フェアープレーが成長の鍵 〜RugbyWorker 第6回 株式会社H&I・日種崇雄〜

フェアープレーが成長の鍵

今回は、株式会社H&I 代表取締役の日種崇雄(ひぐさたかお)さん。今シーズン好調の摂南大学ラグビー部を1993年に卒業され、現在は保険代理店を経営されています。「スクール☆ウォーズ」から火が着いた、ラグビーブーム真っただ中を駆け抜けたラガーマンが、経営者として今何を考えていらっしゃるのかをじっくりとお聞きしてきました。

現在の仕事内容
−−現在のお仕事を教えてください。
日種 保険代理店を経営しています。損害保険の代理店業務、生命保険の募集に関する業務や企業の危険診断、安全対策などの保険に関わる業務全般を行っています。

−−今のお仕事に就かれたのはいつからですか。
日種 もともと父がこの仕事をしており、子供の頃から父の跡を継ぐものだと思っておりました。大学を卒業し保険会社に就職。営業職をしていると保険の果たす社会的役割に気づきました。

−−社長業はいつからでしょう。
日種 5年前の2010年に父から引き継ぎました。それまでは保険の世界で「プレイヤー」として頑張っておりましたので、社長業で必要なマネジメント能力の部分では苦労しております。

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職場でもコミュニケーションを意識されています

ラグビー選手時代
−−ラグビーを始めたのはいつからですか。
日種 京都府立洛西高校からラグビーを始めました。ドラマ「スクール☆ウォーズ」の影響を受けて、高校に入ったら必ずやろうと思っていました。

−−ラグビー部が憧れの的だった頃ですね。
日種 経験者が多い中、顧問の先生の方針で「エンジョイラグビー」を堪能できました。とてもフランクで上下関係も少なく、いい思い出でしたね。戦績は3年時に京都府予選決勝戦で敗退し、とても悔しい思いをしました。

−−ポジションはどちらですか
日種 高校時代はHOです。でも体が小さく172cmしかありませんし、FWは休む暇がなくてしんどい(笑)。だから大学ではBKに転向しました。

−−大学は摂南大学ですね。
日種 河瀬先生(元日本代表・現監督)が監督になられてすぐの頃で、入学当時はDリーグ所属でした。私は1本目(レギュラー)で出ることはなかったのですが、最終学年でA-Bの入替戦に進出しています。

−−急成長した時期ですね。
日種 チームには1本目だけではなく、2本目3本目の選手もそれぞれに役割がある。考えて自分でやるべき行動ができれば変われるということを学びました。卒業後もクラブチームで少し続けていたのですが、怪我もあって長くは続けられませんでした。非常に学びが多かった時期ですね。

準優勝で表彰をうける日種さん(左)

準優勝で表彰をうける日種さん(左)

ラグビーと仕事
−−ラグビーで得た経験で、役に立っていると思うことはありますか
日種 チームプレーの大切さです。一人で出来ることは限られていますが、多くの仲間と協力し合う事で大きなことが成し遂げられます。目標を達成するためには、思いやりが必要ですし、チームは営業のような花形プレイヤーだけじゃなく、事務スタッフの細やかなサポートがあるからこそ営業成績がついてきます。

−−それはFWとBK両方を経験されたから見えてきたことでもありますか
日種 
そうですね。FWの時は、体を張って得たボールをすぐBKがノックオンをすると「ガクッ!」となっていましたが(笑)、BKをしたり2本目を経験して見えてきたことは多いですね。

−−逆に学生時代見えていなかったことはありますか
日種 「なぜこの練習をするのか」を理解せず、嫌々やっている練習もありました。好きなラグビーなのに、練習が終わったらすぐ帰っていましたね。「もっと前向きにしていれば」と思うことが今でもあります。ですから「何のためにこの仕事をするのか?」「目標は何か?」をスタッフ全員が納得のいくよう心がけ、日々仕事をしています。

プレー中の日種さん(中央)

プレー中の日種さん(中央)

後輩たちへ
−−さまざまな立場でラグビーに関わられているからこその視点ですね
日種 そうかもしれませんが、どんな立場でも気を抜いてやっていては意味がありませんし、経験にもなりません。

−−最後に現役のプレイヤーにひとこと
ラグビーはどのスポーツよりも熱くなれます。その中で重要なのは、フェアプレーの精神です。強いチームは、姑息なプレーやラフプレーを、例え出来たとしても絶対にしません。我々の保険業界はさまざまなルールや関係省庁の監督など、ルールがたくさんあります。その中で信頼し、信頼される関係を構築することが、結果的に社会の模範となる。私は、そんな企業を目指しています。

「プレイヤーとして大したことがなかった私でもいいんですか?」と取材前に謙遜いただいた日種さん。ラグビーから得たプラスの経験やマイナスな経験など全てをご自身の企業経営に存分に活かし、社会の中で大きな役割を担っておられました。

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