関西大学Aリーグ

 


2013関西大学Aリーグ “シーズンを振り返って”

関西ラグビーフットボール協会
大学委員長 高見澤篤 


 平成25(2013)年度の関西大学リーグ戦Aリーグは、9月29日から11月30日まで、7試合のリーグ戦として行われ、立命館大学が優勝した。

 例年よりも日程を1週間繰り上げ、9月29日、京都の宝が池公園球技場と大阪の鶴見緑地球技場とに分散して開幕した。当日の天気は快晴で宝が池はほぼ満員の来場者で一杯になった。しかし、この日の両グラウンドの結果は、多くのラグビーファンの予想を超えるものであった。鶴見緑地では、Bリーグから昇格した関西大学がよく整備されたディフェンスで近畿大学を破り、第2試合では4連覇をめざした天理大学が大阪体育大学に敗れた。宝が池では、戦力充実と事前の評価が高かった関西学院大学が京都産業大学に次々とディフェンスラインを突破され逆転負けした。第2試合で対戦した立命館大学と同志社大学は、前半を終えて21-21。後半に入り、立命館大学が攻め続けて、40-26で勝利した。この日、前年度の上位4校のうち、立命館大学を除く3校が黒星スタートとなった。

 シーズン前半、京都産業大学と立命館大学の2校は勝ち続け、10月27日、第4節で全勝対決となった。この日の会場、鶴見緑地は第1試合の同志社大学対関西学院大学の段階から観客があふれ、試合に出ない部員たちは競技場内の石段から応援するという事態となった。同志社大学は1敗を守り、立命館大学は前半を24-0と堅実な試合運びで勝利した。しかし、11月9日、第5節で立命館大学はそれまでに2敗を喫している関西学院大学に敗れている。関西学院大学の徹底した低いラックに先手を取られ、スピードについていくことができずに大量失点となり、終盤に反撃したが38-35でノーサイド、関西学院大学が意地を見せた勝利であった。

 ここからリーグ戦は混戦状態となり、最終戦の天理大学対立命館大学の試合までに順位が決まったのは3校のみで、最終戦によって5校の順位が決まるという珍しい事態となった。

 11月30日、花園ラグビー場で行われた最終戦は、立命館大学が最後まで集中力を切らさずに攻守にわたって前へ出て、天理大学留学生選手の突破も最小限にとどめて勝利した。立命館大学は12年ぶり3回目の優勝となった。

 リーグ戦全体を通じて、勝負の分かれ目はフィジカルとディフェンスの充実にあったといえよう。立命館大学は春からこの2点の充実ぶりが目立ち、そのまま秋のリーグ戦を優勝で終えている。次年度からは、各大学がこの2点をいっそう整備しつつ、ソフトウエアの優秀さとメンタルの強さで勝負することを期待したい。これは関東の大学に勝つためにも必要であり、また、リーグ戦が、ワクワクでドキドキのプレーの連続となり、観戦する人たちの満足度も必ず向上する。

 今シーズンは、前年度の反省からリーグ戦の連続試合開催を3週連続までとし(前年度は6週連続)、学生のコンディションに配慮した。しかし競技施設の不足はいかんともしがたく、日程を優先したことから地元校同士が他府県で試合するなど、地元ファンや選手のクラスメイトから応援の機会を奪ったのではないかとの批判を受けるような事態も起きていた。

 また、関西協会の独自の取り組みとして、レフリングの向上に資する目的で、大学Aリーグにレフリングの検証制度を試験的に取り入れた。これは、レフリングに疑問がある場合に2日以内に映像を添えて文書で申請し、それをレフリー委員会で事後的にチェックし回答する制度である。選手もレフリーもこの制度にとらわれることなく、のびのびとプレーしたシーズンであったが、複数の申請があり、検証結果は適切に回答されている。

 今シーズンのもう一つの収穫は観客数の回復に向けての新しい取り組みである。梅田の地下街に大型の大学Aリーグの開幕告知看板を掲出するなど、試合開催告知やチーム紹介の手法を見直した。各チーム関係者の努力も顕著であった。それぞれの大学が低年齢層への指導やスポーツ企画への支援、複数大学による共同の小中学生指導企画を行い、また、女子マネージャーによる広報活動などにより、頻繁にリーグ関連の情報が報道機関に取り上げられ話題になった。天候にも恵まれ、さまざまな取り組みの甲斐もあって、今シーズンは、この数年続いた入場者の低迷傾向を逆転させることのできたシーズンでもあった。

 次年度は、このような流れを受けて、更に一層、魅力ある関西の大学ラグビーを披露できるようにしていきたい。