1月24日(土) プレーオフトーナメント 神戸製鋼 12−41 ヤマハ発動機

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1月24日(土) プレーオフトーナメント 神戸製鋼 対 ヤマハ発動機

2015年1月24日(土) 14:00キックオフ グラウンド:近鉄花園ラグビー場
レフリー:大槻卓 (日本協会A)
アシスタントレフリー:松岡辰也 / 塩崎公寿 / 吉川浩司
神戸製鋼
コベルコスティーラーズ
ヤマハ発動機
ジュビロ
12 FULL TIME 41
 5 前半 17
 7 後半 24
詳細(TL公式)

◎レポート
昨年8月に開幕したトップリーグ2014-2015もレギュラーシーズンを終え、いよいよポストシーズン。第12代トップリーグ王者を目指す『プレーオフトーナメント LIXIL CUP 2015』と第52回日本ラグビーフットボール選手権大会への出場を賭けたワイルドカードトーナメントへと舞台は移る。近鉄花園ラグビー場でのプレーオフトーナメントはセミファイナル、圧倒的な攻撃力と堅いDFでセカンドステージ1位の神戸製鋼コベルコスティーラーズと終盤の3連勝で8シーズンぶり2度目のプレーオフ出場を果たしたヤマハ発動機ジュビロとの戦い。セカンドステージの対戦では40-10と神戸製鋼がヤマハ発動機を圧倒しているが、終盤に東芝、パナソニックを連破したヤマハ発動機のパワーも侮れない。注目の一戦は冬晴れの穏やかな日差しの下、花園ラグビー場に駆けつけた6,000人を超すラグビーファンに見守られ、神戸製鋼CTB山本大介のキックオフで幕を開けた。

ゲームは前半キックオフ直後から、ヤマハ発動機がチャレンジャーらしく自陣からも積極的に展開し、神戸製鋼陣深く執拗に攻め続ける。神戸製鋼もゴール前では、今季機能しているハードタックルでヤマハ発動機のアタックを凌ぎ、SO山中亮平のロングキックで地域を挽回するという展開が続く。しかしヤマハ発動機は12分、ゴール前5m神戸製鋼のラインアウトが乱れたところ、SH矢富勇毅が隙をついてキャッチしたボールをそのまま左中間に押さえ、あっさりと先制点を奪い、FB五郎丸歩のゴールも決まり0-7とする。さらにヤマハ発動機は19分、ゴール直前左中間ラックから左に展開し、最後は左WTB中園真司が左隅にトライ、0-14とリードを拡げる。

一方、セットプレイ、特にラインアウトが乱れてなかなか攻撃の機会を掴めない神戸製鋼も32分、ゴール前22m右端でのヤマハ発動機五郎丸のキックを右WTB山下楽平がチャージし、ボールを受けたFB正面健司が右隅にトライ、5-14と反撃を開始。しかし逆に36分、ヤマハ発動機はハーフウェイライン中央付近のロングPGを五郎丸が決めて5-17とリードして前半を終えた。

後半、風上に立った神戸製鋼はキックを有効に活用して主導権を握りたいが、接点でも不用意な反則が目立つ。ペナルティキックで陣地を進めた開始直後の1分、ヤマハ発動機はゴール前10mのラインアウトからのサインプレイでHO日野剛志が左隅にトライを挙げ、逆に5-22とリードを拡げる。

神戸製鋼も17分、ゴール前15メートル左中間のラックから右に展開、アドバンテージを活用した山中のキックを山本がキャッチしてポスト左に押さえて12-22と10点差に迫る。しかしヤマハ発動機は20分すぐさま反撃、FW・BKが一体となってピッチを大きく左右に展開し、最後は右LOデューク・クリシュナンが右隅に勝利を引き寄せるトライを挙げ、12-29。ヤマハ発動機はさらに34分、36分にトライを追加し、戦前の予想を大きく覆した12-41の大差で神戸製鋼を下して初のファイナル進出を決めた。

神戸製鋼は攻守の要であったジャック・フーリーの欠場があったとはいえ、最多得点、最少失点で制覇したセカンドステージの試合運びが崩壊し、退任するギャリー・ゴールドHCにとっても残念な幕引きとなった。かつて7連覇した日本選手権での雪辱を期待したい。一方のヤマハ発動機のFW・BK一体となった破壊力のある展開ラグビーは強豪神戸製鋼の強みを封殺して、初のトップリーグ王者を狙うに相応しい会心の戦いであった。ファイナルでもチャレンジャー精神を忘れず、『果敢』に『攻め勝つ』ゲームを期待したい。

