ジャパンラグビー トップリーグ2013-2014

 


2ndステージ 第6節 グループA マッチ・会見サマリー
(ヤマハスタジアム)

1月11日(土) 13:00Kick Off

10 - 17
 5 - 12
ヤマハ発動機ジュビロ
15
東芝ブレイブルーパス
29

“プレーオフ進出をかけた戦いは、東芝が1stステージ敗戦の雪辱を晴らす”


◎ ヤマハ発動機ジュビロ vs 東芝ブレイブルーパス マッチ・サマリー

  1月11日、快晴のヤマハスタジアムで、ヤマハ発動機と東芝との対戦が行われた。ヤマハのホームゲーム最終戦であり、スタジアムには4,500人のラグビーファンが集まった。グループA3位のヤマハは前節トヨタに大敗し、一方の5位東芝はサントリーに惜敗。残り2試合互いに上位チームとの戦いが続く両チームにとって、プレーオフ進出のためには負けることのできない重要な一戦となった。

  試合は開始直後から動く。ヤマハのキック・オフのボールをキャッチした東芝は、SO⑩吉田良平がヤマハディフェンス裏へキック。WTB⑪で宇薄岳央がキャッチし、そのままゴール中央に走り込んでトライ。SH⑨小川高廣のゴールも難なく決まり、わずか開始1分で東芝が7-0で先制する。ヤマハにとっては、前節からの悪い流れを引きずるかのような最悪のスタートとなってしまった。少しでも早く反撃したいヤマハは前半6分、FB⑮五郎丸歩が22mライン中央からのペナルティーゴールを成功させるが、東芝も15分にSH⑨小川高廣が22mライン左中間からのペナルティーゴールを決め、点差は縮まらない。しかし28分、ヤマハは相手ペナルティから得たタッチキックでゴール前5mまで前進。ラインアウトからのモールでゴールラインまで迫ると東芝はたまらず反則。そこでヤマハはスクラムを選択し、No.8⑧堀江恭佑がスクラム右サイドを突き、ゴールポスト右にトライ。FB⑮五郎丸のゴールも成功し、10-10の同点に追いつく。風上に立つヤマハはキックで攻撃を優位に進めるが、37分ヤマハCTB⑫マレ・サウがレイトタックルによる危険なプレーでイエローカードを受け一時退場すると形勢が逆転。ペナルティを得た東芝は、キックでゴール前10mまでゲイン。ラインアウトからのモールから左に展開し、CTB⑫仙波智裕がゴール左隅にトライ。左端の難しいゴールをSH⑨小川が決め、17-10で東芝リードで前半が終了する。

  後半は開始から7分まではヤマハが一人少ない状態であったが、ヤマハは選手入替でFWを一人少なくしBK布陣を固め東芝の攻撃を抑える。しかし、15人に態勢が戻った直後の10分、東芝はペナルティで得たラインアウトからモールを押し込み、HO②湯原祐希がサイド攻撃でゴール左中間にトライ。ゴールも成功し、東芝が24-10と点差を拡げる。ヤマハはSHを⑨小池善行から21矢富勇毅に入れ替え、試合の流れを変えようと試みるが、ノックオン、パスミスなどのイージーミスにより得点を挙げることができないまま時間が過ぎる。そして東芝は、33分スクラムからの連続攻撃で最後はCTB22デイビット・ヒルが右中間にトライ。ゴールは失敗するが29-10と試合を決定的にする。残り時間の少ないヤマハは、再三攻撃を仕掛けるが、ゴール前の2対1の決定的な場面でパスミスをしてしまい得点を逃す。ようやく38分WTB⑪徐吉嶺が左中間にトライ(ゴール失敗)するが、万事休す。試合終了のホーンが鳴り、東芝が29-15でヤマハに勝利した。

  試合は、東芝が終始ミスのない安定したプレーで、第1ステージ敗戦の雪辱を晴らす勝利。4トライのボーナスポイントも含め勝点5を獲得、総勝点21でAリーグ3位に浮上し、プレーオフ進出に大きく前進した。一方のヤマハは、前節同様ミスが目立つ試合となり、勝点を獲得できずAリーグ5位に転落、自力でプレーオフ進出することができなくなった。また、後半キャプテンFL⑦三村勇飛丸が負傷退場するなど、リーグ最終戦に不安を残す結果となった。この日のマン・オブ・ザ・マッチは、再三の突進で東芝の勝利に貢献した、東芝FL⑦スティーブン・ベイツが受賞した。




◎ 会見サマリー

【ヤマハ発動機ジュビロ 清宮監督】
ホーム最終戦で、ふがいない内容・結果に終わってしまったことが残念だ。今日の試合は自分自身も楽しみしていて、自分たちの力でプレーオフへと意気込んでいた試合だった。内容的には東芝の準備してきたことを試合開始直後からやられてしまった。ヤマハとしては出来の悪い試合であったのは事実。こんな状態で東芝よりスコアが上回っていたら困ったもの。負けるべくして負けたということだ。

【ヤマハ発動機ジュビロ 矢富副キャプテン】
最後のホームでの試合ということで、全員でしっかりしたプレーをして勝利しようと臨んだ。その結果ふがいない試合内容になってしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだ。まだ幸いトップ4に残る道があり、先週のトヨタ戦の敗戦を糧に調整して臨んだが、ご覧のとおりなので、しっかりこの2戦を反省して、自分たちがトップ4にチャレンジするに値するかどうか来週の試合でしっかり見せたいと思う。

(プレーオフ進出へ向けて最終節へ一番修正したい部分はどこか?)

