9月14日(日) 関西学院大学 vs 立命館大学

レフリー:立川 誠道(日本協会)
アシスタントレフリー:南藤 辰馬(関西協会) / 久保 寛太郎(関西協会) / 杉江 良之(関西協会)
関西学院大学 | 立命館大学 | |||
41 | FULL TIME | 17 | ||
10 | 前半 | 10 | ||
31 | 後半 | 7 | ||
勝点
5-0 詳細(PDF) |
▶関西学院大学 10 新井竜之介
メンバー表(48時間前)
マッチレポート
9月とは思えない蒸し暑さの中、9月14日、2025ムロオ関西大学ラグビーAリーグが花園ラグビー場で開幕した。第2グラウンドの第1試合は関西学院大学(以下、関学)と立命館大学(以下、立命)の対戦。昨年は関学が4位、立命が5位だったが、春季トーナメントでは立命が関学を破って初優勝。ともにリーグ制覇を狙う両チームで、今日一番の好カードと言える。
立川誠道レフリーのホイッスル。風下の立命が、SO⑩川口慧大のキックで試合開始。

まずは関学が、SO⑩新井竜之介のロングキックで立命陣内へ。立命のトライライン(以下、TL)に迫った関学は、FWで密集サイドをこじ開けに行き、最後はLO④池辺康太朗が右中間にトライ。SO⑩新井のゴールも決まり、関学が7-0と先制(3分)。
6分、立命はCTB⑫中村颯太がラインブレイクして関学陣に入るも、後が続かない。その後は関学が立命陣でアタックを続けるが、立命が激しいディフェンスで対抗。10分には関学が立命TLに迫るも、WTB⑭三浦遼太郎のスチールでピンチを脱出。
前半中盤は中央付近で、関学のアタックを立命が激しいディフェンスで凌ぐ展開。得点が動いたのは34分。立命陣右中間22m付近で立命のオフサイド。関学はPGを選択し、SO⑩新井が決めて10-0。
しかし前半終了間際に立命の反撃。関学の反則が増え、関学TLに迫ると、40分、左TL5mのラインアウトでFL⑥小山虎太郎がクリーンキャッチしてモール。そのまま押し込み、HO②大本竣士が左中間にトライ(GK不成功)で10-5。続くロスタイム45分、右サイドの同様のラインアウトから今度はLO⑤鈴木孝昌がキャッチしてモール、再びHO②大本が右にトライし10-10と追いついたところで前半終了(GK不成功)。予想どおりの接戦となる。

後半は関学、SO⑩新井のキックでリスタート。序盤、立命は風上を活かしたロングキックで関学陣に深く入るが、得点には至らない。ピンチを凌いだ関学は、自陣の立命ボールのラインアウトを奪うと、WTB⑪武藤航生からFB⑮的場天飛へつないで立命陣へ。7分、右隅TL直前のラックから左へ展開し、NO8⑧小林典大からCTB⑬中俊一郎へ。CTB⑬中が右中間にトライ。SO⑩新井のゴールも決まり、17-10と勝ち越す。
続いて関学は、立命のラインアウト・モールを凌ぐと、17分、逆に自軍のラインアウト・モールを15m押し込み、HO②田中健太が右中間にトライ。SO⑩新井のゴールも決まり、24-10。
中盤、関学は左右にボールを動かしてテンポを上げ、立命陣での時間を増やす。26分、左中間TL5mのスクラムからNO8⑧小林のサイドアタック。できたラックからのボールをSO⑩新井が右のWTB⑭成田陸へキックパス。WTB⑭成田がキャッチしてトライ。GKは不成功で29-10。
勢いに乗る関学は37分、立命陣左10m付近のラインアウトからFWがモールで前進。できたラックから右へ展開し、SH⑨川原大―SO⑩新井―CTB⑫金正優作。CTB⑫金正がブレイクし、最後はFB⑮的場が右隅へトライ。GK不成功で34-10。さらにロスタイム44分にもWTB⑭成田がトライし、SO⑩新井のゴールが決まり41-10。
立命も最後の意地を見せ、CTB⑫中村が中央にトライ。㉒初田航汰のゴールで41-17とし、ここでノーサイド。関学が春季王者・立命から貴重な勝ち点5を獲得した。

立命は、風上で有利と思われた後半序盤に先制できなかったのが痛かった。ここで先制できていれば、展開は違ったかもしれない。両チームとも接点での激しさは、優勝を目指すチームらしいものだった。一方で、計3枚のシンビンがあり、少なからず得点に影響。次戦に向け、規律面の修正に期待したい。POM(Player of the Match)は、キックでチームの勝利に貢献した関学1年生のSO⑩新井竜之介が選ばれた。