(会見ダイジェスト)
【神戸製鋼コベルコスティーラーズ ギャリー・ゴールド ヘッドコーチ(HC)】
残念。今シーズン一番の大事なところで、一番悪いパフォーマンスになってしまった。 ただ、ハードワークの結果であり、レギュラーシーズン1位の事実については、選手を褒めたい。ヤマハは素晴らしいチームであり、立派だ。数週間前とは全く違う、逆の展開となってしまった。我々は自分達よりもより優れたチームに負けた。

橋本大輝キャプテン(CAP)
内容も点差も完敗。今シーズン最悪の出来で、悔しい。セカンドステージで一度パナソニックに負けてから、良い流れできていたが・・・シーズンは続くので、きちんと修正していきたい。

(前回の対戦(12/21の対ヤマハ発動機戦)と何が違ったのか?)
橋本CAP:ヤマハが非常にアグレッシブだった。

(気負いや緊張があったのでは?)
橋本CAP:確かに緊張はあったが、その緊張を力に変えられなかった。前回勝っていたこともあり、今日のゲームも勝たなければとは思っていた。

(セットプレイを中心にミスが多かったが、何が原因と思うか?)
橋本CAP:ヤマハの出来が良かった。

(相手に研究されていたと思うか?)
橋本CAP:相手の出来が良かっただけでは・・・ 接点で負けてしまった。DFのスピードを上げようとしたが、ボールの動きについていけなかった。

(トーナメントという一発勝負の準備では、ヤマハが上だったのではないか?)
ゴールドHC:ヤマハのことは分からないが、フィジカルで負けてしまって、我々がやりたいことができなかった。ラグビーは接点を支配すれば優位に立てるが、その点では今日はヤマハが上だった。相手にプレッシャーをかけることができなかった。

(ジャック・フーリー選手の欠場や、今村選手の途中交代の影響があったのではないか?)
ゴールドHC:ワールドクラスのプレーヤーがいなければ、当然影響はあるが、大橋選手も良いプレーヤーだ。

(これでチームを離れるが、個人的な寂しさはあるか?)
ゴールドHC:南アフリカに帰るのは家庭の事情でそれ以外にない。今シーズンの神戸製鋼はどのチームよりも激しくファイトし、良いシーズンだった。優勝出来ればよかったが、残念な結果となった。

【ヤマハ発動機ジュビロ 清宮克幸監督】
今日はこういう結果になるかもと、予想していたが、ここまでとは思っていなかった。神戸製鋼のキープレーヤーが欠けていたのが、大きかったのではないか。そのメンバーが活躍することで、神戸の強みであるFWが活きる。ラグビーはバランスが大事だが、その点ヤマハはベストメンバーで戦えた。これはメディカルスタッフのお陰だ。決勝に向けて万全の準備をしたい。

三村勇飛丸キャプテン(CAP)
一回負けた相手に、プレーオフで勝てたのは、チーム一丸で最高の準備ができたからだと思う。

(セットプレイで優位に立てていたと思うが、何が原因か?)
清宮監督:ファーストスクラムのレフリングで反則をとってもらえた。あのプレーで勢いに乗れた。

(ホーンが吹かれた後も、攻め続けていた。)
清宮監督:途中出場のリザーブ選手が攻めさせろと猛アピールしたようだ。ヤマハの文化
でもある。
三村CAP:流れを止めたくなかった。試合中もキックを少なくし、攻め続けた。 我々はチャレンジャーであり、攻め続けた。

(前回の敗戦(2NDステージ)からどの部分を修正したのか?)
清宮監督:全部(笑)負けたことで大きく変われた。

(スタンドオフの横にウィングを配置していたのは、狙ったプレーか?)
清宮監督:準備していたプレー。ただ、同じプレーが2回、3回と成功するとは思わなかった。それだけ神戸製鋼はゲーム中の修正能力が今日は無かった。

清宮監督:「パナソニックと神戸製鋼の決勝戦に期待」というエディー・ジョーンズ(日本代表HC)の新聞記事を見て燃えた。

(決勝の相手となるパナソニック、東芝はレギュラーシーズンで勝っているが、決勝で再度勝つということはどうか?)
清宮監督:非常に難しいが、万全の準備で臨みたい。

(記事:石川悟、蜷川善夫、廣島治、南博 写真:山口勝一 広報担当:村島博)