マッチレポート
前週の各予選リーグ最終戦。関西学院は絶対王者・天理を追い詰め、京都産業は同志社に完敗と、同じ敗者でもダメージは違い、次戦への準備方も違う。ゲーム後の記者会見から、次戦への‘リセット’の差が勝敗を分けた感がうかがえた。
快晴・微風の中、風下に位置する京都産業の先蹴で、大学選手権・関西代表最終枠の争奪が始まった。
先週の勢いそのままに、関西学院が前でDFし、京都産業の足を止めると、注目のファーストスクラムでは、京都産業が耐え忍び、関西学院の反則を誘発、序盤は一進一退の状況が続く。
先制は関西学院。11分京都産業自陣で貰ったペナルティから、ゴール前LOへ。モールを形成・押し込むと、ゴール前ラックからSH9橋詰が持ち出し、SO10呉がショートで受け、ポスト真下にT。(G成功7-0)
京都産業は16分、関西学院陣ゴール前LOからのモールを巧みにずらしながら前進、最後はNO.8ヴェアが押さえT。(G成功7-7)早めに振り出しへと戻す。
継続を意識する関西学院に対し、鋭いジャッカルで対抗する京都産業。激しいブレイクダウンの応酬も、ところどころでケアレスミスを犯すなど、詰めの甘さを露呈する。
前半終了間際、敵陣ゴール前に迫る京都産業の‘圧’にたまらずペナルティを犯す関西学院。
スクラムを選択し、ボールをゴール前にキャリーする京都産業は、関西学院のDFに苦戦するも、最後はFL7城間がT。(G成功7-14)
逆転し、前半を終える。
後半も一進一退ながら、流れは京都産業。50分関西学院陣22m付近のスクラムでフリーキックを得ると、NO.8ヴェアが走り切りT。(G成功7-21)
勢いに乗る京都産業は一気にゲームを決めたいが、関西学院DFの粘りの前に、チャンスを潰す。
61分敵陣ゴール前からペナルティを得た関西学院は、タッチへ蹴りだし、トライを狙う。LOから形成したモールを押し込み、HO2竹内が押さえT。(G成功14-21)
大学選手権出場をかけ、意地のぶつかり合いとなった終盤の20分、一瞬のスキを捉え、スコアしたのは京都産業。74分CTB12ニコラスが7番からのパスを受けてT。(G成功14-28)
諦めない関西学院は、インジャリータイムに敵陣ゴール前へラッシュ、シンビンで1人欠ける京都産業FWをモールで押し込み、HO2竹内が再び押さえT。(G成功21-28)
ラストワンプレーに賭け、リスタートのボールを繋ぐも、決めきれずタイムアップ。
死闘の末、大学選手権・関西代表の座は京都産業が奪取した。プレイヤー・オブ・ザ・マッチは京都産業FL7城間が獲得。
試合後コメント
関西学院大学
小樋山樹監督
新型コロナ禍の中、公式戦を全う出来たことについて、協会はじめ皆様のご尽力に感謝する。ゲームは京都産業の強みであるFWにやられた。我々の力を出し切れなかったのが、敗因の全て。
竹内海斗主将
FW、BKともミスを前半から重ねてしまった。相手FWを受けてしまい、後半も修正しきれなかった。
Q.天理戦以降、どのような準備を
小樋山監督
天理戦で手応えがあったので、今日もその勢いで行けると思っていたが。チームとして最終目標である‘大学日本一’を本気で目指していたかと言われれば、それは次への課題であると言わざるを得ない。
竹内主将
天理戦は悔しい結果だったが、いいゲームが出来たと思う。先週と比べれば、今日の方が、若干気持ちが入っていなかった。
京都産業大学
伊藤鐘史監督
新型コロナ禍の中、公式戦が出来ることへの協会はじめ関係する皆様のご尽力に感謝したい。同志社戦の後、もう一度、チーム理念を確認し、ひたむきにラグビーに取り組んだ一週間だった。週初めからの練習も激しく、ケガ人も出たくらいだったが、昨日のチームランでようやく整った。最後のシンビンでは少々慌てたが、全体的には落ち着いて観ていられた。しかしながら、これで終わりではなく、大学選手権で勝たなければ意味がない。この2週間で、しっかり準備したい。
京都産業大学
田中利輝主将
‘意地’を通した一週間だった。4回生は、負ければ終わりの中での意地、FWの意地、BKもひたむきに一つ一つのプレーに集中し、愚直にやり切り勝利出来た。ここで終われないのも京産の意地。大学選手権では大暴れしたい。
Q.就任1年目で大学選手権出場を果したが
伊藤監督
異例のシーズン下、大学選手権出場は、チームとして進化出来、ありがたい。このチャンスを活かして成長してほしいと願う。
田中主将
同志社に負け、モチベーションを戻すのは容易ではなかったが、火曜日から切り替え、激しい練習を愚直に、ひたむきに繰り返すことで、今日のゲームに臨んだ。
Q.修正点は
伊藤監督
敵陣でのアタックの精度を上げること。強いスクラム・モールは京産の伝統であり、これを軸に、2週間磨きをかける。
POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)
FL城間賢選手
こだわるプレーは特になく、ひたむきにFLの役割であるDFをしただけ。
Q.トライシーンをアシストしたことについて
キャリーに徹し、ボールリターンをしたら、味方が巧くフォローしてくれた。
(文責:廣島 治)
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