関西ラグビーフットボール協会普及育成委員会
概要:概要:2016リオ・オリンピックでは7人制ラグビー男子日本代表がニュージ―ランドに勝つ大番狂わせをやってのけての健闘により、2015のRWCの再現を見たかのように日本中が興奮に包まれました。そのかいあってか各ラグビースクールの現場からは選手数の増加、体験入部の問い合わせなどが殺到しているように聞き及んでおります。しかしながらこの好機をしっかり活かすためには、安全で安心のできる指導者の資質向上が不可欠であります。将来の日本ラグビーを担う小学生ラガーにラグビーの楽しさ、魅力、価値を充分に伝えていき、小学生に止まらず中・高・大学と継続してプレーしていこうというモチベーションを維持させていく指導が必要である。
この機にラグビースクールの指導者を対象に講習会を開催し2019RWC・2020東京オリンピック日本開催に向けた更なる飛躍を目指して、ラグビースクールの総合的な底上げを図っていくことを目的とすることを旗揚げとして開催いたしました。
1、 名称 ラグビースクール指導者講習会
2、 主催 (公財)日本ラグビーフットボール協会スクラムジャパンプログラム
3、 主管 関西ラグビーフットボール協会普及育成委員会
奈良県ラグビーフットボール協会
4、 期日 平成29年2月18日(土)~19日(日)
5、 場所 18日 講義:天理教第38母屋(天理市豊井町500)
19日 講義:天理教校学園(天理市)
6、参加者 18名
1日目
講義
「子育てのためのラグビーフットボール」
兵庫教育大名誉教授、医学博士 三野 耕 氏
講義
人間は未熟なままで生まれてくるからこそ育てがいがあり、責任もある。保護者の思惑だけでなく今日の情報化社会や、集団環境で教育されることによって善人にも悪人にもなってしまう。学校教育は、「総合学習」であり先生が決めた「課題」を子供が「形成」「解決」する。これで「生きる力」が身につくとは思われない。なぜなら個々の能力を引き出すまでには至っていないからである。近年は子供の遊びが屋外から屋内遊びに変わり、動的活動から静的活動に移り身体接触の遊びをほとんど経験していない現状である。そこでラグビーのような相手との身体接触は、相手の動をはかり、ぬくもりを感じたり相手を思いやる心を学ぶことができる。ボールを介して身体接触や判断力を身に着けることができる「生きる力」を育てるスポーツの一つであるといえる。
ラグビーを通じて子供自ら体験し、そこで得た経験知をもとに課題を形成し、解決する過程での保護者・指導者の関わり方について医学的資料等を用いて説明をしていただきました。
その中で、ラグビーは子供にとって優れたスポーツであること。子供にとって神経細胞を刺激するには適切な運動である。「的当て型」「ずらし型」「あまし型」これらの多くは「鬼ごっこ」「ボール当て」など遊びの中で養成される「空間」などの脳・神経系を養うABCsの学習である。
もう一点、本人に自信を与えさせるには身近な人(家族即ち父母)にほめてもらうこと。このように身近な人に認めてもらうことが、自信を持たせる大きな力になり重要なカギである。などいろいろな子育てのアドバイスを講義していただきました。
ワークショップ
テーマ1『安全なラグビー指導を考える』を1日目、テーマ2『楽しい、ひとりボール遊びを考える』を2日目の2部制で行った。
今回も前田嘉昭氏にアドバイザーとしてセミナーに参加いただき、参考になる貴重なアドバイスをもらいながら、日頃ラグビースクールで活用できるような安全なラグビー指導を考える。また一人ボール遊びを考える。この2題を皆さんで3グループに分かれて考えていただき、意見交換も活発に行われ又真剣に取り組んでいただき発表していただきました。
2日目
講義
テーマは「タックル」
天理大学、天理教校学園レスリング部部長 国際審判員 小池 邦徳 氏
ご自身の世界レベル大会でのレフリー体験からの貴重な経験談を交えて、リオ・オリンピックで日本代表選手たちのメダルを取れた経緯、女子の金メダルを取った選手たちは逆転勝利だったこと、また、モンゴルの選手が最後の最後でポイントを取られ負けているのにコーチ・選手は勝ったと思い、あまりの嬉しさで上半身裸になり喜びを表現してしまい2年間出場停止処分を受けてしまいました。この原因は、「試合中に注意でポイントが与えられていたのにレフリーが試合を止めず流してしまった」事にあるのではないかと実況VTRを見ながら分かりやすく解説していただき、これからは日頃何気なく見ていたレスリングをまた違った目線で観戦することができそうです。
「私はレスリングを指導するとき、まずは楽しんでほしい」と思いながら行っています。また、レスリング協会は全国大会には必ずオリンピック選手等のアスリートに参加してもらい大会を盛り上げてもらっている。それに大会が終われば翌日から地方に飛んでもらい、ジュニアの子供らがオリンピック選手に直接指導を受ける機会を多く設けている。ジュニアの大会で勝てば即世界大会につながり世界に出ていくチャンスは多いが、反面小学生から中学生になっても引き続きレスリングをしてくれるかが大きな課題でもありますが、「レスリングは個人競技で有り団体競技でないことに誇りを持って行えれば良いかな」と思いもあります。と講義をしめていただき実技の会場へと移動しました。
実技
天理教校学園体育館
体育館に移動して、いよいよレスリング実技指導に入りました。ここで練習を行っている天理大学・天理教学園のレスリング部部員の皆様に協力をいただき、芝のグラウンドではなくマットの上でのタックルを主体にした実践練習を部員の皆さんが見本をそして台となって我々の支援や指導を行ってくれました。本当に練習の邪魔をしてしまい申し訳ありませんでした。我々、今回の受講者にとっては日頃経験のできないラグビーのタックルとは違う貴重なレスリングのタックルを生身の体で体験できました。
主催者講評
2日間開催の2016ラグビースクール指導者セミナーが参加者並びに講師・協力していただいたレスリング部の学生の皆様のおかげで無事、有意義な講習会として終えられたことに感謝申し上げます。
ラグビースクール・指導者の総合的な資質向上と安全対策が不可欠であるため底上げを図っていくことを目的として開催いたしました今回のセミナー、三野耕 講師には子供の成長について自身が研究されていることを事細かく教えいただきました。また、レスリングの小池邦徳 講師には、他競技から学ぶレスリングのタックルを指導者目線及国際レフリーの目線と二刀流指導を講演と実技で指導いただきました。指導者の在るべき姿勢を受講者がそれぞれ体感・実感した。また、ワークショップでは参加者全員に知恵と意見の成果を発表してもらい実のある経験をしていただきました。頭の引き出しに入れておいていただき自身のスクールで役に立てていただけたら幸いです。
最後に今回の講習会にご尽力いただきました奈良県協会の方々には謝意を述べて終わりと
いたします。