第55回全国大学ラグビーフットボール選手権大会 準々決勝東海大学 対 明治大学
2018年12月22日(日) 12:05キックオフ グラウンド:キンチョウスタジアム 天候:くもり時々雨 |
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レフリー:関谷惇大(日本協会A1) アシスタントレフリー:加藤真也(日本協会A) / 佐々木裕司(日本協会A2) / 東野竜平(関西協会) |
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東海大学 | 明治大学 | |||
15 | FULL TIME | 18 | ||
3 | 前半 | 12 | ||
12 | 後半 | 6 | ||
詳細 (日本協会公式) |
マッチレポート
東海大学は関東大学リーグ戦6勝1分で優勝を飾り、14大会連続16回目の大学選手権出場。52、53回大会の決勝でいずれも帝京大学に惜敗、悲願の初優勝を狙う。Cシードとなり今大会の初戦となった。対する明治大学は関東対抗戦グループを4位枠(同率3位)で通過、10大会連続47回目の出場となる。昨年度のこの大会では帝京大学との決勝戦で1点差負けし、優勝を逃したことは記憶に新しい。今シーズンの対抗戦では帝京大に勝利しており、この大会でも優勝候補に挙げられ、22年ぶり13回目の栄冠を目指す。3回戦は立命館大学の後半の追い上げにてこずったものの地力を発揮、完勝した。実力差紙一重のチーム同士の戦いでは「ミスが多い方に勝利の女神はほほえんでくれない」そんな感想を持つ一戦だった。
時折小雨が枯れ芝を濡らし、風はないもののグラウンドコンディションは良くないキンチョウスタジアム。明治大のキックオフで試合が開始された。
お互いがノックオン、キックチャージ、タッチキックやタックルなどのミスが出る。11分に東海大にブレイクダウンでのノットロールアウエイの反則からPGを許した明治大は東海大のキック処理のミスからゴール前10m右ラインアウトからのチャンスを得て相手ゴール直前のラックを形成。20分、力勝負にこだわりラックサイドを執拗に攻める。最後はPR1番安昌豪が右ゴールポスト付近に押さえた(3-7)。その後ほとんど相手陣でゲームを進める明治大は33分、相手キックを自陣10mでキャッチしたFB15番山沢京平がうまいステップで抜け、忠実にフォローしたWTB14番山崎洋之につなぎトライ。前半は3-12とし終了した。15番山沢にステップは鋭かったが東海大のタックルも甘かった。
後半は9分、明治大が東海大のハイタックルで得たPGを決めたが、東海大もこのままずるずると引き下がれない。24分、明治大のオフサイドから相手ゴール前5m右ラインアウトからモールを形成。その後ラックで攻め立てる。前半20分の明治大の再現かと思われるラックサイドの攻撃でこれも同じように右ポスト下にNO.88番テビタ・タタフが押さえてこの試合初トライを上げる。更に30分、ゴール前5m左ラインアウトから持ち前の強力モールを押し込み、最後はHC2番加藤竜聖が左スミに押さえついに同点とした。
ロングキックに定評のあるWTB11番杉山祐太のコンバージョンは惜しくも右に外れ、勝ち越しを逃す。30分あたりから明治大の猛攻が始まり東海大ゴール直前の攻防が8分ほど続いた。ラックサイドをひつように攻める明治大、明治大の攻撃を押し返す必死のディフェンスで対抗する東海大。スタンドからは「明治!明治!」「東海大!東海大」の声援が飛ぶ。しかし38分、東海大がここで痛恨のノットロールアウエイ。明治大はほぼ中央のPGを15番山沢が確実に決め、接戦に決着を付けた。
会見レポート
東海大学
木村季由監督
結果的にはPG差だったが敗れたが結果がすべて。プロセスの中で自分のやるべきところ、足らないところがあったとは思うが、我慢を覚えて粘り強く自分たちの時間になるまでしっかりプレーした学生たちは成長したと感じた。次へ進めないことだけは残念だが、この1年の歩みは間違っていなかったと思う。このチームをもっとプレーさせてあげたかった。
アタアタ・モエアキオラ主将
アタックもディフェンスでも我慢して我慢して自分たちのやりたいラグビーをやってきたが、最後にペナルティーで相手に点数を与えてしまい残念だった。
Q:明治大が良かった点、東海大の悪かった点は?