会見レポート
立命館大学
立命館大学 小寺亮太ヘッドコーチ
本日は、このような素晴らしい場所でラグビーができたことを嬉しく思います。立命館大学としては、しっかり準備してきたつもりでしたが、関西学院大学さんの勢いや圧力を受けてしまったと思います。初戦は敗れてしまいましたが、シンビンなどチーム内の課題を修正し、次の対戦相手である近畿大学さんに向けて準備していきたいと思います。
立命館大学 中村颯汰バイスキャプテン
今日の試合に向けて準備してきましたが、ほとんど出し切れず、関西学院大学さんのブレイクダウンやセットプレーで圧力を受けました。特に後半は、自分たちのやりたいラグビーができませんでした。今後の課題になったと思います。次の近畿大学さんとの一戦に向けて準備していきたいです。
Q. 後半の失点の要因とディフェンスについて
小寺ヘッドコーチ
後半は風上になったので、しっかりエリアを取りながら進める想定でしたが、関西学院大学さんの後半の集中力に制されたと感じています。シンビンを取られたり、モールで制されたりする中で、セットプレーを制することが関西で勝っていくために非常に重要だと改めて感じました。ディフェンスは、一人少ないところをうまく突かれ、キーマンが抜けるしんどさが出たと思います。選手は一つ一つの接点や局面でディフェンスしようという姿勢を保ってくれていたので、点差が開く中でも跳ね返す力は磨けていると感じました。まだ学生ですのでパニックに陥ることもあると思います。我々マネジメント側が、選手交代を含めてメッセージを適切に伝えることが大事だと反省しました。
中村バイスキャプテン
後半は風上に立っていたので、キッキングをうまく使いながら敵陣に入っていこうと話していましたが、セットプレーなどで制され、外側の勢いあるランナーに走られてしまったことが一番の要因かなと思います。また、ルーズボールへの反応や攻守の切り替えの部分で、関西学院大学さんが上回っていたと感じました。
Q. 開幕(初戦)に向けて、どのような準備をしてきましたか。
小寺ヘッドコーチ
関西学院大学さんの映像を見て分析しましたが、それ以上に、前半に懸ける勢いにこちらが後手に回ったと思います。ラグビーは、ちょっとした局面でメンタル面や「受け」によって勢いを失うことがよくありますが、まさにそのよくあるパターンに陥ってしまったと感じます。立命館は、最初に失点するとズルズルいって最後に盛り返すことがあるので、今回の準備を反省し、次のゲームで追求し直して生かせるよう、さらに前を向いていきたいです。
中村バイスキャプテン
関西学院大学さんの映像を見て相手分析を行い、戦術を詰めてきましたが、ボールをキープできず、外側のブレイクダウンで圧力を受け、バックスでターンオーバーされるなど、アタックにつなげられなかったと思います。
Q. 前半は関西学院大学に攻め込まれながらも、しぶといディフェンスで粘っていました。10-10で折り返したときの気持ちは?
中村バイスキャプテン
前半は風下なので、自陣に入られることと2本取られることは想定していました。ディフェンスをしっかりやろうと話していましたし、できていたと思います。後半に向けての焦りはありませんでした。
関西学院大学
関西学院大学 小樋山樹監督
無事に関西リーグが開幕したことを嬉しく思います。本日の試合は「ALL OUT」というテーマで挑みました。春の大会で敗れた立命館大学さんに、良いリベンジの機会が来たと思っていました。チャレンジャーとして挑み、それが結果に結びついて良かったです。学生たちが本当によく頑張ってくれたことを誇りに思います。2週間後に同志社大学さんとの試合があるので、引き続きチャレンジャーとして挑んでいきたいと思います。ありがとうございました。
関西学院大学 中田偲響キャプテン
まずは、本日このような機会をありがとうございます。今日の試合は、全員が9月14日の立命館大学戦にフォーカスし、しっかり準備したことが結果に表れたと思います。次の同志社大学戦も、今回の準備を継続して取り組みたいです。
Q. 後半、バックスが前に出て、フォワード戦でもセットプレーを優位に進めました。シーズンに向けて強化・準備してきたことは?
小樋山監督
セットプレーにはこだわってやってきました。春に立命館大学さんに完全にやられていたので、フォワードのプライドを持って、その負けたときから準備してきました。そこで優位に立てたのが良かったと思います。前半はフォワードで当てすぎていたので、強みであるバックスを生かしていこうと修正しました。
中田キャプテン
春に立命館大学さんにセットプレーで完敗していたので、そこから真摯に、プライドを持ってフォワードは取り組んできました。夏合宿の合同練習でも成長できたことが、今日の結果につながったと思います。スクラムとラインアウトで優位に立てたことで、自分たちの成長を実感しました。
Q. 春季大会以降、どのような取り組みでセットプレー向上につなげましたか。
小樋山監督
新しいフォワードコーチが2人来てくれたので、彼らを中心に、スクラムとラインアウトは細部とスキルを大事にしながら、かなりやり込みました。ラインアウトも春から夏にかけて武器になりつつあったので、時間をかけて積み上げました。
中田キャプテン
新しいフォワードコーチのおかげで、より細分化して細かい部分に注力できました。それが今日のスクラムに表れていたと思います。
Q. 今季の最終目標は?
中田キャプテン
大学選手権ベスト4を目標にしています。まずは関西リーグで結果を出すことが大事だと思うので、目の前の一戦一戦に集中していきたいです。
Q. 今日はセットプレーで立命館大学にリベンジできたと思います。そこにこだわって全国上位を目指しますか。
小樋山監督
2年前の大学選手権では、エリアを取りディフェンスを強みに戦いましたが、それだけでは全国の舞台では勝てないと感じ、昨年はアタックに注力するチームにしました。僕たちのアイデンティティーは「ディフェンス」「ブレイクダウン」です。そこはぶらさずにやり切り、さらにアタックも勢いを上げていきたいと思います。
フォトギャラリー