2014関西大学Aリーグ “シーズンを振り返って”

2014関西大学Aリーグ “シーズンを振り返って”

関西ラグビーフットボール協会大学委員長 高見澤篤

 今シーズンの関西大学Aリーグは、5年ぶりに関西学院大学が優勝した。攻守に安定し、自陣から簡単にキックを使わずフェーズを重ねて敵陣へ入る。圧倒的な決め手はないもののどこからでも攻めることができ、全員が忠実にプレーしミスが少なく、2年生SO清水晶大が巧みにバックスのアタックを操る。

最終節で、関西学院大学との優勝決定戦を戦った京都産業大学の戦いぶりも徹底していた。全員が攻守ともによく前に出て優位な状況をつくり、最後は坂本英人、森田慎也の両WTBが確実にスコアを上げるパターンを確立した。
立命館大学は前年、フィジカルの強さを活かして優勝したが、今シーズンの関西Aリーグでは、フィジカル強化はどこの大学も進んでいて、勝敗を分けたものはゲームに対する意思統一とそれを可能にする選手たちの存在であった。関西学院大学は、無言とは言わないまでも全員が熟知したゲーム運びで試合を支配し、京都産業大学はシンプルなゲームパターンであるにもかかわらず徹底して前へ出ることから、対戦相手はわかっていても前進を止められないことに悩んだのではないだろうか。

この他にも、強力スクラムと高い攻撃力をもつ同志社大学が3位になり、昨年度下位に甘んじた天理大学は全員のサポートプレーが復活し4位に入った。順位争いは最終節までもつれ、Aリーグ内の実力差は僅かであることもうかがえた。

また、今シーズンから大学Aリーグは、関西協会の強力なバックアップを受けシーズンを運営した。協会HPが見やすくリニューアルされ、スタジアムにはスポンサーの広告幕の掲出、各試合でのマン・オブ・ザ・マッチ選出など、さまざまな改善を図った。各校の主務たちも積極的に来場者数を増やす取り組みを進め、スタンプラリーや試合前のミニ・ジュニア選手へのラグビークリニックなど趣向を凝らした。これらの動きは直ちに結果が出るとは限らないが、毎年、積み重ねていくことで大きなうねりとなっていくだろう。近い将来に数字となって現れることを期待したい。

しかし、一方では関東の大学も進化を続けている。フィジカル強化やスキルの伸長はもちろんのこと、ルールの理解やレフリングへの対応、空間を支配するだけでなく時間を支配するゲーム運びなど、まだまだ課題は多い。関西の大学が全国上位へ進むために、次年度はいっそうの取り組みが必要である。
振り返ると今シーズンは、各校が相手の強みを消すことのスキルが向上し、どこのチームもなかなか自分の得意な形に持ち込みにくいシーズンであった。