12月3日(土) 第10節 近鉄 31-38 NEC

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トップリーグ 第10節
近鉄 VS. NEC

2016年12月3日(土) 11:45キックオフ グラウンド:東大阪市花園ラグビー場
近鉄 NEC
31 FULL TIME 38
16 前半 26
15 後半 12
勝点
1
詳細
(TL公式)
勝点
5

マッチレポート

ウィンドウズ・マンス明けのジャパンラグビートップリーグ2016-2017第10節、2勝7敗勝点12で13位の近鉄ライナーズとこちらも3勝5敗1分勝点15で11位のNECグリーンロケッツと共に波に乗り切れない両チームの戦い。
4連敗の近鉄は少しでも順位を上げて入替戦を回避したい。一方のNECは司令塔の田村優の1ヶ月の不在(日本代表)がチームにどう影響するのか。
リーグ戦の再開を待ちわびた5,000名近いファンの見守る中、試合はNECの日本代表SO10番田村優のキックオフで幕を開けた。

近鉄のエスコートキッズは、OBのお子様たちという粋なはからい。

近鉄のエスコートキッズは、OBのお子様たちという粋なはからい。

前半、先手を取ったのは地元近鉄。7分にNECのノットロールアウェイの反則で得たHL左中間のPGをルーキーSO10番野口大輔が決めて先制した。さらに9分にも10ml左中間でのNECのオフサイドからSO10番野口がPGを決め、6-0と幸先よくリードを奪う。

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ところがNECも直後のキックオフのボールを22ml左中間付近で左WTB11番後藤輝也がうまく拾い、そのまま近鉄DF陣をすり抜け中央にトライ。SO10番田村のゴールも難なく決まり6-7とあっさりと逆転した。さらに19分、NECはゴール前15m左中間ラックからショートサイドを突き、SH9番茂野海人からのパスを受けたFB15番吉廣広征が左隅にトライ(6-12)。

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この辺りから近鉄DF陣のタックルが目に見えて甘くなり、NECに容易にゲインを許すようになる。23分に左FL6番スコット・ビギンボッサム、25分には左WTB後藤がこの日2本目のトライを挙げ、早くもゲームは一方的な様相を呈する。

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順調に加点するNECだがこの日は前半から反則(PK)を連発。近鉄も8つの相手反則につけ込み、前半終了間際にFB15番アンドレ・テイラーのトライ、SO10番野口のPGにより16-26と詰め寄り試合の行方を後半に繋ぐ。

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後半の最初の得点も近鉄、ゴール前30m左中間付近のNECのハンドで得たPGをSO10番野口が決めて19-26と7点差に迫る。

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ところが慌てないNECはSH9番茂野、SO10番田村を中心に見事なハンドリングでボールを巧みに繋ぐ。近鉄のDFの単調さもあり、17分にはゴール前15m中央のラックから左に展開、最後は細田佳也に代わった右FL20番大和田立がトライを挙げ19-33と近鉄を引き離しにかかる。

さらに24分にはCTB12番ジョーダン・ペインのトライで19-38としてほぼ勝敗は決したかと思われた。ところが大観衆に後押しされた近鉄も意地を見せる。直後の26分にFB15番テイラー、32分にCTB13番森田尚希がトライを返し31-38と追いすがる。しかしながら近鉄の反撃もここまで。1T1G差にまで近鉄に迫られたが、NECが逃げ切って4勝目を挙げた。

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NECは巧みなハンドリングと後半のFW陣の奮起でスクラムも安定。接点でのペナルティを減らして、次週のヤマハ発動機戦を含め台風の目となって上位に食い込みたい。近鉄も若手と外国人が得点源となり攻撃力は充実。DF面での規律を修正して一つずつ順位を上げていきたい。

マン・オブ・ザ・マッチにはルーズボールに対して鋭く反応して2トライを挙げたNECの左WTB11番後藤輝也に贈られた。
なお試合終了後、この試合途中出場でTL通算100試合出場を果たしたNECのPR猪瀬佑太選手を祝福するセレモニーが執り行われた。

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記者会見ダイジェスト

近鉄ライナーズ
坪井章監督
本日は沢山のサポーターの方に来ていただき、とても鮮やかな色の見事な芝生の良い環境の中でNECさんとゲームができ、関係者の方に本当に感謝している。前半戦を終えウィンドウズ・マンスを挟んで、チームとしても再度巻き返しを図るための重要な一戦だったが、前半簡単にトライを取られ過ぎたことが全てだと思う。ただ豊田キャプテンを始め選手の皆が、ファンの皆さんに最後まで執念を見せられたことは誇りに感じている。また来週末もホーム花園のゲームなので、キヤノン戦ではこのようなゲームにならないよう結果を求めて臨みたいと思う。

