4月17日(土) 豊田自動織機 24-25 NEC

トップリーグ2021プレーオフトーナメント 1回戦
2021年04月17日 12:00 K.O.
入場者数:941人 天候:雨/無風
レフリー:新井卓也(日本協会A)
アシスタントレフリー:久保修平(日本協会A) / 船岡克広(関西協会) / 河村隆史(関西協会)
豊田自動織機 NEC
24 FULL TIME 25
7 前半 10
17 後半 15
詳細
(日本協会公式)

マッチレポート

トップチャレンジリーグを1位通過した豊田自動織機シャトルズ、対するトップリーグホワイトカンファレンス8位のNECグリーンロケッツとの対戦は、激しい雨の降る花園ラグビー場で行われた。NECのキックオフで試合が開始された。

NECは、SO⑩アレックス・グッドの有効なキックでエリアを確保、8分PGを決め先制する。さらに14分、CTB⑫マリティノ・ネマニが豊田自動織機のディフェンスラインをブレイクし中央にトライ、ゴールも決まり0-10とリードを広げた。
豊田自動織機もこの後反撃に転じ、NECをゴール前に釘付けにすると、27分、ゴール前5m中央ラックから右展開、WTB⑪リサラ シオシファが右隅に押さえ、SO⑩フレディー・バーンズのゴールも決まり7-10と迫る。この後も豊田自動織機は相手陣内で試合を進め、終了前のNECゴール前での攻防では、FWがスクラム、モールで優位に試合を進めるものの、NECも踏ん張り3点差で折り返した。

後半、豊田自動織機は前半のFWの勢いをそのまま持続。3分にモールを押し込みNo.8⑧タレニ・セウがトライを奪い、ゴールも決まって14-10と逆転に成功した。しかしNECも5分に相手ゴール前5mのラインアウトモールからHO②佐藤耀が押さえて14-15と再逆転。試合はシーソーゲームの様相を呈する。

10分、今度は豊田自動織機FB⑮大道勇喜のトライ、ゴールが決まり21-15またもひっくり返した。30分にはSO⑩バーンズのPGで24-15と試合が決まったかと思われた。
しかしここからNECは意地を見せた逆襲を開始。ドラマをつくった。17分にPR③田中光から⑱土井貴弘、21分にPR①瀧澤直から⑰前島利明に交替し、プロップをフレッシュ。FWが優位に立つと33分、CTB⑬ベンハード・ヤンセヴァンレンスバーグが中央にトライ、ゴールも決まり24-22とし、さらに試合終了直前の40分、SO⑩アレックス・グッドがPGを決め24-25とついに逆転。豊田自動織機の反撃を振り切り薄氷の勝利でトーナメント2回戦に駒を進めた。

記者会見レポート

豊田自動織機シャトルズ
徳野洋一ヘッドコーチ(HC)
まず、トップリーグトーナメントがこのコロナ禍の中、開催出来たことに対して、協会関係者の皆様の様々な準備、またNECグリーンロケッツの方々、観に来ていただいたファンの皆様に感謝いたします。試合に付きましては結果的に負けとはなりましたが力はほぼ互角だったと思う。ただ勝敗を分けるようなプレイについては我々はまだ若いチームでもあり、常日頃トップリーグのプレッシャーの中で戦ってるNECとの差が出たのかも知れない。いずれにせよ結果的には負けてしまったが、互角の戦いが出来た。トップチャレンジリーグを1位通過してきたということ、積み上げてきたことは間違いにということで胸を張って帰りたい。

中村大志キャプテン(CP)
チームとしては今日の雨対策をしてきた。そこに対してはチーム全員で取り組めたと思う。結果は負けだったが今年取り組んできたことに間違いはないと思っている。来シーズンに向けて細かい精度、個々の意識を変えていかないとトップリーグのチームには勝ちきれないと改めて実感した。

