マッチレポート
3回戦で東海大学に勝利した明治大学と、この試合が選手権の初戦となる天理大学との準々決勝の試合が、三重交通Gスポーツの杜鈴鹿で行われた。
明治のキックオフで前半がスタート。お互いに攻め合うもチャンスを活かせず、膠着状態が続く。
試合が動いたのは20分、敵陣深く攻め込んだ明治がラインアウトからモールを押し込み、FL福田が先制トライ。0-5とする。
26分にはラインアウトを起点にPR檜山がトライ。0-10とリードを広げる。
天理は30分にチャンスを迎える。ゴール前で得たラインアウトを押し込みゴールラインに迫るも、得点に繋げることができなかった。
38分、逆にゴール前ラインアウトを得た明治は、ドライビングモールで攻めるが、オブストラクションを犯し、チャンスを活かすことができなかった。
両チームともスクラムを中心にペナルティの数が多く、ラインアウトからのチャンスを活かした明治が2本のトライを挙げる前半となった。
後半は10点を追う天理のキックオフで開始された。
47分、天理はペナルティゴールを狙える位置でペナルティを得たが、ラインアウトを選択。トライを狙ったが得点することができなかった。
53分、明治はゴール前ラインアウトからモールをドライブ、天理がオブストラクションを犯し、繰り返しの反則によりFWの選手1人が10分間の一時退場。明治はその後再びラインアウトモールを押し込み、HO金が左中間にトライ。ゴールも成功し0-17とリードを広げる。
続けて60分、明治はスクラムからのターンオーバーを起点にゴール前でピック&ゴーを繰り返し、最後はNo.8木戸が右中間にトライ。キックも成功し0-24とする。
63分、一時退場をしていた選手がピッチに戻り、数的不利が解消されたことをきっかけに天理の反撃が始まる。
68分、SO上ノ坊のビッグゲインから連続攻撃を展開、最後はLOアリスターがトライ。ゴールも成功して7-24とする。
続けて天理は73分にもLO岡崎が左中間にトライ。ゴールも決まり14-24と10点差に迫る。
天理は終了のホーンが鳴った後にも、SH藤原が中央にトライ。ゴールも決まり21-24とするが、ここで試合終了。明治が勝利し、準決勝に駒を進めた。
会見レポート
天理大学
小松 節夫監督
今日はありがとうございました。一言で言えば残念だなという感じです。久しぶりに準々決勝に来ましたが戦う経験値が不足していたと思います。若いチームですから、今日の試合の悔しさを持ってこの場で戦えるチームをまた作っていきたいと思います。
筒口 允之キャプテン
本日はありがとうございました。前半、なかなか自分たちのミスで取り切れるところが取り切れなくて悔しい時間帯が続きましたが、最後の17分過ぎあたりから自分たちの取り切るラグビーは体現できたと思います。3点差という悔しい結果ですけど、1、2、3回生が来年もこの悔しさを糧に頑張ってくれると思うので後輩に託したいと思います。
Q.経験値と言われた点はどういうところに感じていますか?
小松監督
非常にミスが多くて、特にハンドリングエラーやスコアを簡単に取られたところです。前半粘らないといけないところで粘れずボールが手につかなかったです。 もう少しボールを動かすことができれば散らしてアタックできたという点で良いできではなかったと思います。明治大学のプレッシャーはありました。このレベルのプレッシャーの中でどういうラグビーができるかというところも経験値が少なかったと感じています。
Q.最後に追い上げていた時間帯でどういう声かけをしましたか?
筒口キャプテン
シンプルに継続すれば自分たちも前に出られることには自信を持ってやってきたので、前半にオフロードやダウンボールでミスがあり、細かい部分が良くなかったのですが、後半の3トライについては繋げることができていました。きちんと取り切ることができたことは本当に良かったですが、そこをもっと早い段階でできたと思います。
Q.前半のミスは普段と違う感じだったのでしょうか?
筒口キャプテン
明治大学のプレッシャーもありましたし、うまく噛み合ってなかった部分もあったのは監督のコメントのとおり経験値の差と思っています。
明治大学
神鳥 裕之監督
今日は寒い中どうもありがとうございました。両チームに多くの方に応援いただいて感謝申し上げたいと思います。天理大学は関西チャンピオンらしく、素晴らしいチームでした。どれだけ点差が離れても切れずにやってくるということは試合前から言っていましたが、本当にその通りのパフォーマンスを見せられて、我々としてはまた成長させてもらえるようなゲームだったと思います。このチームは本当に一つひとつ下から登り上がって、対戦相手と試合をする毎に成功していこうという目標で戦っています。今日もまた天理大学にいろんな学びをいただいて、次また帝京大学戦の準決勝に向けて成長したいと思っています。
木戸 大士郎キャプテン
本日はありがとうございました。監督も言っていましたが、やはり80分絶対タイトなゲームになると思っていました。先週自分たちはいい準備ができて、夏合宿の借りを返したというところでまず勝ち切れたこと、次のステージに上がれたことはすごく嬉しく思います。まだまだ成長過程のチームであるということをしっかり認識させられて、今回のタイトなゲームで成長した部分、良かった点もあると思いますが、修正しないといけない部分は修正して次の帝京大学戦は対抗戦や夏合宿のリベンジとして、また去年の選手権も決勝で負けている相手なので勝ちたいと思います。
Q.フォワードはかなりトライをあげていますが、フォワード戦で勝ったという印象もある中で取り切れた事についてフォワードとしてどのように感じていますか?
