2023年1月4日開幕!「第53回全国高専大会」 神戸市立工業高専 小森田敏先生インタビュー

2023年1月4日(水)開幕!「第53回全国高等専門学校ラグビーフットボール大会」 神戸市立工業高専 ラグビー部 小森田敏先生インタビュー

2023年1月4日(水)〜9日(月)、兵庫・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場にて「第53回全国高等専門学校ラグビーフットボール大会」が開催されます。同大会に開催県代表として34年連続50回目の出場となるのが、「Wild Boars」の愛称を持つ神戸市立工業高等専門学校(神戸高専)ラグビー部です。「文武両道」を掲げ、練習は水曜と土日のどちらはオフというスケジュールながら、過去には全国大会3連覇を達成するなど、これまで10回の優勝を達成しています。11月に行われた「第59回近畿地区高専体育大会」では、現在、全国大会4連覇中の奈良工業高等専門学校(奈良高専)を相手に、22–28と6点差にまで迫りました。部員数は20名と少ないながら、結束力の強さは、どこにも負けないという神戸高専ラグビー部「Wild Boars」。また、他チームと比べて、ラグビー経験者が多いのも強みだそうです。2017年度以来の頂点を目指す神戸高専ラグビー部「Wild Boars」の小森田 敏先生に、これまでのチーム作りや、全国大会に向けての意気込みなどを聞きました。なお、大会は新型コロナが収束していないことから、残念ながら3年連続で無観客での開催となります。(取材日:2022年12月19日)

3年ぶりにコンスタントに練習を積むことができた

—今年のチームはどんな特徴があるのでしょうか。
「コロナ禍に入ってから選手を勧誘することが難しく、部員数は全学年合わせて20名です。部員が多いチームでしたら、5年生中心のメンバー構成になりますが、うちのチームは1年生から5年生まで、まんべんなく出場します。昨年のチームから5年生が3名しか抜けていないということもあり、先発メンバー12人が残っているのも特徴です」

—目指すラグビースタイルとは?
「伝統的にボールを動かすラグビーを標榜していますので、今年も同じようにそのようなラグビーをしてトライを狙いにいきます。昨年から出ている選手が多いので、ここ何年間の中では、目指すラグビーの完成度は高いです。また、昨年は4年、5年生が多いチームに対して、パワーで負けてしまうことがあったのですが、下級生だった選手が、試合の経験を積み、継続的に練習してきた成果が出て、力負けしなくなってきました。特にフォワードは小さい選手が多いのですが、コンタクトでも負けないようになりましたし、機動力も上がってきたと感じています」

—チームのキーマンを教えてください。
「ボールを動かすという点で、SH建部選手(4年)、SO片芝選手(2年)、CTB日置選手(5年)がポイントになってきます。バックスのキーマンが、ゲームをコントロールし、ボールを展開していきます」

—全国大会に向けてチームは順調に仕上がっているようですね。
「そうですね。一昨年、昨年と、新型コロナの影響を受け、活動が大幅に制限されました。昨年に関しては夏休み期間中の9月が、まったく活動できないという状況でした。9月は授業がなく、ラグビーに集中して取り組めますし、秋の近畿大会に向けて練習試合等で戦略戦術を試したり、目指すラグビーを追求したり、チームを作っていく上で大切な時期になります。しかし、昨年9月は、練習ができたとしても、オンラインでのフィットネストレーニングや各選手が自宅周辺を走ることしかできませんでした。ボールを使った練習ができず、スキルアップや実戦を積むことができなかったのは大きな痛手でした。特に、うちは、下級生が多い編成になりますので、チーム作りにおいては、厳しかったです。今年は、例年行ってきた県外遠征をはじめ、9月には3年ぶりに2泊3日の合宿を実施することができ、コンスタントに練習を積めています。もちろん、怪我人が出たり、コロナ感染者が増えて学級閉鎖となり練習に参加できない部員がいたりして、全員がそろわないこともありますが、活動自体は止まっていません。また、練習試合等で実戦を経験できたことも大きい。チームとして、どういうアタックをするのか、どういうディフェンスをしていくのか、試合や練習を通じて共通のイメージを持てるようになり、選手も手応えを感じていると思います」

自信をつけることができた秋の近畿大会

—そういう積み上げてきたものがあったからこそ、11月の「第59回近畿地区高専体育大会」では、昨年の同大会では10–50、一昨年は12–45で敗れている奈良高専に22−28まで迫ることができたのでしょうか。
「それはありますね。春からまず近畿大会をターゲットに準備を進めてきました。こういうラグビーをしようとチームで話し合い、練習に取り組んできて、自分たちのやりたいラグビーを試合である程度出すことができました。残念ながら勝利することはできなかったのですが、全国大会4連覇中の奈良高専さんと競り合うことができ、選手は自信をつけることができたと思います」

