12月17日(土) 大学選手権 慶應義塾大学 24-29 天理大学

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平成28年度 全国大学ラグビーフットボール選手権大会 準々決勝
慶應義塾大学 VS. 天理大学

2016年12月17日(土) 14:05キックオフ グラウンド:東大阪市花園ラグビー場 入場者数:9296人 天候:晴れ時々くもり/弱風
レフリー:松丸力(日本協会A2)
アシスタントレフリー:橋元教明(日本協会A1) / 関谷惇大(日本協会A2) / 船岡克広(関西協会)
慶應義塾大学 天理大学
24 FULL TIME 29
7 前半 19
17 後半 10
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マッチレポート

第53回全国大学ラグビーフットボール選手権大会準々決勝2試合は、3回戦で流通経済大学(関東リーグ戦2位)と熱戦を演じ引き分け、抽選で準々決勝出場権を手にした慶應義塾大学(関東対抗戦4位)と関西大学Aリーグで優勝したシードDの天理大学との対戦となった。

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前半、慶應のキックオフで試合が開始される。先取したのは天理、3分にHLラインアウト右隅モールから右LO澤井未倫、左PR山口知貴、SH藤原恵太とつなぎ、最後は俊足の右WTB久保直人に渡り右隅にトライ。0-5と幸先良く先制。

続く6分にも22mL左中間ラックからの右展開。右FLフィリモニ・コロイブニラギが慶應のディフェンスのギャップを抜け中央にトライ、SO後藤大輔のGも決まり0-12とリードを拡げる。

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慶應はこの後、持ち味の低いタックルで天理の攻撃を食い止め得点を許さない。前半の終盤に差し掛かると、34分22mL左中間ラックから左ショートサイドにSH中鉢敦がライン際を抜け左隅にトライ。難しい位置からのGをSO古田京が着実に決め7-12と詰める。

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しかし、天理は前半終盤間際ゴール前で執拗にスクラム攻撃を仕掛ける。前半終了のホーンが鳴った後、ゴール前5m左中間スクラムからスクラムの後ろにポジショニングしていたFBジャシュア・ケレビにつなぎ左中間にトライ。GもSO後藤が決め前半を7-19で折り返す。

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後半、先取したのは慶應。天理のタックルが緩んだのを見逃さず4分22mL中央から左LO佐藤大樹が抜けゴール前5m左中間ラックから右に展開、最後はSO古田がタックルを受けながらも右中間にトライ・ゴールを返し14-19とワントライ差に肉薄する。

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慶應はさらに、7分22mL左中間ラックからショートサイドの左FL廣川翔也に回すと、廣川はうまくディフェンスのギャップを突き左隅にトライ。19-19の同点に追いつき、勝敗の行方はわからなくなった。

攻めきれない天理は、慶應のスクラムでの反則からゴール前ラインアウトに。ラインアウトからモールを押しそのままインゴールまで持ち込むが惜しくもヘルドインゴール。14分、与えられたゴール前5m左中間スクラムから、№8中野真仁が右サイドに廻りトライ。19-24と再びリードする。

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天理は慶應ゴール前まで攻め込むがなかなか攻めきれない中、慶應のタッチキックがノータッチとなるとHL左からすばやく展開。右WTB久保がゴール前10mまで持ち込み左に回すと待ち構えていたFBケレビがタックルを外して、19分左中間にトライ。19-29と点差を拡げる。

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この後、慶應と天理の間でキックの応酬があり、互いに譲らず刻々と時間は過ぎていく。最後まであきらめない慶應は低いタックルとスクラムで天理の焦りを誘い、ようやく36分ゴール前10m右中間スクラムから左展開、フェイズを重ねて最後は左WTB小原錫満が左隅にトライを奪い24-29と迫る。慶應に逆転の時間もまだ残っていたが、天理がポイント近くでのFW戦を挑み、うまく時間を「消費」。ノーサイドとなった。

関西リーグチャンピオンの天理大学は自らのミスも多く苦しんだが4年ぶりに準決勝進出に駒を進めた。正月2日に前年度チャンピオンの帝京大学に挑む。

(広報担当:山林右二、丸井康充)

会見ダイジェスト

慶應義塾大学
金沢篤ヘッドコーチ

今日の試合は、先週からの反省で低いタックルをしようというのが一番大きなポイント。チャレンジャーとして、試合の最初に流れを掴むことができず、天理大学にやられてしまった。選手たちは力いっぱいよくやってくれたが、追いつかなかったと感じている。結果としては残念だが、慶應らしいラグビーを見せてくれたと思う。

