12月9日(土) 第11節 ヤマハ発動機 54-7 コカ・コーラ

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トップリーグ2017-2018 第11節
ヤマハ発動機 VS. コカ・コーラ

2017年12月9日(土) 13:00キックオフ グラウンド:ヤマハスタジアム
ヤマハ発動機 コカ・コーラ
54 FULL TIME 7
35 前半 0
19 後半 7
詳細
(TL公式)

マッチレポート

【ヤマハ発動機が新戦力を擁し余裕の圧勝、決勝トーナメント進出に前進】
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トップリーグが再開し、いよいよ大詰めを迎えるなか、ヤマハスタジアムでの師走の3連戦、2位ヤマハ発動機と最下位コカ・コーラと試合が、12月となり底冷えのするヤマハスタジアムで行われた。
ヤマハは3か月ぶりのホームスタジアムでの試合で、前節の東芝戦の敗戦からの再起を図る一戦でもある。出場メンバーはトップリーグ初出場の選手が4人、特にFL西内勇人、PR西内勇二の兄弟揃っての出場はチーム史上初めてである。
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対するコカ・コーラは前半果敢に攻めるも後半に崩れる試合が続き開幕から未勝利。リーグ上位のヤマハに対しどこまで善戦できるかが注目される。
この試合のスタジアムには4,362人のラグビーファンが集まったが、ヤマハの応援団がスタジアムゲート前広場で選手を迎え、太鼓を使うなどの新しいスタイルでチームを応援していた。
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前半コカ・コーラのキックオフで試合開始。一進一退の攻防のなか、先制したのはヤマハ。9分敵陣ゴール前5m付近のFKで得たスクラムから自慢のFWが押し込み、No.8堀江恭祐が右中間にトライ。FB五郎丸歩のゴールも成功し、ヤマハが先制する。
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コカ・コーラも反撃しゴール前までボールを持ち込むも、ヤマハのディフェンスを崩すことができず徐々に後退。試合はヤマハのペースになっていく。
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20分ヤマハは敵陣中央付近での攻撃で、SOマット・マッガーンが敵の裏にショートパント。CTBマレ・サウがキャッチしゴール前まで前進し、従来はLOのポジションだが今回はFLの大戸裕矢にパス。大戸がそのままゴールポスト左にトライ。ゴールも成功し14-0と点差を広げる。23分、敵陣10mライン付近のターンオーバーから右に展開。FL大戸が抜け出し、試合初登場のLOヨハン・バードールへボールを繋ぎ、最後はフォローした大戸がゴールポスト真下にトライ(ゴール成功)。
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ヤマハの勢いは止まらない。32分敵陣22mライン右側のマイボールのラインアウトから左へ連続攻撃。SOマッガーンが相手ディフェンス陣を抜き、内側にいた右FL三村勇飛丸にパス。三村はゴール前まで大きくゲインし、ラックからSH矢富勇毅が初登場のCTB小林広人に繋ぎ、小林がゴールポスト右横にトライ(ゴール成功)。
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さらに39分敵陣ゴール前のマイボールスクラムを押し込み、FL三村が左中間にトライ。ゴールも成功し、35-0とヤマハが大量にリードし前半が終了する。
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後半に入ってもヤマハが試合を有利に進める。12分敵陣中央でのFB五郎丸の突進を起点に、HO日野剛士がゴール前までゲインしSH矢富にパス。矢富はそのままゴール真下にトライ(ゴール成功)。
コカ・コーラはカウンターから日本代表のCTBラファエレティーモシーがゴール前まで攻め込むが、ゴールラインを割ることができない。
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それに対しヤマハは23分、相手キックをセンターライン付近でキャッチした後、速いパス回しで敵陣に攻め込み、右WTB伊東力と入替のSH籠島優輝がボールを繋ぎ敵陣22mラインまで大きくゲイン。ラックから右に展開し、最後は初登場のFB吉良友嘉がゴール中央にトライ(SOマッガーンのゴール成功)。
ようやくコカ・コーラは30分に自陣22mライン付近のマイボールスクラムから左に展開し、FB吉澤太一の突進でセンターラインまで大きくゲイン。その後左右にボールを動かしゴール手前まで前進。最後は左WTB石垣航平が左中間にトライ。CTBラファエレのゴールが成功し49-7と反撃する。
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しかしヤマハは36分、20回のフェイズを重ねた後、ゴール前付近でSOマッガーンのグラバーキックを左WTBハビリロッキーがキャッチし、そのままトライ(ゴール失敗)。
試合終盤コカ・コーラは攻撃を再三仕掛けるが結局ゴールを割ることができず、そのまま試合終了。54-7とヤマハが大差で勝利し、勝ち点5を獲得した。
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ヤマハ発動機は前節の敗戦を引きずることなく新戦力4選手を試すなど、余裕のある試合運びで圧勝し勝点を41に伸ばした。残り2試合もホームスタジアムで行われるが、地元の応援をバックに勝利を重ね、優勝決定トーナメントの進出を決めたいところ。一方のコカ・コーラは相手チームとの実力差が出た試合となり、白星なしの11連敗。残り2試合は勝ちにこだわり初勝利を目指してほしい。
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この試合のマン・オブ・ザ・マッチは、2トライを上げるなどFLとして試合に大きく貢献したNo.6大戸裕矢選手が受賞した。またこの日は日本代表キャップ贈呈式も行われ、伊東力、大戸裕矢の両選手がキャップ授与された。
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(文責:静岡県ラグビーフットボール協会 佐野晴也)

会見レポート

コカ・コーラレッドスパークス
アール・バー ヘッドコーチ
2週連続のスロースタートで自信を無くしたかもしれないです。後半、ディフェンスはうまく機能したが、取りきれないところは課題になると思います。