フレディー・バーンズ選手
今日は互角の戦いだったと思っている。勝てると思っていたが残念な結果になった。今回の負けは残念だったが、このチームとしてやってきたことには誇りを持っている。

Q:トップリーグとトップチャレンジとの差は感じたか?
徳野HC
トップチャレンジリーグは正直下位チームとの差は大きく、数試合大量得点で勝ったというのは事実です。ただトップチャレンジリーグでも、近鉄やコカ・コーラというチームについてはトップリーグ下位チーム相当の力を持っていると思う。特に今日試合をしてみてNECがトップリーグの強さとして肌に感じてはいない。また我々は日ごろトップリーグを目指してインテンシティ(強さ・激しさ)を作っていくということをしているので、今回NECと戦って力の差を感じるということはなかった。

Q:スクラムは押し勝っていたと思うが手応えは?
中村CP
今年、セットプレイをチームの核として強化していこうというところで、1年間フォワードはユニットの中でたくさん時間を費やしてきた。今日のトップリーグ相手の試合でもスクラム、モールの部分では圧倒出来たと思う。それは自分だちの今年1年の取り組みの成果だと思っている。

Q:今日の試合でフォワード戦は優位に戦っていたと思うが、今回の試合でトップリーグと戦って自信の部分が多かったのか?出来ないところの方が多かったのか?
徳野HC
エリアテリトリーのコントロール、ディフェンス、セットプレイにおいて優位に立てた。ゲーム80分トータルでみたら我々の方がうまくコントロール出来た印象を持っている。トップリーグに対して通用したかということに対しては、80分の中では我々がコントロールした時間が長かったので、それ程の差は無いと感じている。

Q:トップリーグと試合する機会がない中、トップチャレンジリーグでこれ程のチームを作って来たと言う手応えはあるか?
徳野HC
我々は2年前にトップチャレンジリーグに降格して、もう一度トップリーグに戻るということでトップリーグスタンダードを明確に示してこの1年間強化してきた。その中で今日のゲーム内容を観ていただいた通り、十二分に通用する部分もあったというところで、我々が進んできたプロセスに間違いは無かったと思っている。

Q:イングランド代表でもポジション争いをした、相手チームのアレックス・グッド選手と日本で戦った感想は?
バーンズ選手
知っている人間とここで戦えたことはうれしかった。ゲームコントロールではこの天候ではフォワード戦になるのでお互い難しかったと思う。今日の試合は互角だったと思う。どちらに転んでもおかしくなかった。

Q:モールを圧倒出来た部分について要因は?
中村CP
今年は練習試合がなかなか組めない中で、チームの中でどれだけ良くなれるかというところは話し合ってきた。チームが同じ方向を向いて同じレベルでモール・スクラムを組めたところではしっかりとした意思統一が出来ていたのが良かったと思う。


NECグリーンロケッツ
浅野良太ヘッドコーチ(HC)
今シーズン雨天のゲームが多い我々ですが、足下が悪い中、会場に来ていただいたファンの皆様ありがとうございます。また、テレビやSNSで応援を続けていただいた皆様に勝利で答えることができてうれしく思います。横にいる中嶋CPがNECプライドを出してくれて、トップリーグのチームとして必ず勝たなければいけない状況だった。豊田自動織機は戦前からタフなチームと分かっていて、実際戦って非常に苦しめられたが、選手がフィジカル、プレッシャー、ハードワークで体現してくれて勝つことが出来た。本当に選手と応援してくれるサポーターに感謝したい。

中嶋大希キャプテン(CP)
今シーズンは1勝も出来ない苦しいシーズンを過ごしてきたが、今日も雨の中の試合ということで我々は雨の中の試合が多く、(雨での試合が少なかった)豊田自動織機とは経験値が上回ったと思う。その中で自信を持って試合が出来たこと、僅差だが勝利出来たことはうれしく思うし応援してくれたファンの皆様、チームメイトと共有したい。

