9月9日(土) 第4節 ヤマハ発動機 35-12 リコー

AG5I3904y12
トップリーグ2017-2018 第4節
ヤマハ発動機 VS. リコー

ヤマハ発動機がリコーのチャレンジを退け、快勝

2017年9月9日(土) 17:00キックオフ グラウンド:ヤマハスタジアム
ヤマハ発動機 リコー
35 FULL TIME 12
14 前半
21 後半
詳細
(TL公式)

マッチレポート

トップリーグ2017-2018第3節を終えて、ともに2勝1敗の戦績を残しているヤマハ発動機ジュビロとリコーブラックラムズの試合が、7,108人のラグビーファンを集めたヤマハスタジアムで開催された。
前節、優位に試合を進めながらも、試合終了直前、サントリーに逆転負けを喫したヤマハは、ホワイトカンファレンス第2位。この試合は、今シーズン最初のホームグランドでの開催でもあり、地元ファンの前で快勝し上位をキープしたいところ。
一方の同カンファレンス第4位のリコーは、前節まで見せている安定したスクラムと粘り強いディフェンスを軸に、勝利して上位進出の契機としたいところである。

前半は、リコーのキックオフにより試合が始まった。
開始早々、ヤマハがボールを支配して敵陣に攻め込み試合を優位に進める。前半7分、敵陣ゴール前5m左マイボールスクラムから右へ展開、最後は、FB五郎丸歩が体をひねりながら右隅タッチライン際にボールを押えた。TMOの審議になるもトライが認められ、右隅からの難しい角度のGKもFB五郎丸が成功させ、7-0と先制する。

AG5I4015y15

しかし、上位進出を狙うリコーも反撃して敵陣に攻め込み、12分、ペナルティで得たゴール前5m左ラインアウトからモールを形成、そのまま押し込んで、左LOブロードハーストマイケルが左隅にボールを押えてトライ。SOロビー・ロビンソンによるGKは失敗するが、7-5とリコーが追い上げる。
その後は、ヤマハが敵陣内に攻め込むも、リコーはヤマハの強力FWと互角にわたり合い、粘り強いディフェンスで得点を許さず、試合はしばらくの間膠着状態となる。
しかしヤマハは徐々にFWの強みを発揮し、試合の主導権を握り始める。そして32分、ペナルティで得た敵陣ゴール前5m右ラインアウトからモールを形成、そのまま押し込み№8堀江恭佑が右中間にトライ。FB五郎丸によるGKも成功し、14-5とヤマハがリードを広げて前半を終了した。

AG5I4153y6r8y8

後半もヤマハがボールを支配し、5分、これもペナルティからの敵陣ゴール前5m右ラインアウトからモールを押し込み№8堀江が右中間にトライ。FB五郎丸によるGKも成功し、21-5とヤマハが更にリードを広げる。
その後は、勝利をあきらめないリコーの敵陣内深くに攻め込む時間帯が続くが、ヤマハは自陣ゴール前で粘り強いディフェンス力を発揮しトライを許さない。
19分ヤマハはSOを大田尾竜彦に入れ替え反撃に転じる。25分敵陣ゴール前5m右中間のマイボールスクラムから左へ展開、ゴール正面のラックのこぼれ球を№8堀江が拾いゴール左横に本日3本目のトライ。五郎丸からFBのポジションに変更したゲラード・ファンデンヒーファーがGKを決め28-5と点差を突き放す。
更にヤマハは32分、ハーフウェイ中央のペナルティからファンデンヒーファーのタッチキックで敵陣ゴール前5mまで大きくゲイン。ラインアウトでボールをスチールされるも交替したLO八木下惠介がプレッシャーを掛けターンオーバー、左へ展開し最後は左CTBヴィリアミ・タヒトゥアが突破してゴール右横にトライ。GKも決まり、35-5とヤマハが勝利を決定づけた。

AG5I4394y9

その後、敵陣内に攻め込んだリコーは、38分、ペナルティからの攻撃でフェーズを重ね、最後は左CTB濱野大輔がゴール中央に回り込みトライ。そのままGKも成功し7点を返し35-12と意地を見せるも反撃も及ばず、試合は35-12のスコアで終了。
ヤマハはボーナスポイントを含む勝ち点5を積み上げ3勝1敗、リコーは2勝2敗の戦績となった。

ヤマハは予想に反し、FWでスクラムの強みを出し切れない中でも、敵陣ゴール前でのモールを起点に確実にトライを獲りきるなど勝負所を押え勝利し、前節の敗戦からの良い「再スタート」の試合となった。
対して敗れたリコーは、得点機にミスやペナルティを犯すなど、やや自滅した感もあったが、スクラムなどのセットプレーで強力FWのヤマハと互角にわたり合えたことから、その点では自信を深める試合となったと思われ、次節以降この試合で得た自信を糧にした戦いぶりが期待される。

