ジャパンラグビートップリーグ 第8節
ヤマハ発動機 VS. NTTコム
2016年10月22日(土) 14:00キックオフ グラウンド:東大阪市花園ラグビー場 | ||||
ヤマハ発動機 | NTTコミュニケーションズ | |||
21 | FULL TIME | 17 | ||
14 | 前半 | 7 | ||
7 | 後半 | 10 | ||
詳細(TL公式) |
マッチサマリー
ジャパンラグビートップリーグ2016-17第8節。
1試合平均6トライ近くで40点以上を挙げて7連勝とサントリーと共に全勝し、首位を走るヤマハ発動機ジュビロ。
対するは、神戸製鋼、パナソニックの上位2チームには不覚を取ったものの5勝2敗と健闘著しいNTTコミュニケーションズシャイニングアークスの、興味深い一戦。
両チームは昨年度の順位決定トーナメント第1節、五郎丸人気で溢れかえった大阪・金鳥スタジアムで対戦した。この時は前半同点の後の後半、ヤマハがNTTコムを一気に突き放して7-26で勝利をおさめている。
ウィンドウ・マンス(11月)前、最後の大阪でのゲームは、20日前に訃報が伝えられた「ミスター・ラグビー」平尾誠二さんを見送るために、5000人を超すTLファンがかけつけた。
試合はNTTコムSO10番、南アフリカ代表のエルトン・ヤンチースのキックオフで開始された。前半は均衡状態。NTTコムがNo8・8番日本代表アマナキ・レレイ・マフィの豪快な突進やSO10番ヤンチースのトリッキーなプレイでヤマハ陣に攻め込む。
しかし、ヤマハも日本代表スコッドを揃えたフロントローを中心に、強力なスクラムや堅固なDF網で、NTTコムに得点を許さない。
均衡を破ったのは首位のヤマハ。
28分に相手ゴール前20m左中間スクラムを押し込んでつかんだチャンスに、CTB12番ヴィリアミ・タヒトゥアの突進でゴール前に迫る。左中間ラックからSH9番矢富勇毅が左に展開。最後は大外についた右LO5番デューク・クリシュナンが左隅に抑えて先制した(FB15番ゲラード・ファンデンヒーファーのゴール成功7-0)。
ここからヤマハはさらにFWでプレッシャーをかけ、前半だけでNTTコムから9ペナルティを奪うほど圧倒した。
34分にはヤマハがアドバンテージからFWラッシュでゴール前に迫る。ポスト下のラックからSH9番矢富からのボールを受けたNo8・8番堀江恭佑が中央にトライ。
14-0と得点差を拡げる。
一方のNTTコムも直後の36分、キックオフのこぼれ球をBKが繋ぐ。
CTB13番石橋拓也の大きなゲインで迫ったゴール直前左中間ラックから大きく右に展開し、最後はNo8・8番マフィが今シーズン初となるトライをあげた。
SO10番ヤンチースのゴールも決まり14-7と後半に望みをつないだ。
後半先手を取ったのは追うNTTコム。
13分、ヤマハのオフサイドで得たPGをSO10番ヤンチースが難なく決めて14-10。試合の趨勢はわからなくなってきた。
しかしフレッシュなプレイヤーを続々と投入したヤマハはさらにFWラッシュをかける。ゴール直前の中央ラックからSH9番矢富が右についた左LO4番大戸裕矢に回し、そのまま中央にトライ(ゴール成功21-10)を挙げ再び引き離す。
粘るNTTコムもノーサイド間際には執拗にヤマハゴール前に迫る。ヤマハのインゴール・ノックオンで得た右中間の5mスクラムから左に展開し、ポスト下のラックから再びNo8・8番マフィがこの日2つ目のトライを奪う。
逆転には至らなかったが(21-17)貴重な勝ち点1を挙げた。
ヤマハは強力FWで何とか勝利をものにしたが、結果的には薄氷の勝利。相手を圧倒するパワーを擁しているだけにきちんと得点する形を取り戻したい。
NTTコムも得点を挙げるパターンは持っているが、今日のようなペナルティを繰り返していると上位チームとの戦いではなかなか勝機はつかめない。
ウィンドウ・マンス前の次節では両チームともに良い形で前半戦を終えて後半戦に繋ぎたい。
マン・オブ・ザ・マッチは結果的に決勝トライとなった最後のトライを挙げたヤマハ左LO4番大戸裕矢に贈られた。
会見ダイジェスト
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
ロブ・ペニーヘッドコーチ(HC)
本日の試合については選手たちのパフォーマンスを誇りに思っている。強豪であるヤマハ発動機を相手にボーナスポイントを獲得できてとても良かった。同時に少しフラストレーションの溜まるゲームでもあった。ヤマハの勝利は祝福する。
須藤拓輝ゲームキャプテン
正直、この結果にはがっかりしている。勝てる試合だったし、勝つべき準備をして相当のパフォーマンスで試合ができた。でも最後のところでトライがとり切れなかったり、スクラムでペナルティがとられたりというところは自分たちに原因がある。もう一度グラウンドに持ち帰って反省して、来週同じようにスクラムの強い東芝に対し今日よりももっと良いパフォーマンスで臨んで、もっと良い結果が出せるようにやっていきたいと思う。
―後半かなりペースを掴んできたようだが、ハーフタイムにどのような指示を出したのか?
ペニーHC
ディフェンスでもアタックでも良い戦いができていたので、ハーフタイムで特別なことは指示していない。ただ自分たちもクロスキックのパスを落球したり、ワイドチャネルでしっかり仕事ができなかったりと、自分たちのミスで自分たちを苦しめている場面もあった。良い戦いはできていたと思うので、ハーフタイムで特別な指示はなくそのままで行けば良い戦いができるというメッセージは残した。
須藤キャプテン
独別な指示はなく、ゲームプラン通り進めていこうということだったが、前半ボールを継続できていない場面が結構あった。後半は相手も足の止まる時間が必ずあるので、そこのところでボールを継続して行こうとは話した。
ヤマハ発動機ジュビロ
清宮克幸監督
勝利することができたことは非常に嬉しいが、ヤマハとして内容的にはワーストに近い出来だったと思う。敵陣でのセットプレイでいくつもミスを重ねた部分は非常に不満足である。ただそんな不満足な試合の中でも、勝ち負けという面ではほとんどリスクのない試合運びができたことは成長と感じ、選手たちにも話した。
三村勇飛丸キャプテン
連勝が続いたことは非常に嬉しいが、ここ3試合くらいはFW的にすっきりしない戦いが続いているので、次のコカ・コーラ戦はウィンドウ・マンス前の最後の一戦なので、いろんな意味で後半戦に繋がる試合をするために良い準備をして臨みたい。
―すっきりしない部分とは具体的には?
三村キャプテン
スクラムの組み方に対してやるべきことができなかったり、ラインアウトで取るべき時に取れなかったり、判断が裏目に出てしまうことが多かった。
―数字の上では完全に突き放していない最後の場面で新人のHB団を投入した意図は?
清宮監督
トライを取りに行った。勝ち負けはほとんど決していたので、若いスピードのある2人がきっと何かやってくれるだろうと思って期待をした。得点力が上がると思って出したので全く不安はなかった。
(文責:石川 悟、丸井康充)