入替え戦に向けた意気込みを聞かせてください。
ダヴィ・セロンヘッドコーチ
今日も決勝戦のような試合だったが、次もまたビッグチャレンジ、とても重要な試合になる。今日の試合後選手たちには24時間は結果を味わっても良いが、明日からは次のページ、同じ準備をする、同じ気持ちで次週も臨んでほしい。セットプレイ、特にスクラムについて力を入れていきたい。同じアプローチでモチベーションを上げて臨んでいきたい。
牛原寛章バイスキャプテン
今日の1勝は今日一日喜んで、月曜日からまた新たなページを刻むために、一週間良い準備をして臨みたい。その中でフォーカスすることはセットプレイと次のプレイへのアクションをもっと早めて日野自動車を圧倒したい。
(文責:大阪府協会 石川 悟、丸井康充)
フォトギャラリー
■撮影:KRPU 山口勝一
■撮影:KRPU 古田浩