第54回日本選手権準決勝
サントリー VS. 帝京大学
2017年1月21日(土) 14:05キックオフ グラウンド:東大阪市花園ラグビー場 | ||||
サントリー | 帝京大学 | |||
54 | FULL TIME | 29 | ||
21 | 前半 | 21 | ||
33 | 後半 | 8 | ||
詳細 (日本協会公式) |
マッチレポート
東大阪市花園ラグビー場に8,600人を超す観客を迎えての日本選手権準決勝はトップリーグ王者に大学選手権王者がオフィシャルのゲームとして挑戦する最後の大会となった。大学選手権8連覇の絶対王者帝京大がトップリーグ全勝優勝のサントリーにどのような戦いを挑むのかが注目されるゲームは、帝京大学SO松田力也のキックオフで開始された。
先制したのはサントリー。前半12分ゴール前中央のラックからSH9番流大、SO10番小野晃征と渡り、SO小野が抜け出し中央にトライ、SO小野のゴールも決まり7-0としてサントリー優位は動かないかと思われた。
しかし帝京大学のチャレンジャーとしての攻める姿勢は不動。2分後の前半14分、サントリーのキックを自陣10m付近からカウンターアタックをしかけFB15番尾崎晟也が抜け出し、WTB14番吉田杏につなぎ、タックルを弾き飛ばしてのトライ。ゴールをSO10番松田力也が決めて7-7とした。
その後も、帝京大学はセットプレーやコンタクトプレーでもサントリーと互角に戦いサントリーの受け身の展開が続いた。サントリーは前半19分にゴール前15m中央ラックでSH9番流からFL7番小澤直輝につないでトライ、ゴールをSO小野が決めて14-7、続けて前半28分にもゴール前のラックからSH9番流からFL7番小澤とつないでトライ、ゴールもSO小野が決めて21-7とした。
このままずるずると引き離されるかと思われた帝京大だったが、SO松田の的確な状況判断などでサントリー陣に攻め込む。前半37分、ゴール前ラックからHO2番堀越康介が抜け出してトライ、ゴールをSO10番松田が決めて21-14とした。圧巻は前半40分に訪れる。帝京大は自陣ゴール前10m付近のラックからカウンターアタックで9番、10番、15番とつないで最後はWTB11番竹山晃暉がトライ、ゴールもSO松田が決めて21-21と前半は、予想以上に帝京大学の健闘が光った。
後半に入るとサントリーが前半の受けに回りすぎていたところを修正し、ディフェンスで圧力をかける。後半開始早々の2分、15mラインアウトからモールを押し込んでHO2番中村駿太がトライ、ゴールをSO小野が決めて28-21とした。
6分に帝京大はSO10番松田のペナルティキックで3点を返して28-24としたが、12分にゴール前のスクラムでサントリーがプッシュをかけると帝京大はたまらずコラプシング。この反則の繰り返しが認定トライとなりSO小野のゴールも決まって35-24となった。その後はボールキャリアがゲインラインを突破し帝京大ディフェンスを崩す。
14分、ゴール前中央ラックからSH9番流が持ち出しWTB14番中靏隆彰とつないでトライ、SO小野のゴールで42-24とし、試合を決定づけた。勢いの出てきたサントリーは26分にゴール前ラックから、FB15番松島幸太朗が持ち込んでトライ、ゴールキックはCTB12番の中村亮土が決めて49-24とした。意地を見せたいチャレンジャー帝京大は28分、サントリーのミスから一気に切り返してゴール前でラックを形成、WTB14番吉田がトライを決めて49-29とした。後半40分を過ぎてから、サントリーFB15番松島がフィジカルの強さ見せてトライを奪い54-29でノーサイドとなった。しかし帝京大学は大学選手権8連覇の王者として胸を張ってよい大健闘のゲームであった。
記者会見ダイジェスト
帝京大学
岩出雅之監督
悔しかった。勝負というのは、やはり勝って終わりたいものだ。選手達の涙もこれで最後だという思いとやはり悔しさによるものだと思う。
亀井亮依 キャプテン
監督のいう通り悔しかった。この一年の集大成をぶつけようとして通じたところも多かったが、結果としては負けてしまった。しかし、チームの将来にとってはいいゲームとなったと思っている。
――試合にどのように臨んだのか?
亀井キャプテン
チームの強みはディフェンスなので、そこでしっかりやろうと考えた。反面セットプレイは思うように行かなかった。しかし、試合そのものはファーストコンタクトのところから、行けるという感触を掴んだ。そのため、リードされても焦るということはなかった。挑戦ということをテーマに毎日やって来た。未来に向かっていい時間を過ごせた一年間だと思っている。
――来シーズンから日本選手権のシステムが変わるが?
岩出監督
我々の意見で制度が変わるわけではない。我々は与えられた枠組みの中で最善を尽くすだけだ。しかし、現在の制度が最善というわけではない。大学選手権から日本選手権の間で学生たちの意識を維持し続けることは簡単なことではない。仮にトップリーグのチームに挑戦できるとするならば、トップリーグのチームの間でも差があり、また、何よりも学生の怪我を防ぐということが肝要になるだろう。今日は痛いこと辛いことに耐えるというよりも楽しんで来いといって選手を送り出した。これから日本のラグビーをどのようにして強くしていくのかという視点での制度の検討を望みたい。
サントリーサンゴリアス
沢木敬介監督
前半、帝京大学の勝ちたいという思い、ハングリー精神がサントリーを上回っていた。帝京大学にとってはいいゲームだったと思うが、サントリーにしてみればいい勉強になったと思っている。
流大キャプテン
メンタルな部分で差があって、帝京大学に追いすがられる結果となった。いい経験をさせてもらったので、1週間かけて修正をしたい。
――サントリーのチームのどこに問題があったのか?
流キャプテン
一番の問題点は、自分たちにあった。練習の時には、学生チームとしてではなく日本選手権のチームとしてリスペクトして臨んだつもりだったが、結果としてすきがあったのだと思う。一方帝京大学は、私の在学中から知っている選手もいて成長を続けていた、素晴らしいチームだった。
――決勝にどのように臨むか?
沢木監督
改めてチャレンジャーとしてどう対戦するのかという見方で、試合に臨みたい。
流キャプテン
サントリーもパナソニックも進化を続けてきている。今や、勝ちたい気持ちの強いチームが勝つだろう、したがって、勝ちたいという意識を強く持っていきたい。
――大学のチームが日本選手権に出場することについて?
沢木監督
U20の指導をした経験から、大学生にもTLのチームと戦う経験をさせることが望ましいことだと思う。
流キャプテン
学生の頃、日本選手権に出たいという思いが強かった、学生レベルで終わりたくない選手も多くいると思うので、より上のチームと対戦してプレイヤーを育てる環境は欲しいと思う。
(記事:灘英世、村島博、丸井康充)