木戸キャプテン
モールで取り切れた部分は何度かあり良かったと思いますが、1発で取り切る力というのはまだまだなくて、ペナルティが重なったり、フェーズが重なったりする事がありましたのでそこはもっと修正して自分たちの形に持っていきたいと思っています。
Q.モールのシーンでは、明治コールがかなりありましたが耳には入っていましたか?
木戸キャプテン
必死にプレーしているとあまり人の声は聞こえませんが、どこに行っても明治ファンがいてくれることは明治にとって戦いやすいですし、どこでもアウェーではないという気持ちにさせられて本当にありがたいです。
Q.フォワード全体としてこの試合に向けて具体的に取り組んだことがあればお願いします。
木戸キャプテン
夏合宿に天理大学との試合で、自分たちのラインアウトやラインアウトモールでミスして逆転されるという悔しい思いをしました。どれだけ一本一本を大事にできるかということを春からずっとやってきましたので、そこをもう1度再認識して取り組みました。
Q.6年ぶりとなる日本一についてはいかがですか?
木戸キャプテン
前どうだったかは自分たちには関係ないと思いますので、まず自分たちがやるべきことを一つひとつやっていきたいと思います。
Q.モールについてですが、今回最初のトライについてもPGを狙わずにラインアウトを選択しています。風も強かったこともあると思いますが、モールで取り切るというのはチームとして意識されていた事でしょうか?
木戸キャプテン
風が強かったというのもありますが、モールは早明戦で自信のついたところでもありましたし、自分たちがずっと取り組んできた部分でもあります。また明治としてモールで取りたい気持ちがフォワードの中でありました。前々から決めていた訳ではありませんが、自分たちの武器であるということもありモールを選択しました。
Q.天理大のモールディフェンスは京産大戦では効果的でしたが、分析するなどして自分たちが上回れるという自信はありましたか?
木戸キャプテン
何も変えたことはなく、全部自分たちの形、自分たちのセットアップであった部分なのでどこにでも絶対通用するという自信はありました。そこを自分たちにフォーカスして突き詰めていくという事をずっとやってきました。
Q.夏合宿でラインアウトモールを最後ミスしてから練習時間を増やしたりしたのでしょうか?
木戸キャプテン
特に変わりません。明治は学業優先で朝練しかないため短い時間でどれだけ集中し、質の部分を高めていくために田島選手や佐藤選手らと4年生が1つ1つを大事にしていくことを浸透させてきた結果が今日のいいモールになったと思います。
Q.フォワードの成熟度についてどのように評価していますか?
神鳥監督
これまで明治は最近バックスに非常にいい選手が揃っているという評価をしていただきがちでしたが、バックスが生きるのも木戸選手を中心にしっかりとしたフォワードがいるからという考えをずっと持っています。選手権になるとタイトなゲームが続き、プレッシャーの激しい中でバックスも今まで通りにゲインが切れないシーンも増えてきています。これはネガティブに取るのではなく、選手権は負けたら終わりという中で想いのこもったディフェンスが多く出てくる中、しっかりフォワードがパフォーマンスを出すという理想的な形になっています。結果的にはフォワードだけがとか、バックスだけがというわけではなく、うまくいかない時はお互い一方がしっかり支え合うというチームの結束も成長のひとつの要因と思っています。年間通して明治のフォワードはしっかりとこだわり、木戸選手を中心に作ってきていると思っていますので、それが少しずつフューチャーされる局面が増えただけと思っています。
Q.フォワードの最上選手の成長やパフォーマンスについて評価を教えてください。
神鳥監督
ボールを持った時のプレーの強さは高校時代から定評でした。明治に入ってからはそれだけではここにいるメンバーたちを相手にレギュラーを張るのは難しいという事を本人も感じたのかはわかりませんが、特にオフ・ザ・ボールの部分でフォローしたり、ジャッカルしたり、タックルしたり、次のプレーに向かう動きをするなどの能力がすごく上がってきたというところが成長の表れで、その中で元来のコンタクトの強さを生かしているというところを評価しています。
天理大学はスピーディーに工夫しながら明治の外のスペースを攻めていましたが、しのぎ切りました。試合前の意思統一や試合中の手応えはいかがだったでしょうか?
木戸キャプテン
試合を重ねていく毎に外に展開される部分は帝京大戦、対抗戦でもやられた部分でもありました。ゲインを切られはしましたがしっかり修正することはできました。試合の中で自分たちのディフェンスがすごく良くて、相手のアタックが脅威ではないとコミュニケーションしていました。60分ぐらいまで0に抑えられたのはしっかりコミュニケーションできていたからと思います。
外にスペースがあっても慌てずにディフェンスできるようになってきたのでしょうか?
木戸キャプテン
ずっとやってきて自信もあったディフェンスで止めることができて、オーバーラップされていてもコミュニケーションし、カバーもできているので問題ないと確認できたので大丈夫でした。