1月14日(土) 第15節 ヤマハ発動機 27-8 トヨタ自動車

A90I3700
トップリーグ 第15節
ヤマハ発動機 VS. トヨタ自動車
【激しい雪が舞ったリーグ最終戦は、ヤマハ発動機が安定した試合運びで勝利】

2017年1月14日(土) 13:03キックオフ グラウンド:ヤマハスタジアム
ヤマハ発動機 トヨタ自動車
27 FULL TIME 8
13 前半
14 後半
詳細
(TL公式)

マッチレポート

2016年8月に開幕したトップリーグ2016-2017もいよいよ最終節。気温が低く、時折激しく雪が降り舞う悪天候にもかかわらず、5,000人近くのラグビーファンがヤマハスタジアムに集まり、ヤマハ発動機ジュビロ対トヨタ自動車ブェルブリッツの試合が行われた。
前節、苦しみながらも近鉄に勝利して優勝への望みを繋いでいるヤマハは、本日のホーム最終戦でも勝利して、逆転優勝のチャンスを伺うとともに、出場を決めている日本選手権へ向けてチームの勢いを繋げていきたいところ。一方、前節のパナソニック戦でホーム最終戦を勝利で飾れなかったトヨタは、来シーズンでの巻き返しを図るためにも、同じ強力FWのヤマハに勝利して意地を見せたいところである。
前半は、トヨタのキックオフにより試合が始まった。
開始早々、トヨタが敵陣に攻め込み、前半3分、トヨタが22mライン付近中央で、相手オフサイドの反則により得たPKをSO文字隆也が成功させ、0-3と先制した。
その後は、トヨタに先制を許したヤマハが、FBゲラード・ファンデンヒーファーのキックを軸に敵陣に攻め込む。そして11分、ゴール前5m右中間のラックから、SH矢富勇毅のSO太田尾竜彦へのパスがこぼれたところを右WTB伊東力が拾って右隅にトライ。ファンデンヒーファーのゴールは失敗したが、5-3とヤマハが逆転する。

ヤマハNo8松本

ヤマハNo8松本

前半の早い時間帯で逆転に成功したヤマハであるが、その後、トヨタのBK陣にラインブレイクを許し、敵陣から一気に自陣ゴール前に攻め込まれる。そして17分、トヨタが、ゴール前5mゴール右のラックから、左へ展開、パスを受けたFBロビー・ロビンソンがヤマハのディフェンスライン裏にキックパス、インゴール左中間にこぼれたボールをアウトサイドCTB城戸雄生が押えた。TMOによりトライが認められ、今度はトヨタが5-8と逆転した。

トヨタCTB城戸

トヨタCTB城戸

キックオフ以降、時折晴れ間も覗いていたヤマハスタジアムであるが、丁度、このトライ後に激しく雪が降り始め、双方キックにより前進を図り敵陣に攻め込むも、しばらく膠着状態が続いた。
そして26分、ヤマハFWが、敵陣22mライン内側左中間のトヨタボールのラックをターンオーバーし、SH矢富が判断良く右へ大きく飛ばしパス、ボールを受けたアウトサイドCTBマレ・サウが外側に流れ数的優位を作ってタイミング良くパスし、右WTB伊東が右隅に本日2本目のトライ。ヤマハが10-8と再逆転した。

ヤマハLO大戸

ヤマハLO大戸

再逆転を許したトヨタは、29分、敵陣22mライン中央のラックの後方で待ち構えていたFBロビンソンが、約30mの距離のDGを狙うもボールがゴール左に外れ失敗。続いて34分、10mライン左中間でのPKをSO文字がゴールを狙うもボールがゴール右に外し、逆転のチャンスを逸する。
対するヤマハは、キックを活用して敵陣に攻め込み、前半終了間際の40分、22mライン外側右中間で相手反則により得たPKでPGを選択し、FBファンデンヒーファーがゴールを狙うも失敗。しかしロスタイムに入って、42分、敵陣22mライン中央付近で得たPKを今度はしっかり決め、ヤマハが13-8と1トライ差でトヨタをリードし前半を終了した。

トヨタSH岩村

トヨタSH岩村

後半も雪が降り続くなか、ヤマハのキックオフにより試合が始まった。
後半に入ってしばらくは、トヨタが敵陣に攻め込み、トヨタによる気迫溢れる攻撃を前に、ヤマハは自陣ゴールを背にする厳しい時間帯が続いたが、集中力を切らさずディフェンスしトライを許さない。逆にトヨタも自陣ゴールを背に必死のディフェンスでお互いに追加点を許さない。
そして、雪が降り止んだ後半18分、ヤマハSH矢富が、自陣10mライン右中間付近で、トヨタSH岩村昴太から左WTB湯浅航平へのパスをインターセプトしてそのまま右ライン際60mを走り切り、ゴール真下にトライ。FBファンデンヒーファーのゴールも決まり、20-8とヤマハがトヨタを突き放した。

ヤマハHO日野

ヤマハHO日野

この後は、トヨタがヤマハ陣内にFW・BKが一体となった連続攻撃を仕掛け攻め込むが、ヤマハのディフェンスが固く決定機を作れない。そして34分、ハーフライン中央から左へ展開したトヨタFW陣によるパスが乱れ、こぼれたボールをヤマハ右WTB伊東が拾いそのまま独走、右中間に本日3本目のトライ。ゴールも決まり、27-8とヤマハが勝利を決定づけた。

トヨタFL安藤キャプテン

トヨタFL安藤キャプテン

試合は、このまま27-8のスコアで終了し、ヤマハは勝ち点5を積み上げ、今季は14勝1敗、総勝点67点、この日は別会場の首位のサントリーが勝利したため、リーグ2位の成績で今季のリーグ戦を終了。ヤマハは、強みを出し切れない試合でも固いディフェンスから得点機を作るなど、チームとしての成長が見てとれ、日本選手権に向けてチームの自信を深める試合となった。