木村季由監督
ゴール前に持ち込んだときの明治大の押し込む力は理解していた。そこで引かずにディフェンスを頑張って反則をしないで守り続けるところで、最後のPGも含め守りきれなかったというところが粘りきれなかった。FWのモールだけが我々のラグビーではなくFWを前に出すことができなかったのは悔やまれる。
Q:キャプテンにとってこの1年間は?
アタアタ・モエアキオラ主将
春から秋までやってきてチームの成長を感じた。
Q:最後までが我慢する展開だったがキャプテンからのアドバイスは?
アタアタ・モエアキオラ主将
リーグ戦を終えて自分立ちの強みは成長してきたこと。我慢することをポジティブに考えエネルギーにした。
明治大学
田中澄憲監督
難しいコンディションでリーグ戦チャンピオンの東海大ということで、タフなゲームになることは分かっていたが、このゲームのテーマ「フィジカルファイト」を体現してくれて、最後によく勝ちきってくれた。厳しいゲームで勝つことができ、更に成長できた。東海大の分まで次の準決勝でチャレンジしたい。
福田健太主将
負ければ終わりの試合で勝ててほっとしている。内容は80分間、自分たちの満足のいくものであったかというと、防げるミスやいらない失点や反則があり、次の準決勝に向けて気をつけたい。
Q:苦戦という感じの試合だったが?
福田健太主将
最初は堅かった。先制点を取られてから、エリアを取ってディフェンスで圧力をかけるところにシフトチェンジができてよかった。試合中に相手のディフェンスの状況、天候、グラウンドの状況に順応できたことがよかった。
Q:東海大のモール対策は?
田中澄憲監督
ラインアウトでプレッシャーをかけ、モールを組ませないこと。足をかけるところ、かけないところがあったので、かけないときにどういう入り方をするかは確認できていた。東海大のモールは大学レベルではない強さだ。
Q:対策ができていたか?
田中澄憲監督
勝負所で止められていたので対策はできているととっていいと思う。1、2本は取られてもしかたがないと予測していたが、しっかり勝負所でファイトできたのがきょうの試合を左右した。
Q:マイボールを持ち込んでのブレイクダウンでターンオーバーされることがなかったが?
田中澄憲監督
東海大はジャッカルが早いので、2人目の早さ、リアクションスピードに負けないことをチームで共有した。特にテビタ選手はジャッカルが強いのでその周りではリアクションを早くし、スイープすることを準備してきた。学生の意識はよかった。
Q:最後の残り10分はどうだったか?
福田健太主将
同点になったところで、簡単なキックオフサイドは防がなければならなかった。スコアされてから、今までなら残り10分で「どうしよう」と思ったかもしれないが、きょうは自分たちがどう防ぐか、次のキックオフでどういうプレッシャーをかけるか、そこまでコミュニケーションがとれていたので敵陣に釘付けにできた。FWがずっとキープするのは明治の強みであり、東海大のディフェンスは堅かったが、FWを信じてBKSはサポートした。
Q:同点に追いつかれて、具体的にどういうふうにしようと思ったか?
福田健太主将
コンバージョンが外れたら次のキックオフは奥に蹴ってプレッシャーをかけてマイボールを獲得しようとした。
Q:次の試合に向けて
田中澄憲監督
相手がどこであれ、我々はチャレンジャー。(早稲田には)対抗戦でも負けているので気持ちが全面に出る試合をしたい。
福田健太主将
対抗戦で負けており、チャレンジャーの精神を忘れず、リベンジするには最高の環境が整ったのでもう一度準備して、キックオフのホイッスルの音が鳴ったときからプレッシャーをかけ続けたい。
(文責:大阪府協会 丸井康充、山林右二)