アレックス・グッド選手
僅差の試合でプレッシャーがある中で、NECグリーンロケッツのロゴの為にハードワークが出来たと思う。後半の途中までペナルティが多かったが、我慢強く、心の底からプライドを見せつけて勝利に結びつけたことは素晴らしいと思う。

Q:トップリーグとトップチャレンジリーグの差はどの様に感じたか?
浅野HC
トップチャレンジリーグ全体のことは分からないが、豊田自動織機に限れば非常に強いチームで日本人選手も含め鍛えられており、我々が今日苦しめられた要因でセットプレイへの拘りを感じた。トップリーグと同等の圧力を感じた。

中嶋CP
試合の前から豊田自動織機は良いチームと分かっていて、分析の中でもまとまった良いチームと知っていた。トップリーグ、トップチャレンジリーグという意識では無く、同じトーナメントを戦うチームとして相手の実力を評価した上で準備を進めて来た。その中、ブレイクダウンでプレッシャーをかけてくる選手やフィジカルの強い選手も多かったが、それ以上に相手を上回りプライドを見せられた結果が勝利に繋がったと思う。

グッド選手
今日の試合の中で豊田自動織機にレベルの高い選手もいた。バーンズやトゥシ・ピシの様な代表クラスもいるのでそれ程トップリーグとトップチャレンジリーグの差は無いと思っている。レベルの高い非常にコーチングされた近鉄にも勝ったチームなので、然程の差は無いと思っている。

Q:今日の試合でフォワードが押される場面が多かったが、今後修正して行く点は?
浅野HC
フォワード戦の所は次のサントリーが強いセットを持っているし、ペナルティも多かったのでここの改善は必要だと思っている。

Q:勝てない中でこの1週間選手達にどの様に声をかけ、意識させたのか?
中嶋CP
1週間準備をする中で週末天気が悪いのは分かっていたので、勝てない中でもNECプライドを意識させ、ハードワークを掲げて天気の悪い中でどれだけハードワーク出来るか、相手よりどれだけ勝ちたいかを意識させ全員でやって来た。

Q:後半9点差に広げられた苦しい時も踏ん張れたのもそういうところか?
中嶋CP
ミスが続いて点差を広げられた時も誰も下を向かず、皆同じ方向を向いていて試合に臨んでいたので、僅差だったが勝てたのはそういう気持ちの部分だと思う。

Q:今日は有効なキックが多い印象だがどの様な事を意識してゲームマネジメントをしていたのか?
グッド選手
今日の試合に関しては相手のセットピースが強いというのは分かっていたので、キックは出来るだけ蹴るようにしていたが、(タッチに)出ない様に、相手の強い所でプレイしない様にしていた。雨の試合を想定しキックチェイスやセービング等準備して来てハードワークの結果が勝利につながった。

Q:1勝する事がファンへの恩返しと言っていたが、改めてファンへメッセージをお願いします。
中嶋CP
昨シーズンから今シーズンまでこの1勝が長く苦しく、見失いそうな時もあったがファンの皆様が継続的に会場に足を運んでくれたり、SNSを通じて応援してくれることが自分たちの力になったし、頑張る理由にもなっていたのでトーナメントで1勝出来た事が少しでも恩返しになれたと思う。チームとしての存在意義も示せたと思う。これからも応援をお願いしたいのと、自分たちも勝利を重ねていきたい。

Q:最後逆転ペナルティゴールを決めた時の感想は?
グッド選手
ペナルティになった瞬間、中嶋CPからすぐにボールを取らなければと思った。タップでチャンスを逃すと思っていたので。キックに関しては重要な場面のために1週間、これまでも練習をしてきた。キックの時、皆から時間をかけろと言われたが自分のテンポで3点を取ることだけに集中した。ゴール成功後はチーム一丸となって勝利することが出来た。

(文責:大阪府協会 山林右二、中村弘人)

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KRPU 渡辺隆夫


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