9月30日(土) 第6節 ヤマハ発動機 19-38 神戸製鋼

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トップリーグ2017-2018 第6節
ヤマハ発動機 VS. 神戸製鋼

神戸製鋼が攻守ともにヤマハ発動機を圧倒して快勝、開幕6連勝を飾る

2017年9月30日(土) 14:00キックオフ グラウンド:エコパスタジアム
ヤマハ発動機 神戸製鋼
19 FULL TIME 38
7 前半 21
12 後半 17
詳細
(TL公式)

マッチレポート

彼岸を過ぎ秋らしくなった9月30日、2年後のラグビーワールドカップの試合会場となる静岡県のエコパスタジアムで、ヤマハ発動機と神戸製鋼の試合が行われた。この日のスタジアムは試合以外でラグビーワールドカップのウェブ・エリス・カップの展示や場外イベントが開催され、スタジアムには6,419人のラグビーファンが集まった。
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ヤマハ発動機はホワイトカンファレンス2位だが、サントリー戦で惜敗した試合以外は安定した試合運びで、この試合は負けられないところ。またこの試合では元日本代表のマレ・サウがゲラード・ファンデンヒーファーに代わり左WTBで出場する。
一方のレッドカンファレンス神戸製鋼は、順位は2位だが首位サントリーと同じ開幕5連勝。しかし強豪との対決がまだなく今回のヤマハの対決が初めての上位チーム対決となる。トップリーグが発足して以来の過去17試合両者の試合成績は、ヤマハ7勝、神鋼9勝、引き分け1とほぼ互角であり、昨シーズンの4強同士の戦いが注目される。
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前半は、神鋼のキックオフにより試合が始まったが、神鋼の選手がキック前に飛び出してしまいオフサイドの反則。神鋼の試合に対する意気込みが感じられる。中盤まではヤマハ、神鋼が共にディフェンスがよくゴールまで進むことができない。
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試合は動いたのは22分、ヤマハSOマット・マッガーンのキックを敵陣10m付近で神鋼WTB林真太郎がキャッチし反撃、ラックから右に展開しWTB林がライン際でディフェンスを抜きSHアンドリュー・エリスにタイミングの良いリターンパス。アンドリューは走り込みゴール右中間に先制のトライ。SOイーリニコラスのゴールも成功し、0-7と神鋼がリードする。
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リードされたヤマハは前半28分、相手のキックパスをWTBマレ・サウが好捕。数人のディフェンスを抜きSH矢富勇毅にボールをつなぐ。矢富はライン際を好走し、ゴール前まで大きくゲイン。その後敵陣ゴール5m前のスクラムからWTBマレがディフェンスを突破、ラックからNo.8堀江翔太がフェンス陣を引きずりながらそのままゴール左中間にトライ。FB五郎丸歩のゴールも成功し、7-7と同点に追いつく。
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ヤマハはその後も攻撃を仕掛けるが、35分神鋼はヤマハのラックをターンオーバー、こぼれ球をSHエリスがディフェンスを抜き、HIAでSOニコラスと交代したWTBの正面健司へパス。今シーズン初登場の正面はゴールライン直前までライン際を好走、ラックから大きく左に展開し、最後はLO安井龍太がゴール真ん中に回り込んでトライ。CTB山中がゴールを決め7-14と再びリードする。
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さらに39分、自陣10m右側のヤマハのラインアウトのこぼれ球をHIAでエリスと交代したSH梁が敵陣深くキック、LO安江がボールを取りそこから左に展開。最後はWTB正面がディフェンスのインを突き左中間にトライ。ゴールも成功し7-21と点差を広げ前半が終了する。
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リードされたヤマハは、SOを大田尾竜彦に変更するなどメンバーを3人入替え、後半の巻き返しを図る。しかし5分、LOデューク・クリシュナンがスタンピングによるシンビンで退場し、後半開始早々出鼻をくじかれる。
神鋼はこのチャンスを見逃さず、その後のペナルティキックで得た敵陣ゴール10m前のラインアウトから左右に大きく展開。最後はキャプテンFL前川鐘平が右中間にトライ。ゴールも成功し7-28と点差をさらに広げる。
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これ以上点差を離されたくないヤマハは、9分五郎丸のハイパントをマレがキャッチし連続攻撃。最後はLO大戸裕矢が相手ディフェンスの隙間をついて右中間にトライ。五郎丸のゴールも成功し14-28と点差を引き戻す。さらに五郎丸のロングキック等で反撃を試みるが、神鋼の出足鋭いディフェンスや敵陣ゴール前のラインアウトでミスを重ねペースに乗れない。
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ようやくヤマハは27分、敵陣ラインアウトからの連続攻撃で、最後はSH矢富がラックから右WTBの伊東力にロングパスしゴール右隅にトライ。(ゴール失敗)19-28と点差を詰め寄る。
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しかし対する神鋼は31分、ハーフウェイライン付近で得たペナルティでCTB山中が敵陣ゴール5m付近まで大きくタッチキック。その後のラインアウトからの連続攻撃で最後はWTB正面が左中間にトライ。ゴールは失敗するも19-33と勝利を決定的にする。その後の残り時間はともにボーナスポイントを獲得するための激しい戦いが展開される。神鋼は試合終了の間際で得たペナルティでタッチキックを選択し攻撃を続ける。攻守が目まぐるしく変わる状況となったが、最後は神鋼LOアンドリース・ベッカーがゴール右隅にトライ。ゴール失敗するも19-38と神鋼が圧勝し、ボーナスポイントも含む勝ち点5を獲得した。

