ジャパンラグビー トップリーグ2013-2014

 


ワイルドカードトーナメント 1回戦 マッチ・会見サマリー
(近鉄花園ラグビー場)

2月1日(土) 14:05Kick Off

18 -  0
28 -  0
ヤマハ発動機ジュビロ
46
豊田自動織機シャトルズ
0


◎ ヤマハ発動機ジュビロ vs 豊田自動織機シャトルズ マッチ・サマリー

  第51回日本ラグビーフットボール選手権大会出場をかけたワールドカードトーナメント。ジャパンラグビートップリーグ2013-2014/2ndステージ・グループA5位と惜しくもプレーオフトーナメント進出を逃したヤマハ発動機と、辛くも入替戦を逃れたグループB4位の豊田自動織機との戦い。ワイルドカードトーナメントの中でも最も順位差の大きい当カードは1stステージでも対戦がなく、2010-2011以来の対戦。3年前は34-33と1点差でヤマハ発動機が勝利をおさめているが、3年ぶりにトップリーグに復帰した豊田自動織機が意地を見せ、ヤマハ発動機相手にどこまで食い下がることができるかが試合の見所であった。

  先制したのはヤマハ発動機。前半8分に豊田自動織機のオフサイドで得たゴール前30m右中間のPGをFB15番五郎丸が慎重に決めた(3-0)。さらにその直後の10分、今度はゴール前10m中央のPGを再びFB15番五郎丸が容易に決めて加点した(6-0)。一方の豊田自動織機は14分にヤマハ発動機のオブストラクションで得たハーフウェイライン付近中央のペナルティからSO10番大西が果敢にPGを狙うが、惜しくもゴールポストに届かず追い上げる機会を逸した。その後、ヤマハ発動機は20分にゴール前5m右ラインアウトからモールを押し込み、最後はHO2番日野が押さえてこの試合初のトライを挙げる(11-0)。さらに34分には自陣22メートルライン付近でCTB13番宮澤が豊田自動織機ボールをインターセプトして長駆50m近くを独走、最後はフォローしたCTB12番サウが中央に押さえ、18-0とヤマハ発動機がリードして前半を終えた。前半は豊田自動織機のFWが善戦して接点では互角に対応するが、ヤマハ発動機の強固なディフェンスラインがゲインを許さず、豊田自動織機BKも攻め手を欠く展開であった。

  後半に入ってもヤマハ発動機のペースは衰えず、9分と21分にラインアウトからのサインプレイとスクラムトライでFWが連続してトライを奪う(32-0)。善戦していた豊田自動織機のFWも疲れのためか次第にゴール前にくぎ付けとなり、18分と34分に右FL7番韋と右PR23番川崎が共に苦し紛れの『反則の繰り返し』でシンビンを受ける。人数的に優位に立ったヤマハ発動機が25分、35分に今度はBKで連続トライを挙げ、最終的に46-0と一方的に豊田自動織機を完封した。

  この試合でシーズンを終えた豊田自動織機は攻撃時の決め手を欠き、ヤマハ発動機の防御の前に得点のチャンスさえ得られずに完敗した。ワイルドカードトーナメント2回戦に進出するヤマハ発動機は多彩な攻撃から6Tと自在に得点したが、今後上位チームとの対戦でディフェンスが崩された際にどのように対処するかが課題となる。2ndステージでは得失点差で失点が上回っているが、本日のゲームのようにディフェンスシステムを整備する事ができれば、元来どこからでも得点する力のあるチームだけに日本選手権に向けても大いに期待が持てる。




◎ 会見サマリー

【豊田自動織機シャトルズ 田村誠 監督】
1年間ありがとうございました、最後はスコアが開いてしまい、またシンビンも2人出て雑な試合になって申し訳ない。ただ選手が一所懸命に頑張った結果だ。入替戦に勝ってトップリーグに昇格してある意味で初年度みたいなもので、またシステムも変わって上位グループに入れなくて、下位で2位が見え隠れするが確保できなかった。しかし、ワイルドカードへ進出できるほど成長した、トップ4に入りかけているヤマハさんと戦ってまだまだ力の差がある、セットプレーを含めてそういう所から鍛えなおす課題が見えた、負けて満足なわけはないが成長が実感できたシーズンだった。

【豊田自動織機シャトルズ 神谷享志キャプテン】
今日の試合はセットプレー、特にスクラムや1対1のフィジカルなところで後手に回ってしまった。チームとしてセカンドステージで4連勝して初のワイルドカードに出場できて成長した、ヤマハ戦のこの悔しさを糧に来年がんばっていきたい。

(試合中に良い場面もあったが取りきれなかったのは?)

神谷:FWで行きたいところやBKで行きたいところのコミュニケーションがとれなかった、FWにこだわって行ってもいいところでミスしてターンオーバーされた場面があった。

(1年間で成長したところは?)

田村:会社の理解もあり戦力補強していただいた、新しく入ってきた選手との相乗効果で1対1の局面でも頑張れるようになった。逆に今日のヤマハさんのように1対1で劣勢になるとチャンスのところでのブレイクダウンで弱さがある、しっかりボールを出すことの精度を高めて隙のないプレーをしなければと思う。



【ヤマハ発動機ジュビロ 清宮克幸監督】
厳しい試合になると思って準備をしてきた、点差は開いたけど織機さんのリーグ戦の戦いをみるとポテンシャルが高い、自分たちが勝っているところを前面に押し出して戦おうということで、今日は選手がよくやってくれた。

【ヤマハ発動機ジュビロ 三村勇飛丸キャプテン】
相手がどこであろうと関係なく今までやってきたことを出し切るつもりでのぞんだ、課題はあるものの、セットプレーで自分たちのリズムがつくれて勝ち切れた、次のNEC戦に向けて準備していく。

(自分たちの勝っている部分とは?)

清宮:自分たちのスタイルで戦うことが今年のテーマだった。勝っている部分で得点につなげるかどうか、スクラムで勝って、PKでゴール前でのモールで取ったというような強みが点につながった。後半に入って好き勝手にやりだして追加得点できない場面がありここは反省すべき点、それ以外は良かった。

(後半最初のトライはラインアウトからのサインプレーだと思うが相手はモールを警戒してくると予想していたのか?)

三村:前半のディフェンスで相手が刺さってくるのがわかっていたのでそれは準備していた。

(あと一つ勝てば早稲田との対戦になるが?)

清宮:早稲田の後藤監督からも「ヤマハとやりたい」と言われている、彼はヤマハのキャプテンだったし、いろんな絡みがあって日本選手権を盛り上げてもらえればと思う。

(矢富選手は504日ぶりの先発出場だったが出来は?)

清宮:ここまで「先発で使ってもいいかな」という状態もあったが ふんぎりがつかず、ゲームを作る選手と動かす選手ということで後半に使っていたが、負けたら終わりという試合の中でヤマハの強みを考えた時に、彼が先発しないとトーナメントは勝ちあがれないと思い今回スタートに使った。最初のトライは彼のターンオーバーから大きくゲインを切ったことによるもの、トーナメントは前半負けて折り返すとプレッシャーになるので先にリードを保つということで良かったと思う。またキャプテンも復帰してくれたのも明るい材料で大事な存在、これから前向きに戦えるのではないかと思う。

三村:僕が言うまでもなく素晴らしい選手、副将としてグランドで頼りになる選手でリーダーとして二人で声をだしてやっていた。




[敬称略]

(記事:蜷川善夫、石川悟、北畑幸二 写真:小巻真司 広報担当:村島博)