11月29日(土) 2nd・第1節 近鉄 12−8 NEC

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11月29日(土) 2nd・第1節 近鉄 12−8 NEC

2014年11月29日(土) 12:00キックオフ グラウンド:近鉄花園
レフリー:原田隆司 (日本協会A)
アシスタントレフリー:近藤栄作 / 宮本昌樹 / 鈴山大陽
近鉄
ライナーズ
NEC
グリーンロケッツ
12 FULL TIME 8
3 前半 0
9 後半 8
 勝点
4
詳細(TL公式)  勝点
1

◎レポート
国際試合のツアーが世界中で行われるウインドウマンスが終わり日本にトップリーグプレーヤーが帰って来た。ここからはシーズンの順位を決するセカンドステージ、近鉄花園ラグビー場での緒戦は近鉄ライナーズとNECグリーンロケッツとの一戦。近鉄はファーストステージでは、プールBで4勝3敗の5位で最後までトヨタ自動車と上位グループ入りを競って戦い、得失点差でわずかに及ばなかった。一方のNECはプールAで2勝5敗の6位と不本意な結果に終わったが、ジャパンの田村を始め今年スーパーラグビーのクルセイダーズで大ブレイクしたナドロなどのタレントが揃い潜在力は高い。ファーストステージでは対戦のなかった両チームだけに好試合を期待して、朝からの荒れ模様の天候にもかかわらず、花園には4000人を超えるファンが集まった。

試合は曇天の下近鉄のキックオフで始まったが、両チームともボールが手につかず一進一退を繰り返す。試合が動き始めたのはようやく15分を過ぎてから。NEC、近鉄FWの攻勢にラックでの反則が続き、19分に近鉄⑩重光、NECのハンドの反則から30m中央のPGを決め、3-0と先攻する。これに対してNECは⑩ウェブのキックで相手陣深くまで攻込むものの、ハンドリングエラーなどによる反則で攻め切れない。結局、前半は双方密集サイドのFWのパワープレイとスタンドオフのキックによるいわゆる10メンラグビーにほぼ終始し、3-0と近鉄リードのまま折り返す。

後半に入ると、NECが前半終盤に見せた勢いを駆って攻勢を続け、10分、近鉄のハンドの反則を得てタッチに蹴り出し、ゴール前5mのラインアウトからモールドライブ、そして左サイドをFWの核⑧ラトゥが衝いて左隅にトライ(G不成功)、3-5と僅差ながらリードを奪う。さらにNECは19分、アウトサイドセンターに切札ナドロを投入し、終盤20分の勝負に出る。

しかし、厚い雲から度々雨が降るというコンディションの中でハンドリングミスが多く攻め切れない。そして、やがて試合は近鉄⑩重光、NEC⑫田村のPK合戦の様相を呈し始める。まず、30分に重光、6-5と最少点差ながら逆転する。次いで32分田村、10mライン付近からのPGを成功させ6-8と再逆転。直後35分には重光が、9-8と再度逆転する。そして、37分、ハーフウエイから近鉄陣に少し入ったところで、NECオフサイドの反則を犯す。この時近鉄の豊田キャプテンの頭にはタッチキックからラインアウトというシナリオも頭をよぎったということだが、長距離のPKは任せてくれとばかりに⑮テイラーがボールを受け取り、見事に60m近いPGを決め12-8とする。

この後ノーサイド・ホーンの鳴った後もNECは果敢に攻め、この日では珍しいBKの長いラインにナドロが逆サイドから走り込んだところでノックオン、これで万事休した。MOMは、この日の近鉄の得点の大半をたたき出した⑩重光泰昌に贈られた。

(会見ダイジェスト)
【近鉄ライナーズ 前田隆介監督】
花園でセカンドステージの開幕を迎えることを嬉しく思う。内容としては、前半の天気が悪い中選手達は良く守り切ってくれた。ペナルティのところをもう少し改善していかないと、今日のゲームは勝たせてもらったが、今後もう一度修正して次のゲームに臨んで行きたい。

【近鉄ライナーズ 豊田大樹キャプテン】
セカンドステージの開幕戦、いい環境で素晴らしいグラウンドコンディションで沢山のライナーズファンに来て頂き嬉しく思う。試合の内容は、アタックが課題だ。ただ、ディフェンスは最後まで頑張ったと思う。次も試合が続くのでしっかり反省して臨みたい。

(どこを強化してこの試合に臨んだか?)
前田:前半節までミスが多かった。攻撃での時間が非常に少なかったので、1ヶ月しっかりボールを継続してアタックすることを行った。我々がチャンスの時間を長く過ごすことを望んだが今日も少なかった。まだまだ課題だと思う。キャプテンも言っていたが、その中でもディフェンスで守り切った。一本トライを獲られたが良く粘ってくれたことは成長だと思っている。

(スクラムはどうだったか、優劣は、五分だったか?)
豊田:五分だったと思う。何本か当たられたところはあったが、コントロールも出来ていたし、安定していたと思う。

(最後のペナルティキックは素晴らしかったが、あの位置での選択は?)
豊田:タッチに出してモールを希望したが、アンドレが自信持って近づいてきたので、普段の練習でも決めている距離だったので任せた。
前田:ロングキッカーで狙える選手なので良かったと思う。もう少し時間をかけてキックするかと思ったが意外と早く蹴ったので、そこを含めて本人には伝えておきたい。

【NECグリーンロケッツ 相澤輝雄総監督】
ファーストステージ6位でしっかり立て直して今日の試合は必勝体制で臨んだが負けてしまった。応援してくれた関係者の皆様に非常に申し訳なかった。内容は悪くないので、次の試合には気持ちを切り替えて更にステップアップしてまた頑張ろうと思う。

【NECグリーンロケッツ 瀧澤直キャプテン】
天気はもう少し雨かなと思ったし、芝も滑りやすかったが、最後は晴れて気持ち良くやれたというのが第一印象だ。最後は勝ちたかったが、勝利を惜しいところで逃したと正直感じている。がっかりはしているが、新しい自分達が見せられたと思う、これから6週間連続試合があるので次に目を向けて行こうと思っている。

(5-3からのペナルティでショットを狙えたシーンでのタッチの選択は?)
瀧澤:微妙なところだった。キッカーが、風も吹いて距離もありボールも流れる、自分の調子も含めてモールで行こうということだったので、タッチを選択した。結果論としてペナルティで終わってしまい残念だったが、ショットも選択肢の中に入れた上での判断だったので、間違っていなかったと思う。

(前半の終盤からチャンスを生かせなかったのは、攻めきれなかったのか、相手の防御が良かったのか?)
瀧澤:獲りきれなかったと思う。獲ってスコアーして自陣に帰れるという感触だったが、獲りきれないようではダメだ、そこをしっかり分析しなくてはいけないと思う。

(記事:蜷川善夫、村島博、玉川育夫 写真:小巻真司)