11月9日(日) IPU・環太平洋大学 vs 朝日大学

レフリー:東村 侑真(関西協会)
アシスタントレフリー:下田 紘朗(関西協会) / 元田 雄大(関西協会) / 城内 仁(関西協会)
| IPU・環太平洋大学 | 朝日大学 | |||
| 5 | FULL TIME | 31 | ||
| 0 | 前半 | 7 | ||
| 5 | 後半 | 24 | ||
詳細(PDF) |
||||
メンバー表(48時間前)
マッチレポート
11月9日、第62回全国大学ラグビーフットボール選手権大会東海・北陸・中国・四国地区代表決定戦が岡山美作ラグビー・サッカー場で行なわれた。
2年連続の大学選手権出場を目指す、中国・四国地区代表、地元IPU環太平洋大学(以下、IPU)と、今年東海リーグ1部に復帰してリーグを全勝で突破してきた東海・北陸地区代表、朝日大学(以下、朝日)の対戦。
時折雨がちらつくコンディションの中、13時、朝日10番SO斉藤拓海のキックでスタート。
キックでエリアの取り合いから始まったゲームは、朝日のペナルティーからIPUが朝日陣内でゲームを進める展開となった。6分、7分、8分と立て続けにトライライン(以下、TL)に迫ってのラインアウト(以下、LO)。2番HO中山俊介から7番FL石川智也や8番No.8アシュトン・テアウでキャッチ、そこからモールプッシュをかける。朝日はシンビン(反則の繰り返し)で一人少ない中、11番WTB日下優作の見事なタックル等で、TLを割らせない。IPUは11分にも11番WTBエズラ・パウロのラインブレークで再び朝日陣内に入り、16分、19分とLOモールやそのモールサイドをFWでアタックするが、TLを超える事が出来なかった。
朝日陣内でゲームは進んでいたが、20分、朝日が初めてIPU陣内に入る。このチャンスを朝日が得点に結びつける。22分、左TLから10mのLO、2番HO清水悠希のスローから4番LO渡邊佑斗がキャッチしてモールを押す。このモールプッシュをIPUが耐えきれず、2番清水が左中間にトライ。14番WTB細川アイセア健アコテウがゴールも決めて0-7と朝日が先制した。
しかし朝日はペナルティーが多く、ゲームは再びIPUペースとなり、終盤、35分、36分、ロスタイム42分、43分と、FWがLOモール、モールサイドをアタックするもTLを超えられない。ほぼゲームを支配していたIPUだったが最後はLOのノットストレート。無得点で0-7で前半が終了した。
後半、IPU10番SO前坂梨空ゲームキャプテンのキックでリスタート。
まず1分、朝日5番LOヒンガノ・ロロヘアがパワーで突破してIPU陣に入る。次はIPU。朝日陣右10mL付近のLOから左に展開、15番FBタイソン・パーソンズがラインブレークするかと思われたが、ポイントでノットリリースのペナルティー、朝日にボールを渡す。ここから朝日がペースを掴む。8分、IPU陣右TL10m付近の2度目のLO、そこからのモールを押し込んで8番No.8チアゴ カワゴエアリマキャプテンが右中間にトライ。14番細川がゴールを決めて0-14とした。
12分にも、13番CTBトゥガ・パレスフォーがラインブレークしてTLに迫り、フォローした12番CTB西田健士郎が中央にトライ、0-17と点差を広げた。(G不成功)
しかし直後の15分、IPUがようやく得点を挙げる。朝日陣右22mL付近のLO、ここでは左に展開、見事なバックスのアタックを見せる。9番SH鳥越由聖から10番前坂、12番CTB大塚忠宏、15番タイソン、11番エズラ、23番WTB土居昴太郎、そして最後は10番前坂が右隅にトライ。Gは不成功に終わるも5-17とした。
後半中盤はIPUがやや優勢にゲームを進め、22分、朝日陣右TL10mのLOから今度はモールを組まず2番中山の突進から8番アシュトンがTLに迫るもトライならず。
逆に27分、朝日がIPU陣右TL5mのLOからのモールを前半同様に押し込んで2番清水が右中間にトライして5-24と突き放した。(14番G成功)
30分を過ぎて、IPUが度々朝日のTLに迫る。敵陣でのLOから16番HO児島颯斗や8番アシュトンで突破を図るがトライを奪えないままノーサイドが近づいていく。
ロスタイム45分、IPUのアタックを凌いだ朝日は、15番FB山畑ユヌスが中央のこぼれ球をキックで持ち込みそのままIPUトライゾーンで押さえ込みトライ。14番細川のゴールも決まり、5-31と引き離した。最後は、IPUのペナルティーから朝日が蹴りだしてノーサイド。5-31で朝日が勝利し、大学選手権出場を決めた。
IPUは、前半ほぼゲームを支配していた。その時間帯に得点を奪えなかったのが痛かった。ここでリードを奪えばゲームの行方は判らなかった。来年度は得点力をアップして戻って来てくれる事を期待します。
一方、朝日は前半2回のシンビン、15回のペナルティーにも拘わらず、TL直前でよく耐え、1回のチャンスを取り切った事が大きかったが、ゲームを通じて、セットプレーを含めてフィジカルで勝っていた事が今日の試合の勝因だと思う。
中国・四国・東海・北陸代表として大学選手権での活躍を期待します。
会見レポート
IPU・環太平洋大学
小村淳 監督
朝日大学は、いろんな問題から立ち上がって、今回、東海リーグを制してきました。春から試合を見ていますが、我々が負けているチームに大勝していますので、今年の朝日は我々より上のチームだという認識で挑みました。 セットピースが課題で、どこまで通用するのかを考えて対策を練って、あと雨でのゲームプランで遂行したのですが、前半に朝日陣でゲームをしながらも切り崩せなかったのが敗因です。ただ選手は春から少しづつレベルアップして来たことを出し切ってくれました。本当に朝日大学はフィジカル、セットピースそれに2年間の思い、こういうところがこの結果につながったと思います。朝日大学にはおめでとうと伝えたいと思っています。
波平貫太 キャプテン
セットプレーで、FWを中心に対策を練ってきたのですが、実際に試合をしてみると想像以上に力の差があったと感じました。上手くできなかったところもありますがプラン通りにゲームを追行できたところもあり、特に4年生は自分たちのやってきたことを全員が出し切る形で終われてよかったと思います。 悔しい思いでいっぱいなのですが、今日の試合はIPUにとっての通過点です。来年はこの悔しさを糧に取り返してほしいと思います。 朝日大学さんはこれから九州、関西と強いチームとあたりますが、自信を持って戦ってほしいです、応援しています。
Q.セットプレーがどこまで通用するか、という話だったがモールについて前半と後半でどうであったか?