この日のマン・オブ・ザ・マッチは、この日3本のトライを決め、主将としてもチームを鼓舞したヤマハ発動機p№8堀江恭佑が受賞した。

A90I8726y8

またこの日は、ももいろクローバーZのリーダーで浜松市出身の百田夏菜子さんの2019ラグビーワールドカップの静岡県開催都市特別サポーターの委嘱式が行われた。百田さんのスタジアム登場、挨拶にスタジアムの観客から温かい拍手、声援が送られた。

A90I8758

(文責:静岡県ラグビーフットボール協会 瀬尾知繁)

会見レポート

リコー
神鳥裕之監督
今日はこのような素晴らしい環境の中でラグビーができたことを関係者の皆さまをはじめ、応援していただいたファンの皆様に感謝したいと思います。ありがとうございました。
我々としては、ヤマハさんに対しチャレンジして勝利という結果を東京に持って帰りたかったが、悔しい結果になり残念です。ヤマハさんの強みであるセットプレー、特にスクラムでしっかり渡り合えればチャンスがあると思い、そこのところでは選手が勇気を持って戦ってくれたので、そういう意味で次の試合につながると思います。ただトライを取りきる力であったり、チャンスどころでのトライの決定力などに関しては、まだまだ我々は成長しなくてはいけないと感じさせられました。まだまだシーズンは続きますので、気持ちを切り替えて頑張っていきたいと思います。

武者大輔ゲームキャプテン
このような環境でラグビーさせていただいたことを感謝したいと思います。リコーとしてはトップ4のチームのヤマハさんに勝って、トップ4に入るのが目標ですが、自分たちのペナルティなどのミス、ディシプリンを守りきれずに自滅した形だったと思います。
負けたゲームの中でも、ヤマハさんの強みであるスクラムで互角以上に渡り合えたのは、自分たちの自信にもなるし、今後プラスになると思っているので、また頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。

――前半は競っていたと思うが、想定していたヤマハと何か違う部分はあったか?
武者キャプテン
自分たちのスクラムには自信を持っていて、スクラムの部分で相手から反則を誘って、ペナルティをもらうということができたり、セットプレーが安定してできたのは、想定していた以上にうまくいったと思います。
アタックのところで、攻めながら取り切れなかったというところは、最終的に敗因になったと思っていて、そのあたりヤマハさんはチャンスをしっかりものにして得点につなげていたので、そこがヤマハさんの強さかなと思います。

A90I8776r

ヤマハ発動機
清宮克幸監督
今日は敗戦の後のリスタートの試合になるので、内容が問われた試合でしたが、キャプテンが3トライして勝つというのは、それにふさわしい内容だと思います。ボーナスポイントも取れたし、いい再スタートだったと思います。

堀江恭佑キャプテン
自分たちヤマハスタイルの先週からの成長ということでチャレンジしたが、試合を通していいところも悪いところも多かったので、まだまだ成長できると思った試合でした。

――サントリー戦敗戦後、選手にどんなことを伝えて、それが今日の勝利に出た場面はあったか?
清宮監督
再スタートを切るにあたって、勝つためにふさわしいプレーをする姿勢を持つというところがサントリーとの違いで、明らかに見えていたので、そういうところを意識しました。

――今年のヤマハスタイルの強みが出た場面はあったか?
清宮監督
去年まで明確にあったスクラムのアドバンテージが今日(の試合)はなかったが、5トライ取れたのは評価できます。去年くらい(のスクラムの状態)でいっていたら、今日は8トライくらい取っていたかなと思います。

――5トライ取れた理由は?
清宮監督
最初に取れなかったボールを、スイッチして入れ替えて、連続して取りきったところが今日一番のポイントになったと思います。そして、堀江キャプテンの近場をえぐったシーンも成長がみられました。

――堀江キャプテンの1トライ目は、相手にモールでトライを取られた後のプレーだったが、トライを決めるまでにどんなプレーを心掛けていたか?
堀江キャプテン
モールで取られて、そのあと自分たちのモールの最初のチャンスを取りきれなくて、その次のチャンスで、本当はモールで押し切って取りたかったが、うまく前が空いたところで、自分がそのままいっただけです。本当はモールで取り切りたかったので、そこはみんな悔しかったのではと思います。

――いいところ、悪いところと言っていたが、具体的には?
堀江キャプテン
監督も言ったように、スクラムやモールを取りきれず、劣勢の状態でも敵陣での自分たちのアタックで、トライを取りきれたところは良いところだが、この先トップ4相手に、セットプレーで劣勢になると厳しいので、まだまだこれから練習しなくてはいけないと思います。

――五郎丸選手、ファンデンヒーファー選手と2人のいいキッカーがいるが、今日の2人の評価は?
清宮監督
キックの使い方に関してはまだまだ合格点は出せないです。使える武器を使えていない感じがします。いい場面で飛距離のある彼らに、ボールを渡せるような組み立てが必要だと思います。

――7000人集まった中で、先制トライが五郎丸選手だったが、ヤマハスタジアムでの久々の復帰戦で、(彼は)何か持っているなと感じるか?
清宮監督
今日は福岡からおばあちゃんが来ていたようです。めったに観戦に来られない身内が来ている前でトライを取るのだから、何かあるんでしょう。

A90I8786y

フォトギャラリー

撮影者:谷本結利