鈴木達哉キャプテン
序盤の2トライが響いてしまった。試合の入りの部分は自分の責任。全体的にはフォーカスしていた低いタックルで、慶應らしいラグビーができ、関西の王者の天理大学に戦えたのかなと思っている。勝てなかったところに悔いはあるが、全力を出し切ったと思っている。

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――事前に準備したことが技術的な面で上手くいかなかった理由は?
金沢HC
技術的なところはなかなか難しいが、序盤に限らずキックのマネージメントでは天理大学のSOにコントロールされてしまった。序盤に限らずキックをカウンターされるなど、スキルのところで天理大学のパフォーマンスが思った以上に良かった。

――蹴りあいが多かったのですが、ポゼッションとテリトリーについて、当初のプランと実際はどのような評価か?
金沢HC
前半は風下だったので、ずっと風下でいたかったが、途中で風向きが変わった。後半はもう少し上手く風を使いたかったが、それ以上に風が吹かなかったので、蹴りあいで負けてしまった。途中からラインの裏に蹴るプランはあったが、そこまで持っていけずに最後までやられてしまったのかと思う。

――19-24のノータッチから、カウンターされたが、正解とすればタッチキックだったのでは。
金沢HC
実はその前にもミスがあった。選手はキックで22mの外にラックがあると思ったようだが、着実にタッチを出せないことが2度あった。

――スクラムが、慶應の思うように進めなかったようだが、天理のイメージとは異なったのか?
鈴木達哉キャプテン
オーソドックスにまっすぐ組んでくると研究していて、私たちもしっかり低くスクラムを組み優位に立つ場面もあったが、天理大学のプレッシャーは思っていた以上にあった。

天理大学
小松節夫監督

本日は恥ずかしい試合をしてしまいました。慶應義塾の低いスクラム、タックルに思うような試合運びが出来なかった。しかし何とか逃げ切り、準決勝に進むことができたが、もう一度しっかり練習をやりなおしていきたい。

山口知貴キャプテン
私個人としてまたチームとして気負わずに、関東とか慶應義塾とかにこだわらず自分たちのラグビーをしっかりしようということを心がけて試合に臨んだ。慶應さんもひたむきな部分とフォワード戦で試合に臨んだ。
慶應さんの良い直向さにやられたところもあるし、やったりしたところもスクラムではあった。勝ったということはうれしいが、今日の試合内容では、帝京大学には厳しい試合になるので、あと残り2週間ひたむきな練習をして、良い準備をして臨みたいと思う。

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――いつもと違う硬さとかは感じられましたか?
小松監督
中盤のキックの応酬の場面で、互いにエリアを取ろうとしたので、ボールが動かなかったところで、相手のミスに対し、ラインアウトでミスを犯すなど、セットプレーでミスを犯しペースが掴めなかったところが、今日のゲーム展開になったところかなと思う。また、モールが停滞し、中盤のライアウトからの展開ができずリズムが掴めなかった。

――関西ではスクラムは優位であったが、大学選手権ではスクラムはどうだったか?
山口キャプテン
慶應さんは他のチームとは異なった組み方をしてきて、前半の途中から対応ができて、対応すれば我々の方が上だと思っていた。ヒットの瞬間で決まるような感じで、そこさえクリアすれば、勝てるスクラムであった。関西ではないスクラムの強さであった。

――準決勝の相手は4年前に悔しい思いをした帝京大学ですが、残り2週間に具体的にやっておきたい点や意気込みをお願いします。
小松キャプテン
今日の試合で甘いディフェンスから点をとられたので、強みであるスクラムやモールをもう一度組みなおして、もう一段上のレベルを目指して、帝京大学は強いので、折れない気持ちを作っていきたい。

――蹴りあいについては、お付き合いしたのか?
小松監督
いいえ、我々も慶應さんのエリアに入りたかったので、我々のエリアの取り方はあのような感じかと思う。

――苦しい試合の中で良いプレーがあったということですが、具体的にどのようなプレーでしょうか?
小松監督
スクラムに関しては途中から修正して組めたし、モールに関しても中盤から押すことができた。今年やってきたことは出せたのかと思う。

――試合が2週間空くが、コンディションを保つことは難しいですか?
小松監督
空いたからどうのということはない。

(記事:山林右二、丸井康充)

フォトギャラリー

■撮影者:KRPU 林美菜子

■撮影者:KRPU 渡辺隆夫

■撮影者:KRPU 小巻真司