小村監督
前半はいくつかモールを組む場面があったのですが、なかなか壁が厚かったので、「後半はボールを動かしていこう、その中でチャンスがあればモールを使おう」と、また前半に相手がイエローカードをもらって1枚足りない状況でモールというオプションを選択しなかった場面があったので、状況に応じて判断するようにハーフタイムで伝えました。
Q.前半にイエローカードによる数的優位が2回あったが得点できなかった要因は?
波平キャプテン
優位がわかっている状況でも、そこに対して圧をかけきれなかったと思います、やはり朝日大学のフィジカルや動きが上だったと思います。 逆にシンビンの選手が戻ってきたときに相手を乗せてしまったところもあります。たらればになるのですが、あの状況で1~2本とれていれば結果は変わっていたのかなと思います。
小村監督
一枚減ってオーバーラップができていて、外に回せばというところでFWに固執してしまったり、ゲームのシュチエーションに応じたコミュニケーションの取り方なども含めてこれから改善していかなければならないと思います。
Q.後輩に向けて
波平キャプテン
IPUの強みはFWなので、相手の強さ、スピードという今日の体験を忘れずに、BKはシーズンを通してハンドリングスキルが上がってきているので、これを保持しつついい展開でゲームが運べるように、来年は勝って終われるように頑張ってほしいです。
Q.インゴールの広いグランドでまた雨コンデションでのゲームプランを具体的に?
小村監督
まず攻撃面では中盤辺りで攻めているところで、できるだけフェイズを作らないで、余裕をもってコンテストキック、テリトリーキックでキックチェイスでプレッシャーをかけていこう、そしておっしゃるっように、インゴールが広いので、セットピースが安定しておればスクラムからでも裏のスペースにキックしてチャンスを作ろう、というプランを立てました、逆にスクラムでプレッシャーを受けた場合は早く出しでサイドからフェイズを重ねるということも考えました。スクラムは7対3くらいで朝日大が有利だった中でもプラン通り遂行できたかなと思います。
朝日大学
吉川充 監督
初めての岡山で、いいグラウンドでしっかりとした運営をしていただいて素晴らしいゲームができました、本当にありがとうございます。
我々はいろんな問題があり2年間ここで戦うことができない時間がありました。その中でもキャプテンを中心に、堪え難きを堪えてここに戻ってくることができました。
私自身も初めて見る景色として真っ新な気持ちで学生たちが成長した姿を見ることができました。学生たちに感謝を伝えたいです。ありがとうございました。
チアゴ カワゴエアリマ キャプテン
2年間の先輩方の思いも引き継いで、全員が同じ気持ちでこのグランドに立ちました。そして監督の教えの下で、自分たちがこだわってきたことを、仲間を信じてやり続けたことで、前半の猛攻をデフェンスでしのぎ、最後は取り切ることができました。
これまでいろんな試練はありましたけど、下を向くことなく、副キャプテンの瀬良と一緒に4年生を中心にチーム全員が一丸となって勝利を収めることができてうれしいです。
Q.前半に2度シンビンを受けましたが堪え切れた要因は?
アリマキャプテン
規律を守りながらデフェンスをしていけば、仲間がボールを取り返してくれると信じて、一人が二人分動いてしのぐことができました。
Q.ハーフタイムの指示は?
吉川監督
前半は少しレフリングとかみ合わないところはあったのですが、準備したことは相手に効いていたと思っていましたので、「方向性は間違っていない」と話しました。またこういった舞台になれていなかったので、リラックスすするように話して、後半へ送り出しました。
Q.シーズンを通してチームとして成長したところは?
吉川監督
去年は東海のBリーグを戦わせていただたのですが、7試合中6試合が棄権と、試合ができないまま卒業したという残酷な経験を2年しました。そして次のシーズンにAリーグの7位からスタートして、早くチームを仕上げないといけない中で、練習や生活の中で階段を上るようにはいかない難しいシーズンでしたが、学生たちは少しのきっかけで変わるものだと今日のゲームを見て思いました。これからラグビーをしている人たちが夢見る舞台に立たせていただくので、皆と次の戦いを考えていきたいと思います。
Q.選手権に向けて
アリマキャプテン
今日の試合でも自分たちの足りないところがあったので、そこをチームで向き合って3回戦突破という目標に練習に励んでいきたいと思います。
Q.1年を通して体を当ててのフィジカルの部分の強化についてどのように?
吉川監督
最初からできる子たちだけではありませんので、フィジカルという価値をしっかり自覚させて、また元気な留学生もいますのでその子たちの力も借りながら、練習を積んできた成果だったと思います。