豊田大樹キャプテン
一か月のウィンドウズ・マンスを経て良い準備ができたことを、ファンの皆さんに披露できることを楽しみにしていた。ウチも3本のトライとゴールキックでとても良い形で得点することはできたが、6本もトライを奪われたら勝てないと思う。しっかりとディフェンス面を反省し、次の試合に挑みたいと思う。

近鉄ライナーズ

– 前半だけで4本のトライを奪われるなどディフェンスが乱れていたが、その具体的な要因は?
豊田キャプテン
もう一度、冷静にならなければわからない部分もあるが、NECが広いアタックラインでワイドに振ってくるところを外に振られるのが怖くて前に出られずに待ってしまったところ。ある程度外は捨てて行こうと話していたが修正しきれなかったことが原因である。

– ゲームプランの中で前後半最初のPKの場面、アタックではなくショットを選択した意図は?
豊田キャプテン
あの判断は難しいところだが、これまでなかなかトライが取れなかったので確実に取れるところでは取って行こうと判断した。その中で相手に離されないようしっかり積み重ねて、取れるところでトライを狙っていくプランを監督とも確認していた。ただ予想以上に点差をつけられてしまったところが反省材料である。

― 一カ月間で積み重ねたこと、今日の試合で見えた点、今後も修正しなければならない点は?
坪井監督
ウィンドウマンス期間中は和歌山で3泊4日のキャンプを張り、特にチームの細かい部分の認識のずれなどを確認して共通認識に落とし込んだ。あとはしっかりとコミュニケーションを取りチームとして機能させることにフォーカスしてやってきた。FWのスクラム面などで優位に立てていたのを前面に出したかったが、エリア的に難しかった。あとは前半4トライを簡単に奪われた点などを次週に修正して臨みたい。1ポイント獲得したことだし、結果をネガティブにとらえることなくチームを立て直せる自信はある。

NECグリーロケッツ
ピーター・ラッセルヘッドコーチ
楽しい内容のゲームだったが、途中からはわれわれが近鉄の息を吹き返させてしまったことは残念だった。集中力が重要な試合であり、前半戦終了から4週間、田村優がチームを離れていたことも少し影響した。フェーズ、アタックに関しては素晴らしい内容であり、しっかりスペースを見つけてそこにアタックすることができていた。個人的には後藤などがしっかりとスペースを突いてトライを挙げられていたことが喜ばしいことだった。唯一反省すべき点はペナルティの数の部分、来週のヤマハ戦でこのようにペナルティを繰り返すことはできないのでしっかりと修正して行きたい。

瀧澤直キャプテン
大阪独特というか近鉄のファンが多い中にもしっかりとNECを応援してくださる方々もおられ、多くのファン、天候、芝の状態も素晴らしく、そんな中で最後までどちらが勝つかわからないようなファンの皆さんには楽しみなゲームができたと思う。内容的にはペナルティが多かった点が一番だが、やってきたことはしっかりやれたと思う。ただ修正すべき点は理解しているので、次に向かってポジティブに進めていきたい。まず一番は、本日100キャップを獲得した猪瀬選手に勝利をプレゼントすることができ嬉しい。

―ウィンドウマンスの期間中、特に今日良かったハンドリングなど何にフォーカスしてチームを修正したのか?
ラッセルヘッドコーチ
スキルに関しては常に意識してやってきたが、特にこの期間中は練習試合を2試合行って少しでも多くの選手に実戦の機会を与えた。またレギュラークラスの選手をリフレッシュさせることも行った。パス練習の回数も増やしたが、様々なゲーム形式の練習でスペースを見つけたり、パスの強度を身につけたりということを行ったので、その効果が出たのだと思う。近鉄が最後にあれだけ息を吹き返したことには敬意を表したいが、我々も次週のヤマハ戦に向けて課題を修正し臨んでいきたい。

―後半に入ってスクラムがとても修正できていたが?
瀧澤キャプテン
技術的には左に流れることが前半は多かったので、それをしっかり止めていこうとフロントロー3人で確認して対応した。その点はレフリーにも確認して見直した。次週対決するヤマハはトップリーグでも最もスクラムの強いチームの一つなので、そこにフォーカスして対応すべき1週間になるのは確実である。FWとして負けたくないという気持ちは強く持っているので1週間良い準備をして臨みたい。

(記事:石川 悟、丸井康充)

フォトギャラリー

■撮影者:KRPU 山口勝一