神戸製鋼は選手全員のディフェンス意識が高く、出足鋭いプレッシャーをかけヤマハの攻撃を封じ込め完勝。開幕からの好調を維持し開幕6連勝となった。この調子を維持しリーグ戦後半に臨みたいところである。
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一方のヤマハは神鋼の素早いディフェンスにペースもつかむこともできず、ラインアウトのミスも目立ち完敗、リーグ戦2敗目となった。次の試合で再度巻き返しを図りたいところである。
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この日のマン・オブ・ザ・マッチはこの試合で攻守に活躍し勝利に貢献した神戸製鋼CTB山中亮平選手が受賞した。

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(文責:静岡県ラグビーフットボール協会 神谷英志)

会見レポート

ヤマハ発動機ジュビロ
清宮克幸監督
今日は、ヤマハはまずい試合をして、神戸さんは体を張っていいプレーをしていた試合でした。過去にも同じような試合を神戸さんとヤマハは繰り返した歴史があるが、今回はあってはいけないと理解していたが、こういう試合をしてしまった。ヤマハの準備に関しては問題なく、今のヤマハを神戸さんが上回ったということです。彼らの素早い出足、強いタックル、ボールに絡む執念など見習わなくてはならないポイントだったと思います。

堀江恭祐キャプテン
今日の結果が自分たちの今の実力だと思います。まだ試合は続くので、今日の試合をきっかけに、反省してこれからまた成長したいと思います。

質疑応答
――入念に準備していたと思うが、相手が上回っていたことはあるか?
堀江キャプテン
前半、相手がキックでくると分かっていた中で、そこから攻めるというマインドを準備してきたが、前半攻めきれなかったです。相手の戦いたいように、(こちらが)攻められてしまったところが反省点です。

――ハーフタイムで厳しいコメント(前半は100点満点中5点の出来。後半は点を取りに行くように指示)があったが?
清宮監督
後半は、ハーフタイムで指示したことは良くなっている感じはしました。

――次につながるものがあったか?
清宮監督
初めて組んだメンバー編成でもあり、試合が初めてというフォーメーションはあまりよくないが、次にはつながるかなと思います。

――まずかった点、具体的には?
清宮監督
(ボールを持って前進する)ボールキャリアの選手に対して、神戸はしっかり対応して負けなかったので、(ヤマハは)出るはずのところを出なかったりして、ポジショニングも変わり、ペースをつかむことができなかったです。
ヤマハの慢心が、簡単なオプションを選択して、神戸さんのいいディフェンスを受けてしまった。工夫をすれば、ボールキャリアがスペースのあるところでボールをもらうことができるが、できないところが慢心だったと感じます。

――セットプレーのミスがヤマハらしくないと思ったが?
清宮監督
負ける時はいつもこうですね。大事なところで獲得したいボールが取れない。過去の反省を生かして次に向かっていきたいと思います。
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神戸製鋼コベルコスティーラーズ
ジム・マッケイ ヘッドコーチ
今日の結果に感謝しています。ヤマハさんが強いチームというのは理解していたし、リスペクトもしています。自分たちのやっているラグビーからレベルアップする必要があると理解して、結果、勝って終わることができて感謝しています。

前川鐘平キャプテン
一人一人が危機感を持って戦えたのが勝利につながったと思います。自分たちが想定していたゲームプラン通りに進めることができたし、自分たちの成長・自信を感じた試合でした。

質疑応答
――ディフェンスの部分は準備できていたようだが?
ジム・マッケイ ヘッドコーチ
ほとんどの場面で満足しています。ヤマハのアタックに対して、神戸としてはハードワークする必要があると理解していました。もう1点、規律を守るという部分も重要なパートのひとつでした。

――想定していたゲームプランとは?
前川キャプテン
キッキングゲームを想定していました。ヤマハさんはロングキックをしっかり蹴ってくる力があり、しっかりしたランナーがいるということで、神戸としてはディフェンスで、強いランナーに対してコンタクトできたところです。ロングキックで陣地を取らせなかったことが、ゲームプラン通りだったのかなと思います。

――密集での反応など、今季うまくいっている点は?
前川キャプテン
単純ですが、いい練習をしている点や、練習でもしっかりコミュニケーションを取っているところではないかと思います。今日でいうなら、ヤマハさんのターンオーバー行為に対しての反応が遅かったかなと試合の中で感じていたので、そこに対してしっかり仕掛けていこうと話しました。

――ベテラン(正面選手)の活躍の評価は?
ジム・マッケイヘッドコーチ
正面選手は経験豊富な選手ですし、今シーズンなかなか出場機会に恵まれていないが、練習でもいいパフォーマンスをしていたし、少ないチャンスで試合に出て、いいパフォーマンスをしていたので感謝しています。
神戸に関して、今日はセットプレーが機能していました。自分たちにも経験のあるフロントローがいるが、ヤマハさんにもいいフロントローがいて、フロントローのバトルでいい勝負をしていたし、ラインアウトも神戸の選手がいい動きができていたので、セットプレーで神戸はいいパフォーマンスをしていました。
もうひとつの(試合の)キーポイントで、ゲインラインのバトルでヤマハの勢いを止める必要がありました。今日の試合に関しては、ヤマハのメンタルをしっかり打ち消すことができ、自分たちの勢いもメンタルに変えることができたので、セットプレーとゲインラインのバトルに勝てたことが大きかったと思います。
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フォトギャラリー

撮影者:谷本結利