山下昴大キャプテン
素晴らしいスタジアム、環境で試合ができたことに感謝したいと思います。ヤマハサポーターの後押しを敵チームながら感じていて、地域密着している雰囲気でした。
今日の結果を真摯に受け止めて、先週からスロースタートということも監督言葉で出ているが、2試合で取りきれるチャンスがあったところをどういうふうに取りきるのか、ミスをどのように断ち切るのか、チームとして修正して前を向いていきたいと思います。

――中断期間にどのような修正をしてきたか?今日の結果としてどう感じているか?
アール・バー ヘッドコーチ
今はスキルの精度が低いと思うので、そこを練習しなくてはいけないと思います。ディフェンス面では、我々は小さいチームなので、ラインスピードを上げて、プレッシャーをかけようとしているが、それにはリスクがあって、1対1のタックルミスをしているので、相手が抜け出ると感じています。

――中断を経て、上位チームとの試合で苦しいが、1勝できていないという現状に関しては?
山下キャプテン
我々はチームとして毎試合勝とうという姿勢で練習に取り組んでいるが、その中で結果が伴っていなくて、毎試合同じような課題が出てしまいます。選手の中でもやらなくてはいけないことは明確だが、準備を怠ったり、コミュニケーションが不足していたりということで、ミスが起こっていると思います。まずはスキルの精度を上げること、早いセットをして心の余裕を持たせることをして、残りの2試合も勝ちにこだわり、結果を意識したいと思います。
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ヤマハ発動機ジュビロ
清宮克幸監督
今日の試合はこれまで出ていないメンバーや、新しい戦力となる可能性のある選手たちを最終チェック(テスト)する意味合いがあり、先週からの再起を図る一戦という側面もありました。
前半の戦いで満足する部分と新しくチャンスをつかみかけていた選手(本人が一番わかっていると思うが)でいいプレーができた選手、できなかった選手がいた。こういう2つのポイントで見ていました。
堀江君がキャプテンとして、負けた次の試合としていい働きぶりだったと思います。

堀江恭祐キャプテン
久しぶりのホームでいい雰囲気で試合ができました。先週の試合から自分たちが変わらなければならないところや学んだところを今週の試合に出し切ろうと臨んだ試合でした。
最初にスクラムで優勢に立てたのがよかったので、ヤマハのエナジーをチームに与えられたと思います。まだまだ改善点もある中で、全体的に最初からチャレンジャーとしてやっていこうということをある程度出せたと思います。一つ一つステップアップしていくしかないと思っています。

――今日は花道を作って選手を迎えたり、応援に太鼓が入ったりと、応援の体制が変わったがどのように感じたか?

堀江キャプテン
今回初めての試みをやっていただいて、予想していたよりたくさんの人に来ていただけてよかったです。来週、再来週もやっていただけたらと思います。太鼓も聞こえていたし、いつもよりいい雰囲気でプレーできたと感謝しています。

清宮監督
「入場の選手を迎えよう」イベントで、抽選でサイン入りTシャツが当たったようですが、その日の試合の印字がされているらしく、私も欲しかったです。来週、再来週もあるらしいので、たくさんの集まっていただいたファンのために、一足早いクリスマスプレゼントになればと思います。

――大戸選手を6番で使った意図は?
清宮監督
バードール選手を4番で起用したいからです。大戸選手が6番のほうがいいとはあまり思っていないが(笑)、2Tはプラスの部分が出た感じです。ロックで出ていると仕事量も多く足の負荷がかかるが、大戸が普段取らないトライを取ったのは、ポジションが変わったから今までと違うプレーが出たと思います。選手決めに影響するうれしい誤算となりました。

――ホーム3連戦3連勝して、リーグ制覇を目指していると思うが、今の手応えや意気込みは?
清宮監督
2014-2015シーズンで同じような状況からヤマハは連勝を重ねて日本一になっているのですが、具体的にここを改善しなくてはいけない、こういうプレーができなければいけないというものがハッキリ見えた時、ヤマハは強くなれる。そういうイメージを持っています。今日はその第1弾で、第2弾、第3弾と来週再来週でしっかりと課題を結果に変えて、プレーオフに入っていきたいと思います。

堀江キャプテン
来週のサニックス戦、再来週のパナソニック戦では、先週の試合からチームがまたひとつ成長してターニングポイントと言えるように、限られた試合の中でステップアップしてやっていくだけです。迷いはないのでいい感じだと思います。

――バードール選手のロックはどうか?
清宮監督
いいところも物足りないところもあります。できる仕事が少ないところが物足りないが、起用するのにどこを上げたいかといったら、チームのバランスですね。

――小林選手が初スタメンだが、今日1T取った彼の評価は?
清宮監督
いいところも足りないところもありましたが、13番の可能性がある選手がいいパフォーマンスや熱が出せるのはチームにとってプラスです。少なくともそういうプレーはしたと思います。この舞台に立つというところまで小林選手が成長しているのは間違いないし、この位置まで来たことを評価してあげたいです。
今日の彼のパフォーマンスによって、間違いなくヤマハの選手層が厚くなったし、熱が高まっていることは事実ですね。

――若手を使って今日の試合に勝ったようなところは手応えとして感じるか?
清宮監督
無理やり使っているわけではなく、使えるレベルに上がった選手を使っているだけです。吉良選手もアタックに関してはうちの外国人選手ばりの突破力だが、いろんなものがまだまだ足りないので、彼も数年後にはコンスタントにポジション争いに絡んでくると思います。
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(文責:静岡県ラグビーフットボール協会 小林聖子)

フォトギャラリー

撮影者:谷本結利