清宮:アタックもディフェンスも前に出る勢いを失っていて守りに入っているチームの雰囲気がある。勝っている試合はもっとアグレッシブに前に出ていったと思うので、そのあたりを来週は一週間準備してやっていきたいと思う。



【東芝ブレイブルーパス 和田監督】
本日は多くの方に来場していただき、寒い中ありがとうございました。試合は私たちがファーストステージで負けていることもあり、ここ何試合か結果が出ていない中で、「私たちのラグビーは何か」と考え1週間準備してきた。試合は当初ペナルティが多かったが、選手一人ひとりが1対1の部分でプライドを持って戦ってくれた結果がこういうふうになったのかなと思う。ペナルティが多いことも含めて修正するところは修正して、次の神戸に対して向かっていきたいし、準備していきたいと思う。

【東芝ブレイブルーパス 望月キャプテン】
本日はありがとうございました。我々はやることは決まっていて、勝つしかないので小細工なしでひとつひとつのプレーを、今までやってきたことを信じてやりきろうということだけを考えて今週一週間準備してきた。その結果、今日の試合は東芝らしいいい試合ができたのではないかと思うが、監督もおっしゃったようにペナルティが非常に多かったので、まだまだ修正することがある。そのところをしっかり修正して自分たちのラグビーを信じてやりきるために、もうワンランクレベルを上げて次の神戸戦を迎えたいと思う。

(デイビット・ヒル選手をリザーブにして吉田選手を先発にしたのはチームの事情か?)

和田:戦術です。縦に強いプレーヤーですから。先ほど言ったコンタクト、1対1部分で前半から取りにいきたかったということです。

(先ほど「私たちのラグビーをもう1回」という発言があったが、具体的にどういうところにフォーカスしてきたか?)

和田:ラグビーというコンタクトスポーツは、接点、相手とぶつかり合う攻撃の取り合いだと思うので、そこに対して相手を倒すことができるか、逆に倒されてしまうのか、そういう部分で、ファーストステージでは我々はほとんどのブレイクで負けていた。私たちが体をぶつける、接点で動かすラグビー、そういうところにフォーカスした1週間だった。

(まだまだレベルアップしなくてはいけないけれども、今日の時点で結果も出たということか?)

和田:結果として4トライ取れたことは評価しているし、途中の流れの中でいい“継続”ができたと思う。ただフィニッシュできなかったところもあるので、そこは修正すべき点だ。

(今日はある程度ヤマハのことを分析して外のディフェンスなどをしっかりやれたということか?)

和田:マレサウだけに特化したわけではないが、いかにタックルして相手を倒して他の者でディフェンスラインをどうするか繰り返し練習してきた。結果トライされたが、FWのピックのところ、BKのラインブレイクのところ、選手が対ヤマハということではなく、東芝のディフェンスをやったということだ。

(4トライ取ったのはどうですか?)

望月:もちろんまず勝つのが大前提だが、自分たちが今の流れであればトライを取れるだろうという空気を感じながら、PGを狙うところは狙って、トライを取りにいくところは取りにいくという、周りの選手を含めてそのあたりの統一は試合の中でできていた。チーム自体レベルアップしている証拠であると感じた。

(精神的な部分で、パナソニックとサントリーに2試合続けて惜しい試合を落として、それがチームの発奮材料となったのか、それともマイナス材料になったのか?)

和田:マイナスとは考えてないが、2試合とも勝てた試合だったと思う。ただ、負けた要因はいくつもあった。パナソニックに2点差、サントリーに1点差でこれに勝つためにはそれぞれ3点・2点取らなければならない。そこをどう取るのか、どうしたら取られないのかをチームとして考えるきっかけになった敗戦ではあった。そういう意味では発奮材料。トップ4に対して負けられない試合というのがあったから、東芝のラグビーは何なのかと、どこで勝負するかと。今日の試合は、先週から理解してやった結果だ。ただヤマハ戦が終わっただけだし、次勝たなければ何の意味も無いと思っている。

(前半終了間際の勝ち越しトライはちょうど相手が1人減ったところで、位置としては小川選手に狙わせてもいい位置であったが、あのあたりの判断は?)

望月:当初のペナルティを取ったときは狙おうと思ったが、1人減っているしトライを取りにいくと切り替えてもう一度FWでと判断した。元々試合自体狙うところは狙う、FWの強みを出せるところは出すというゲームプランだったし、あの状況の中で相手は14人なのでトライを選択した。

(次週、神戸戦に向けた意気込みをお願いします。)

和田:ひとつひとつの積み重ねだと思う。今日、私たちは東芝のラグビーというこだわりをもって戦ったが、神戸に対して同じことができるか。一貫性を持ったプレー、一貫性を持った精神。これをもって臨みたい。

望月:自分たちがやることは変わらない。神戸の対策はもちろんするが、自分たちのラグビーをどれだけやり切れるかだと思う。そこのところを一週間準備したいと思う。




[敬称略]

(広報担当:石垣俊幸)