敗れたトヨタは、今季は7勝8敗、総勝点35点、リーグ8位の成績で今季を終了。試合後半の勝負どころでヤマハに突き放されたものの、それまでは、ヤマハ強力FWや突破力のあるBKに対してスクラムやディフェンスで良く耐え、アタック面でも迫力ある攻撃を垣間見せていたことから、来季の巻き返しが大いに期待できる試合となった。

この日のマン・オブ・ザ・マッチは、この日3本のトライを決めるとともに、好タックルを見せたヤマハ右WTB伊東力が受賞した。

MOMヤマハ伊東選手

MOMヤマハ伊東選手

(文責:静岡県ラグビーフットボール協会 瀬尾知繁)

記者会見ダイジェスト

トヨタ自動車ヴェルブリッツ
菅原大志監督
今日はありがとうございました。最終戦ということで、(今まで)やってきたことをヤマハさんにチャレンジしました。前半いい動きをしていたし、スクラムもよく組めていたのでいけると思ったが、最後は力の差が出て負けてしまいました。けれども、選手がよく頑張ったと思いますし、2、3年前はスクラムで劣勢になってなかなか難しいゲームが多かった中で、最後にヤマハさんといいスクラムが組めたことはチームの成長だと思います。足りなかったことは振り返って、来シーズンにつなげたいと思います。

安藤泰洋キャプテン
監督も言われたように、難しい立ち位置の中でヤマハさんにぶつかっていくところで、スクラムでもいろんな場面で戦えた実感がありますが、最後の勝負どころで点差をつけられた印象を受けています。本日はありがとうございました。

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――サニックスに負けてから勝ち星がないが、収穫や足りなかったところの明確な点は?
菅原監督
足りないところは振り返ってみないと分からないが、攻撃の部分ではどの試合もいい形で攻撃できたのでよかったと思います。自分たちの流れができるとスコアまでつなげられるのは、しっかり力がついたことだと思いますが、反対にスコアを簡単にとられるところもあったので、細かなところは積み上げていかなくてはいけないと思います。

ヤマハ発動機ジュビロ
清宮克幸監督
今日のグラウンドは雪ですごい光景でした。2週続けてこのような(厳しい)天候の試合ですが、先週よりうまくなったかな(笑)。
天候が悪いといろいろな強みを奪われてしまうなか、5ポイント取って最終戦を勝てたのは成長した証しだと思います。選手には日本選手権の準決勝・決勝を勝つという、チームのステップアップが今日の試合の大きな目標でした。サントリーの勝敗は一切気にしないでいましたが、後ろの放送席からスコアが聞こえていましたね(笑)
サントリーの皆さん、トップリーグ優勝おめでとうございます。我々が届かなかったリーグ戦の足りない部分を埋めて、次のチャンス、決勝までいってリベンジしたいと思います。

三村勇飛丸キャプテン
今日の試合はホーム最終戦ということで勝ててうれしく思います。監督も言われたように、サントリーに負けてから日本選手権までの2試合は、ステップアップのための試合だったので、状況が難しいところもあったが、次につながる試合ができたと思います。次から、負けたらシーズンが終わりなので、全員、後悔しないように一日一日前に進みたいと思います。

――リーグ戦全体を通してどんなシーズンだったか?
清宮監督
今シーズンは、スタートからヤマハが平均点以上の出来をキープしてきたので、過去のヤマハにはなかった成長だと思います。常に80点以上の試合をしてきた印象です。サントリー戦だけは50~60点の出来の試合をしてしまったが、我々は80点以上を出せば絶対サントリーに勝てるという自信があります。(80点以上出せなかったのには)原因がありますので全員で共有して、改善していく作業をやっているところです。
去年、一昨年のシーズンは平均点を出せない試合が年に3、4試合あったが、今年は(サントリー戦の)1試合だったことがヤマハの今期の好調を支えた要因の一つだと思います。

三村キャプテン
今シーズンの日程が発表されてから、初戦のパナソニック戦にフォーカスしました。勝った中でも課題を見つけ、積み上げてきたことと、新しいメンバーや今まで試合に出ていないメンバーとチームの底上げを図りました。

A90I4016

――2年ぶりの準優勝ですが、2年前との違いは?
清宮監督
先ほどの切り口で言うならば、2年前は100点の試合をずっと続けて、準優勝して、日本選手権で優勝しました。今季は80点の試合をして勝ってきているので、来週、再来週で100点のゲームをしたいと思います。

三村キャプテン
2年前はトライを取らないと自分たちは前に進めないという状況で、FWを前面に出してやりきっているという感じですが、今は自信を持って、自分たちのやるべきことを落ち着いてできている印象です。(やることを)絞って勝ち抜いた2年前、今はいろんなオプションがありながら勝っていると感じています。

――80点と100点ということだが、差の20点に何を積み上げるか?
清宮監督
難しいです。うまく答えられません。

――今日の試合で成長を感じたプレーや場面は?
清宮監督
ディフェンスです。何本かラインブレイクされましたけど、ディフェンスでは80点。特に後半には穴がなくなってきていると感じました。

――1週間後、パナソニック戦ですが、5カ月前と今とでメンバーも変わっていると思うがいかがか?
清宮監督
(確かに)メンバーは変わっているとは思いますが、基本は変わらないです。誰が出ようがチーム対チームの戦いなので。前回とほぼ同じような展開になるのではと予想しています。

(文責:静岡県ラグビーフットボール協会 小林聖子)

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撮影者:谷本結利