—奈良高専との対戦から得た手応えを具体的に教えてください。
「昨年1年、2年生だったメンバーが経験を積み、コンタクトの面で通用し、自信を深めることができました。『いける』という雰囲気になっていますね」

—逆に見えた課題というのは?
「ディフェンス面をさらに強化しないといけません。アタックもよりスピーディにボールを動かせるようにしたいですね。あとは、キックをうまく使えるようにしていきたいと考えています」

—全国大会に向けて、チームの雰囲気はどうですか?
「この何年かの中では一番といっていいくらい雰囲気は良いですね。怪我人や授業など、さまざまな理由で参加できず、グラウンドに10人ほどしかいないこともあるのですが、選手は人数に関係なくモチベーション高く練習に取り組んでいます。少ない人数の中で、今日はどんな練習をしようと、キャプテンや各学年にいるリーダーたちを中心に考えて練習をしてくれていますね」

—監督主体ではなく、選手主体のチームなんですね。
「数年前から私が副校長を務めている関係で、平日はなかなかグラウンドへ足を運ぶことができなくて、リーダー陣に練習を任せることが多いです。今の4年生は、入学当初から選手主体の環境で育ってきていますので、そういう状況が当たり前だと思っていますし、高いリーダーシップを持つ選手もいますから、私から目指すラグビーの大枠を示して、あとは選手たちが細かいサインプレーを考えたりしています。時には、YouTubeの動画を見て、選手からこんなサインプレーはできないかと提案してくるんですよ(笑)。そこで、私がアドバイスやヒントを与えて、コミュニケーションを取りながら、チームを作ってきました」

—自由な雰囲気なのも、強さの秘訣なのかもしれないですね。
「他チームから見ると、のんびりとした雰囲気かもしれないですね(笑)。監督と選手、上級生と下級生といった垣根がなく、意見が言い合えるようなチームにしたいと思っています」

奈良高専の5連覇を阻止するのは神戸高専しかない!

—さて、1月4日(水)いよいよ全国大会が幕を開けます。1回戦の相手は、函館高専との対戦です。1回戦、2回戦に勝てば、準決勝で奈良高専か、2013年度から2016年度まで全国大会4連覇を達成している強豪の仙台高専・名取と対戦することになります。
「前回大会は2回戦で敗れシード権を獲得することができなかったので、1回戦から出場することになりました。決勝まで進むことになれば、4試合戦うことになります。部員が少ないので、選手を潤沢に入れ替えながら戦うということはできませんが、まずは1戦1戦目の前の試合に全力を尽くして勝っていきたいと思います。まずは初戦で函館高専さんに勝利し、波に乗れるようにしたい。そして、2回戦で宇部高専さんを倒して、大きな山である準決勝を迎えたいですね」

—気が早いかもしれないですが、準決勝はどこが勝利へのポイントになりますか?
「奈良高専さんは、基本的にはうちと同じボールを動かすラグビースタイルですが、FWのフィジカルの強さが抜きん出ています。ここ数年、その部分で後塵を拝していますので、相手のパワーランナーやブレイクダウンの攻防で負けることなく、ディフェンスすることができるのかがポイントになってくると考えています。仙台高専・名取さんは、フィジカルの強さを全面に出してくるチームです。奈良高専さんとの戦い同様にディフェンスで受けないことが重要だと思います」

—全国大会の目標を教えてください。
「これまで何度かチャンピオンになっていますので、頂点に立つことがやはり最終目標ですね」

—では最後に大会に向けて意気込みをお願いします。
「優勝が目標ですが、ここ数年は、好成績を納めることができていないので、チャレンジャーとして1戦1戦全力でぶつかっていきます。今年の5年生は、2018年度の全国大会で奈良高専さんに決勝で14–12と僅差で敗れ、その後は、なかなか良いゲームができていません。『打倒!奈良高専』を目標にしてきた中で、今年の近畿大会で『やれる』という手応えを感じることができました。彼らは、過去3年、悔しい思いをしてきたと思いますので、最後に勝って学生生活を終えることができるようにしてあげたい。それに、仙台高専・名取さんが4連覇している時に、5連覇を阻止したのが、うちのチームです。ですので、奈良高専さんの5連覇を止めるのは、神戸高専しかないと話しています。選手はプライドを持って大会に臨んでくれることと思いますし、チームとして大会直前まで勝つためのプランを細かいところまで詰めていきます」

—ありがとうございました。神戸高専の躍進を楽しみにしています。

全国大会では強豪ひしめくトーナメントの山に入った神戸高専ラグビー部「Wild Boars」ですが、優勝に向かって1戦1戦戦っていくと小森田先生は力強く話してくれました。ディフェンスの掛け声は「爆上げ!」だそうで、前に出るディフェンスで、相手のボールを奪って、アタックに転じたいと言います。ボールを動かすラグビーで、2017年度以来の日本一を目指す神戸高専ラグビー部「Wild Boars」の戦いにぜひご注目ください!


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