1月25日(日) ワイルドカードトーナメント キヤノン 10−14 NEC

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1月25日(日) ワイルドカードトーナメント キヤノン 対 NEC

2015年1月25日(日) 12:00キックオフ グラウンド:近鉄花園ラグビー場
レフリー:松岡辰也 (日本協会A1)
アシスタントレフリー:加藤真也 / 橋元教明 / 立川誠道
キヤノン
イーグルス
NEC
グリーンロケッツ
10 FULL TIME 14
 0 前半 11
10 後半 3
詳細(TL公式)

◎レポート
第52回日本ラグビーフットボール選手権大会への出場権を賭けたワイルドカードトーナメント1回戦。セカンドステージは強豪揃いのグループAでなかなか白星が挙げられず7位に終わったキヤノンイーグルスとグループBでリコーに次いで2位のNECグリーンロケッツの戦い。今季はファーストステージでも対戦がなく、昨シーズンのセカンドステージでは接戦の末にキヤノンが逃げ切っている。これまでもトーナメント戦では力を発揮するチャレンジャーのNEC、昨年のワイルドカードトーナメント2回戦でヤマハ発動機に1点差で敗れ、惜しくも日本選手権出場を逃しておりその雪辱に燃えている。負ければ自動的にシーズン終了となる両チームにとっての重要な一戦は、キヤノンSOカラム・ブルースの冬空へのキックオフで開始された。

そのブルースのキックオフのボールをキャッチしてモールを形成したNECは、いきなり自陣10mL付近からSH茂野海人がモールサイドを突き、キックしたボールを自らキヤノンゴールに押さえる。ここは寸前のノーボールタックルで得点には至らなかったが、挑戦者らしいNECの果敢な攻撃はこのゲームの行方を予感させる。

その後もNECがキヤノン陣で攻撃を繰り返すがなかなか得点できない。ようやくNECは前半8分、14分にいずれもキヤノン陣、比較的容易な位置からのPGをCTB田村優が難なく決めて、0-6とリードした。さらにNECは20分、ゴール直前左端のラックからショートサイドをHO臼井陽亮が突き、TMO判定の末のトライ。0-11とリードを拡げる。その後も大部分NECがボールを支配し、キヤノン陣で攻撃を繰り返す。時折キヤノンも反撃を仕掛けるが、肝心なところでミスや反則を繰り返し、ことごとく得点の機会を逸して前半を終えた。

後半に入ってようやくキヤノンもNECゴールに迫るが、NECディフェンス陣の強烈なタックルに阻まれてゴールを割れない。13分にキヤノンはゴール直前ポスト右のラックから左に展開し、最後はFBマイケル・ボンドが力強いランでNECディフェンスを振り切って左隅にトライ、5-11とする。しかしその後もNECに主導権を握られ、逆に22分にゴール正面20m地点で犯したオフサイドからNEC田村にPGを決められ5-14。

その後もキヤノンはFWのサイド攻撃を中心に執拗にNECゴールに迫り、終了直前の39分にブルースが左中間にトライを挙げるが時すでに遅く、10-14とNECが逃げ切って、3年連続でワイルドカードトーナメント2回戦進出を決めた。トップリーグ昇格後3年で2度目のワイルドカードトーナメント出場となったキヤノンは前半の反則8で自滅した形。終始ペースを掴めないまま効果的に得点することができなかった。一方のNECはトーナメント戦では底力を発揮する定評のあるチーム。伝統の『ミラクル』の再現に向けて、2回戦はさらに好ゲームを期待したい。

(会見ダイジェスト)
キャノンイーグルス 永友洋司 監督
今シーズンいろんな形でお世話になり、ありがとうございました。選手も頑張ってくれたのですが、残念ながら最後の試合になりました。トライを取り切れなかったところは反省しなければならないが、相手より多くトライを取ってくれた、最後まであきらめずにトライを取る姿勢を来季につなげてほしいと思います。

和田拓 キャプテン
今日の敗戦で今シーズンが終わってしまい残念です。1年間スタッフ、選手がハードワークしてここまで来られたことを誇りに思います。まだまだ足りないところがあるので、来シーズンに向け今日から準備していきます、皆様に感謝しています。

・前半ほとんど相手陣に入れなかったのは?
和田キャプテン:ボールをもってアタックしようとしたが、相手のプレッシャーが強く、ワイドに行けば相手にプッシュされ、ブレイクダウンでいい仕事ができなかった。ゲーム途中に相手陣で戦おうとキックを使いながらアタックするようシフトした。

・ハーフタイムの指示は?
永友監督:前半は自陣での反則が8個と多く、アタックで気負いすぎてしまった、コーチ陣がプランニングできていなかった、NECはDFのチームなので、どこで仕掛けるのかが問題で、「どこでアタックするのか」を選手に伝えた、後半は修正できたと思う。

・負けたら終わりのトーナメントとリーグ戦の戦術の違いは?
永友監督:シーズン中と特に変えていないが、とりあえず勝つことが大事で、セカンドステージに入ってからアタックしても取り切れないところがあり、どこでリズムを作って、どのようにアタックして、どうトライを取るかにフォーカスしてきたが、それに至るまでのプランが立てられなかった。

・2シーズンワイルドカードで敗退しているが?
永友監督:昨シーズンよりフィジカルは上がっているが、勝ち慣れていない部分がある、自分たちの形で取り切れていないので、勝ち方を指導していく必要がある。

・宇佐美選手の評価は?
永友監督:日本代表のスコッドに呼んでもらうことができて、これからは本人次第の部分もあるが、あの上背で低いプレーができるので、これから経験を積んで世界に通用する選手に育てていかなければならないと思っている。

NECグリーンロケッツ 相澤輝雄 総監督
NECを応援してくれている大勢のファンの前で勝利してうれしいです。DFから目指しているラグビーができていい試合ができた、勝ててよかったと思っています。

瀧澤直 キャプテン
いい天気でいいグランドでビッグなゲームができて感謝しています。NECもキャノンもいいところが出て、いいラグビーができました。グランドに立っているメンバー以外の全員の気持ちで勝利することができた、みんなでつかんだ勝利です。

・後半のシンビンをどのように乗り切ったのか?
瀧澤キャプテン:24分からの10分間、こちらも相手も苦しい時間帯で一人いないので全員で走ってDFした、うちはDFのチームなので逆に腹をくくってDFし続けたのが良かった。

・ナドロ選手の欠場は影響したか?
相澤総監督:一週間前に体調を崩して、月曜日に練習に復帰したが、ベストのメンバーを考えた場合に今日のメンバーになった、特に影響はない。

・今日のゲームの入りは?
瀧澤キャプテン:まず全体を通して相手陣でプレーすること、ファーストプレーのコンタクト、スクラム、ラインアウトで相手を支配していこうと意識していた。

・日本選手権に期するものは?
相澤総監督:キャノンはそんなにトライを取れる相手とは思っていなかった、チャンスがない中で取り切れなかったが勝てて満足している、取り切れていないのが課題で、あとはDFをしっかりフォーカスしていく。

瀧澤キャプテン:もちろんチャンピオンズカップを狙いにいく、現在負けていないチーム全部に平等にチャンスがある、全員でそういう思いで練習している。先輩たちが作ってくれた「トーナメントに強い」という伝統を意識して力に変えながら戦っていく。来週もここでゲームがあるので、いいゲームをしていい記者会見をしたいと思っている。

(記事:蜷川善夫、石川悟、北畑幸二 写真:野口美保、山口勝一 広報担当:村島博)